空間オーディオ、期待したんだけどな…。OnePlus Buds Pro 2レビュー

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空間オーディオ、期待したんだけどな…。OnePlus Buds Pro 2レビュー

肝心のサウンドに課題。

OnePlus最新フラグシップイヤホン「OnePlus Buds Pro 2」は多機能でかっこよくて、しかもGoogleのヘッドトラッキング空間オーディオ対応。フィット感も接続性もバッテリー持ちも申し分なくて、デュアルドライバ搭載。

こうして書くとイイこと尽くめなのに、あまり前モデルとの音の違いはわかりませんでした。アクティブノイキャンも空間オーディオも競合よりズバ抜けていいわけじゃないので、それでこのプレミアムプライスはないぞ~というのが正直な感想です。

OnePlus Buds Pro 2

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これは何?

OnePlus最新のフラグシップイヤホン

価格

179ドル(約2万3470円)

好きなところ

耳になじむ、デザイン、外音取り込みモード

好きじゃないところ

端末上で音量調整できない、及第点どまりのアクティブノイキャン

耳にぴったりフィット

OnePlus Buds Pro 2のデザインは初代と同じです。サイズは少し変わってますけど見てわかるほどの違いではありません。軽量。充電ケースが平べったいので、お財布と重ねてポケットにスッと入れられます。

本体はIP55、ケースはIPX4の防水性能なので、ジムで汗かくときにも使って平気です。

ぶっちゃけここ1年で使った中では一番快適で、AirPods ProやHuawei FreeBuds Pro 2、Oppo Enco X2などと比べてもOnePlusのフラグシップモデルが自分の耳にはベストフィットでした。

使ったのは14日間ですが一度も耳から落ちなくて、家で体操するときや夜の散歩、ジョギングのときにもBuds Pro 2はいつも耳の中でしたよ。

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Photo: Prakhar Khanna

耳に合わない人は3サイズのイヤピースから合うものを選べばOKです。自分は届いたときについてた標準サイズのでピッタンコだったので同梱の予備に取り換え不要でした。

欲を言えばイヤピースはシリコン製よりフォーム製がよかったけど、(まだ)業界標準じゃないので無いものねだりというものですね。

2台同時接続のマルチペアリングが便利!

OnePlus Buds Pro 2はiOSとAndroid、両方のデバイスにBluetooth 5.3でつなげます。

OxygenOS 12以降のOnePlusスマホの人はイヤホンの操作パネルがOSに搭載されてますし、それ以外の人はOppoのHeyMelodyアプリをダウンロードすればこれでコントロールしたりイコライザを自在にカスタマイズが可能です。ほかにも、Androidの人はOnePlus Budsのアプリを使うという手もあります。

iOS端末では使えない機能もあって、たとえば空間オーディオもそのひとつ。OnePlus Buds Pro 2はGoogleのヘッドトラッキング空間オーディオを実装した初のイヤホンということで自分も注目してましたが、結論から先に言うと、これはやや期待外れでした(くわしくは後ほど)。

試用期間中はOnePlus 11iPhone 14 Pro Maxにペアリングしました。さすがデュアルコネクティビティ。両方同時につないで交互に試せて、切り替えもスムーズそのもので、一方のスマホで再生ボタンを押すと、そちらに勝手につながってすぐ流れてきます(=初期設定では両方同時接続はできないので設定でONにする必要があります。iOSとAndroid、両方のアプリで設定できます)。

Buds Pro 2とOnePlus 11をつなぐのは超簡単で、ケースを開けるとすぐにGoogle Fast Pairのポップアップがスマホに表示されます。いっぽう少しだけ面倒なのはiPhoneで、ケース内のBluetoothペアリング用ボタンを押さないとだめ。押しさえすればつながるので大した手間ではありませんけどね。

手持ちのHuawei FreeBuds Pro 2とOppo Enco X2と同じく、OnePlus Buds Pro 2もスクイーズコントロールなので、ステム部を押したり長押ししたりすることで再生とアクティブノイキャンが操作できます。10回中9回はギュッと押すことで反応が得られました。残り1回は押し方が足りなかったようです。

