50万円で空間を買うってことなのかも。
今日発表されたVision Pro、事前の噂ではアップル初のVR/MRデバイスだと言われ続けていました。しかし蓋を開けるとアップルはVision ProをVRともMRとも言わず、「空間コンピュータ」と呼び続けました。空間コンピュータっていったい何?

僕は、言葉のとおり空間を扱うコンピュータを目指しているのだと理解することにしました。
Vision Proは空間を節約できる

Vision Proを装着すると、内蔵カメラで捉えた自分の部屋のようすが映し出されます。その空間にはアプリや映画やゲームのウィンドウが浮かび、まるで自分の部屋に大きなスクリーンが何枚も浮遊しているかのような体験に。
仕事のアプリを3つひらけば、モニターが3台あるようなものだし、映画を大きなウィンドウで見れば、巨大なスクリーンが部屋の中にあるのと同じ。ひとつの空間がVision Proによって書斎になったりシアタールームに変換されるんです。
こういった発想は世の中にあるVRゴーグルがすでに目指しているわけですが、解像度などの問題で特に仕事デバイスとして使うには現実的じゃありませんでした。左右の目に4Kずつという高画質で楽しめるVision Proの映像がどのくらい綺麗に見えるかによりますが、もしかすると仕事用の外部モニタや大画面テレビはもう要らなくなるのかもしれません。
そうなれば部屋がもっと広く使えるようになる。空間にコンピュータを導入したことで、空間が節約できるわけです。そう考えると50万円というハードルは越える価値がある気がしてきます。
空間を保存できる

さらに、Vision Proは空間を保存することもできます。前面のカメラで現実世界を立体的に記録することができ、後から空間オーディオ付きで再生することも可能。
空間のその当時の瞬間に戻ることができるので、家族との記録なんかを残すのにぴったりです。この機能を紹介した映像、映画『マイノリティ・リポート』で、主人公が亡き子供のホログラムを振り返るシーンにめっちゃ似てるんですよね。小さい頃に見たSFに追いついてて感慨深いです。
また、自分の顔をVision Proでスキャンすれば、会議などに使えるリアルな自分の分身を作ることもできます。ビデオ会議がしたいのにゴーグルをかけていて自分の顔を写せない矛盾を解決していますし、会議のために部屋を移動したり片付けたりしなくてよくなるのもメリット。これも空間の節約になりますね。
Vision Proは空間にコンピュータを導入するデバイス

Vision ProはVRデバイスとは異なり、ユーザーがバーチャルにどっぷり浸かることよりも、現実の空間をどう扱うかを徹底的に重視しているように感じます。
他の人が話しかけやすいように前面のディスプレイにユーザーの目を表示したり(これは正直気持ち悪いかも)、近づいてきた人を検知して仮想ウィンドウを避けたりするギミックがあるのも、ユーザーが現実世界から隔離されない工夫です。
Vision ProはiPhoneやMacと同じアプリが発売と同時に使えると言います。iPhoneで手のひらにコンピュータを凝縮したアップルが、今度は空間にコンピュータを解き放つわけなので、もしかしたら本当にiPhone以来の革命が起こっているのかもしれませんね。