AI部門がいるね。
世界最大規模の写真コンテスト「ソニーワールドフォトグラフィーアワード(SWPA)」が、今、例年とは違う角度で世間の注目を集めています…。
昨今何かと話題のAI。そう、AI作品が選出された上に、授賞アーティストが辞退を表明したのです。
一旦は問題なしと認められたものの
フォトアワードを受賞したのは、アーティストのBoris Eldagsenさん。
彼がAIとコラボで制作した受賞作品は「The Electrician」。2人の女性と光の線がはいったセピアトーンの作品で、一般公募カテゴリーに応募されました。

自身をフォトメディアアーティストだと称するEldagsenさんは、今回のアワードの選考や審査員、ワールドフォトグラフィーオーガニゼーションのAIの考え方に疑問を呈しており、自身のウェブサイトで経緯をまとめつつ、批判の声を上げています。
私は1989年から写真を撮り続け、2000年からはフォトメディアアーティストとして活動しています。写真業界で20年過ごし、私の興味はAI生成のクリエイティブの可能性を探ることに変化していきました。
SWPAが選んだ作品は、私の豊富な写真知識に基づいたプロンプトエンジニアリング、インペインティング処理、アウトペインティングの複雑な相互作用の結果です。
私にとって画像生成AIと共に制作することは、コ・クリエーションであり、私はそこでディレクターの立ち位置にいます。ただボタンを押せばいいというわけではないのです。
Eldagsenさんのブログによれば、今年1月13日にアワードの最終選考に残ったという連絡があり、3月2日には受賞の連絡を受けました。
翌日には自分はフォトメディアアーティストであること、今回の作品もAIとのコラボ作品であると、選考に誤解がないようSWPA側に連絡をしています。
3月7日にはそれでも受賞に変わりはないと連絡を受けましたが、翌週受賞作品の発表がされると事態は一変。プレスからAI作品なのでは?という問い合わせが殺到。
SWPA側が対応に追われる中、Eldagsenさんは何度もAI作品のクリエイティブ的存在についてディスカッションすべき、Q&Aを設けるべきと助言し、自分の声明も渡していましたが、SWPA側がこれに応えることはありませんでした。
明確なルールを設けるべき
一方、米Gizmodoがワールドフォトグラフィーオーガニゼーションにコメントを求めたところ、以下のような回答がありました。
彼の行動とその後の声明発表は、意識的に我々をミスリードさせるものであり、結果、彼から提示された理由も正当性なしと判断いたしました。また、その結果、彼とこれ以上の建設的かつ有意義な対話は不可能だと考えます。
完全にお互いの意見が食い違い、袂を分つことになってしまった両者。AIコラボ作品への考え方、捉え方の違いがスタート地点ですが、やはり関係者のディスカッション不足はもちろん、現代の写真コンテンストにおけるAIルールの甘さと、写真業界全体のAIに対する曖昧な態度が根っこにあるのではないでしょうか。
実際、最近では写真コンテストでAI作品が受賞する例がでてきています。賛否ある中で、各アワードがどういうルールを設けるのかなど、今、難しい局面を迎えつつあります。