競合と違うのはスワイプで操作できないこと。音量調整もイヤホン側でできないので自分的にはこれが痛かったです。ボリュームぐらい耳側でしたいですよね。アプリでスクイーズのジェスチャーに音量調整を割り当てられないかなと思ったんですが、それもできませんでした。OnePlusの親会社が作ってるOppo Enco X2はスワイプで音量調整できるのに…なんで⁉

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Photo: Prakhar Khanna

付属アプリのHeyMelodyと一緒に使うと◎

OnePlus Buds Pro 2をOxygenOS 12以降の対応端末以外で使うときにはアプリ「HeyMelody」をダウンロードすれば、操作の調整や各種機能の活用が可能です。初代Buds Proではできなかったイコライザの制御もできます。

アプリを開くと、装着テスト、ゲームモード、ゴールデンサウンドモードなんてのも使えるんですね。装着テストはあまりピンとこなかったけど、これは初期設定で耳ぴったんこだったから必要性を感じなかったのもあるかな。

ゲーマーのみなさまはゲーム専用の Anker Soundcore VR P10辺りが理想ですが、ゲームモードではレイテンシーが54msまで下がって最高のゲーム環境に。

「ゴールデンサウンド」というのは耳のかたちや聴力に合わせてサウンドを最適化してくれるモードのことです。ほかにもOnePlusは、イヤピースを活用した姿勢強制アラートといった機能も開発中です。こちらは年内リリース予定。

使うデバイスによって音が違う

ドライバはDynaudioと共同開発した11mmと6mmのものがイヤピースごとに入っていて、SBC、AAC、LHDC 4.0のロスレスコーディックに対応しています。テストではOnePlus 11、iPhone 14 Pro MaxとペアリングしてSpotifyとApple Musicで楽曲を聴いて、Netflix、Amazon Prime、YouTubeで動画を視聴してみましたが、結果にはややバラツキがありました。

OnePlus Buds Pro 2をiPhoneにつないで楽曲を聴くと、OnePlus 11につないで聴くときより音のバランスが優れているんです。これはおそらくiPhoneのSBCコーデックによる違いかと(SBCは強い低音、クリアなボーカル、適度な高音で音の広がりが感じられる)。

Apple Musicに切り替えて、ロスレスの違いがわかるか試してみたんですが、聞き取れませんでした。Apple Musicは、Bluetooth経由で高いビットレートの転送ができないですもんね。SpotifyとApple Musicのロスレスに関しては、Oppo Enco X2のほうがずっとライブ感溢れるサウンド。そういう違いがOnePlus Buds Pro 2では出ません。

ただ OnePlus 11につないでSpotifyの楽曲を聴いてるときには(設定はiPhoneと同じく、すべて最大にした)、高音と低音が効いているV字谷のサウンドだなって思いました。ハイレゾ音源もOnePlus 11にダウンロードしてみましたが、Spotifyのストリーミングで聴くのとあまり変わらなく感じました。

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Photo: Prakhar Khanna

アコースティックサウンドはiPhoneのほうがOnePlus 11よりいい音に聴こえます(後者は中音がつぶれてしまう)。

ゴールデンサウンドモードをONにして違いが出るか試してみたら、あまり利用価値ないように思いました。低音と高音がブーストされて余計にV字谷サウンド化してしまうんですね。重低音サウンドなら利用価値もあるのだろうけど、自分はあまり好きじゃない機能です。

ボーカルはNothing Ear (1)よりいいけど、同じ価格帯のOppo Enco X2 のほうがやっぱりいいです。OnePlus Buds Pro 2は、iPhone× AirPods Proより低音が効くけど、ボーカルが少しぼやけます。デベロッパー用の設定で OnePlusのBluetoothで使うコーデックを変えれば解決する問題かもしれませんが、箱から取り出した状態で比べると、OnePlus Buds Pro 2は自社スマホとペアリングしてないときのほうが音がいいです。ほかのイヤホンはそんな面倒なことしなくても済みますし。

