日本の著作権とAI:OKな使い方・NGな使い方まとめ

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日本の著作権とAI:OKな使い方・NGな使い方まとめ
Image: shutterstock

AIで作った作品で著作権侵害になることありますか? →文化庁「著作権侵害になる場合、あります」

てことで、日本における著作権とAI利用、ちょっとまとめてみました(文化庁が配布している「AIと著作権の関係などについて」という資料より)。

基本のき

使用OKとかNG以前に、最初に理解すべきことがまず2つ。

・著作権で保護されるもの/ 保護されないものがある

・AI開発とAI利用ではOKの範囲が異なる

これを踏まえた上で、著作権を侵害せずにAI生成を楽しむラインを見てみましょう。

著作権で保護されるもの・保護されないもの

AIうんぬん以前に、そもそも著作権で守られるものと、そうでないものがあります。

【保護される】

著作権とは「思想又は感情を創作的に表現した」著作物を保護するものです。文芸、学術、美術、音楽の分野に属するもの。つまり、映画やドラマ、小説にマンガ、曲や歌、詩や絵画、彫刻などですね。自分が感じ・考えているものを表現したものになります。

【保護されない】

単なるデータ(事実)やアイデア(作風・画風など)は著作権保護の対象にはなりません。アイデアって思想や感情じゃないの? と思いますが、アイデアの段階ではまだ表現されていないということなのでしょう。

さて、作風・画風とは?

作風は作品の雰囲気。絵画で大きく言えば、印象派とか写実主義などもそれにあたります。

身近なところで言うと、Twitterでよく話題になる〇〇風日常マンガありますよね。ジョジョ風のイラストで育児マンガとか、ベルばらタッチのマッチングアプリ体験マンガとか。

ジョジョと言えば荒木飛呂彦先生、ベルばらと言えば池田理代子先生です。が、〇〇風として先生たちのタッチを真似た絵柄で別の漫画を描くならばそれはOK。

絵をマネた上で「この人は私が考えた岸辺露伴という特殊能力を持つ漫画家キャラです」って言ったらアウト。文章でも、村上春樹さんぽいなんて耳にすることがありますが、あくまでも文章の雰囲気なので著作権侵害にはなりません。

AIを作る側の著作権問題(開発・学習段階)

AIモデルには、膨大な学習データが必要なことはすでに広く知られたこと。この学習データに利用するならば、著作物を使ってもOK。著作物を学習データとして収集、複製が可能です。しかも、原則、著作権者の許可は必要ありません。ただ、学習・開発ならやりたい放題!というわけではありません。気をつけるポイントは3つ。

・やりすぎない:文化庁がOKとしているのは学習に必要な範囲での話であり、限度を超えたらダメ。

・著作権者の利益を不当に害してはダメ:文化庁が挙げている例でいうと、販売されている著作物データベースをAIに学習させちゃうのはNG。そこ無料で持ってかれちゃうと困りますから。

・著作物に方言された思想・感情の享受を目的としない:著作権物から情報を学習データとしてもっていくのはOKですが、その作品の特徴・個性を学習し似たものを作るのが目的ならダメ。

AIを使う側の著作権問題(AI機能を用いて生成する段階)

AI生成作品を作って、個人で楽しむのはもちろんOK。公開・販売する場合、通常の著作権侵害と同じ判断となります。

つまり、AI生成も人間が作った模造品も、著作権侵害にあたるかどうかは横並びの同じ基準で判断するねということ。「これAIだから」なんて言い訳はなしよ、ということです。

AI生成作品がある著作物とそっくりだったり、そもそも著作物のオリジナルを利用したことが証明されれば、それは著作権侵害。刑事罰の対象となる場合もあります。

AIと著作権において、文化庁が再重要視するのは著作物の保護著作物の円滑な利用のバランスです。バランスがうまく取れると国が判断したのが、上記のラインということです。

Source: 文化庁