男性は「殺虫剤」をあまり使わないほうがいい説

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  • author Ed Cara - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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男性は「殺虫剤」をあまり使わないほうがいい説

男性も女性も気をつけてほしい殺虫剤。

新しい研究によると、人類と虫との戦いが、別のところでも問題を起こしていることがわかりました。なんと、精子の数の減少なんです。この研究は既存のデータを分析しておこなわれ、殺虫剤への過度な曝露と成人男性の精子濃度の低下との明確な関連性が発見されました。研究チームは、人間と化学物質との接触を減らすための新しい規制が必要であると述べています。

精子減少の原因とは?

2000年代始めごろ、男性の平均精子数が着実に減少しているとする研究が結果が出てきました。これまで科学者たちは、肥満率の増加や環境毒素への露出など、精子減少のさまざまな可能性について憶測してきました。

そして今回、ジョージワシントン大学、ジョージメイソン大学、そしてイタリアのラマッジーニ研究所の研究チームは、殺虫剤と精子の量との関連性のデータをより深く把握するために、これまで世界中でおこなわれた精子に関連する研究の体系的なレビューをおこなうことにしました。

チームは過去25年以上の研究データから、25の研究を分析しました。これら25の研究は、有機リン化合物およびN-メチルカルバメートという2つの広く使用されている殺虫剤に男性の職業的および環境的曝露を調査したものでした。

また、これらの研究では男性の精子濃度も測定していました(精子濃度で総精子数の計算ができます)。チームは他の可能な要因を考慮に入れた上で、明確なパターンを発見しました。

「私たちが見つけたのは、殺虫剤への過度な曝露が精子濃度の減少と関連しているというのが、25の研究を通して強く一貫していたということです」

研究チームの一人でジョージメイソン大学公共衛生学部の学部長Melissa Perry氏が米Gizmodoに電話で語っています。

この論文はEnvironmental Health Perspectives誌に掲載されています。研究チームによると、この分野の研究では、これまでで最も包括的で体系的な研究になっているそうです。しかし、どんな研究でも、もちろん注意点があります。

明確な因果関係はまだわからない

この研究が殺虫剤曝露と精子数の相関を示すだけの結果であり、明確な因果関係を示すものではないという点です。多くの研究が一つの時間点でのみ調査された断面的な結果ということもあります。

また、時間の経過とともに精子数が本当に減少しているか、また減少が男性の生殖に実際に影響を与えているかについては、まだ議論の余地があります。また、この研究では殺虫剤が具体的にどうやって精子に損傷を与えているかは明らかになっていません

殺虫剤と精子の間に原因となる関連性があることを示す研究は他にも存在しています。つい先月、別のメタ分析では有機リン化合物の曝露が減少した精子数や他のマーカーと関連していると結論づけられています。動物の研究では、化学物質が男性の生殖に不可欠なホルモン受容体に直接干渉する可能性が示唆されています。

政府の規制を期待する研究チーム

研究チームは、殺虫剤が精子数の減少にどのような役割を果たしているかを正確に理解するために、そして他の疑問点を解明するために、さらなる研究資金が必要であると述べています。こういった研究は、男性の殺虫剤曝露と精子の質を長期的に追跡する「コホート研究」をするのが理想的だと考えられます。

しかし、研究チームは殺虫剤への集団的な曝露を制限するために政府などがもう行動を起こすべきだと主張しています。

「今の時点では、この結果は説得力のある収束的な証拠であり、家族を持ちたい、子供をもうけたいと考えている場合は、男性が殺虫剤に接触するのを避けるべきだと信じています」

Perry氏はこう語っています。