Googleの空間オーディオは固定とトラッキングという、2つの異なる設定で利用できます。OnePlus 11とペアリングして試してみたら、YouTube視聴中も空間オーディオの違いが実感できましたが、Appleの空間オーディオほど効果テキメンではありません。スマホを反対方向に動かすとミュートになってアレ?となることも。

空間オーディオで聴く楽曲は、低音と各曲のトーンが変わってしまうので、ちょっとイマイチでした。

アクティブノイズキャンセリングは期待未満

OnePlus Buds Pro 2はアクティブノイズキャンセリング(ANC)も非常に平均点で、試聴であまり効果は感じられませんでした。ANC がONになっているときとOFFになってるときの違いはわかるんですけど、もっといいANC性能のイヤホンが同じ価格帯で出ているので。Buds Pro 2を機内、通勤のタクシーや地下鉄で聴いてみたんですが、機内の轟音、外の車の音が消えないんですね。ノイキャンはみなそれをしたくて買うのに。

ただ、外音を取り込むモードは非常によくできていて、パイロットの離陸時のアナウンスも聞こえたし、散歩中も街の喧騒がちゃんと耳に入ってきました。

OnePlus Buds Pro 2のANCはAirPods ProSony LinkBuds S、Oppo Enco X2、Galaxy Buds Proよりずっと良くありません。ANC優先でイヤホンを選ぶなら、ほかの4機種のなかから選ぶと思います。75分以上ANCをONにしてると耳が疲れるのも経験しました。 ほかの4機種では一度も経験したことのないものです。

イヤピースを装着しながらでも、しゃべると一時停止になって会話ができるSamsungやSONY風の機能もありません。これはもっと高いイヤホンで装備されている機能ですが、Galaxy Buds 2 Proをよく使ってる身としては、OnePlus Buds Pro 2にも欲しい機能ではあります。

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Photo: Prakhar Khanna

1回の充電で長く使える

ケースのバッテリーは520mAhで「ANCがONだと25時間、OFFだと39時間まで連続使用可能」(商品説明)。さらに「10分の充電で3時間使うことができる」急速充電のオプションもあります。本体のバッテリーは60mAhで、ANCをOFFにすると最大9時間持ちます。

使ってみた印象でもバッテリー持ちは最高でした。仕事で徹夜のときも、ほかのイヤフォンは5時間の連続使用でへたるのに、OnePlus Buds Pro 2はANCをONにしてボリュームを60%ぐらいにして使っても1回の充電で最低6時間は使えます。もっと長持ちだったらなーと思うことは一度もありませんでした。

価格と発売時期

OnePlus Buds Proは米市場で2月17日発売、価格は179ドル~。 カラーは深緑( Arbor Green)と黒(Obsidian Black)の2色。OnePlus公式ストアとAmazonで取り扱っています。日本の発売時期は不明です。

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Photo: Prakhar Khanna

あと30ドル安かったらなあ

デザイン、バッテリー持ち、フィット感で選ぶならOnePlus Buds Pro 2は買いです。平均より上のサウンドとアクティブノイキャン性能を求めるならほかを探そう!という感じですね。V字谷のサウンド(低音と高音のリスポンスが高くてヴォーカルがOKレベル)が好みならOnePlus Buds Pro 2で◎ですが、好き嫌いがわかれますね。

初代OnePlus Buds Proから30ドル増しになったのに、それが性能に反映されていないように感じました。音はイコライザで好みに変えられるようになったのが一番目立つ違いです。音質、ANC性能、初代並みの価格を求めるならSONY LinkBuds S辺りがねらい目。電池持ちとフィット感では劣る(自分の耳の場合)けど高性能です。SONY WF-1000XM4も最近は200ドル切ってるので、もし見つかればそっちを買うほうがいいチョイスかと。

OnePlus Buds Pro 2

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20230311OnePlusBudsPro2_stars

これは何?

OnePlus最新のフラグシップイヤホン

価格

179ドル

好きなところ

耳になじむ、かっこいい、透明モード♡

好きじゃないところ

イヤーバッド上で音量調整できない、並みのアクティブノイキャン

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