人間と共に絵を描くAIロボットアームが新たに開発され、注目を集めています。
「Framework and Robotics Initiative for Developing Arts:フレームワークとロボット工学による芸術振興の取り組み)」の一環として、米国ペンシルベニア州ピッツバーグにあるカーネギーメロン大学コンピューターサイエンス学部で開発された「FRIDA」は、同大学から芸術界にやって来た最新のロボットアームです。
メキシコの人気画家フリーダ・カーロ(Frida Kahlo)にちなんでFRIDAと名づけられたこのAIアームは「人間とコラボしながら芸術作品を創作する」と同大学広報部シニアディレクターAaron Aupperlee氏は述べています。
FRIDAの開発を主導したのは、コンピューターサイエンス学部の博士課程で学ぶPeter Schaldenbrand氏、Jean Oh准研究教授、Jim McCann助教授の3人。今回はAupperlee氏が、FRIDAの創作過程を、絵画作品の写真とともに米Gizmodoに紹介してくれました。
写真や文章でイメージをアップロード

FRIDAは創作の前に約1時間かけて、いろいろな筆さばきを学習します。このとき、人間が学習してほしい内容を文章で書いて送ったり、インスピレーションとなるような写真をアップロードしたりして、指示を出します。
また、Schaldenbrand氏とFRIDAチームは、ABBAの『ダンシングクィーン』などの音楽で指示を与えるテストも行なっています。
FRIDAの提案で人間が色味を調合

筆さばきを習得し、画風についての指示を受け取ったFRIDAは、カラーパレットを作成します。このパレットに従って絵の具を混ぜるのは人間。
絵の具を自動的に調合する方法の開発は現在、建築学科の大学院生Jiaying Wei氏とEunsu Kang客員教授により行なわれています。
調整しながら時間をかけて完成へ

FRIDAは何時間もかけて1枚の絵を完成させます。ときには、頭上のカメラで絵を撮影し、そこまでの出来栄えはどうか、計画を変える必要があるかを評価することも。

人間の発想をFRIDAが実現
FRIDAはたくさんの絵画を描き上げていますが、それらはすべて人間に与えられたテキストや視覚的または聴覚的指示をベースにしたもの。
FRIDAの絵画は非常にすばらしいものですが、Schaldenbrand氏は米Gizmodoに宛てたプレスリリースの中で「FRIDAはロボットを利用した描画システムであって、芸術家ではありません」と警告しています。
FRIDAが発想し、表現しているのではありません。FRIDAは芸術家とコラボする必要があります。芸術家がFRIDAにこのようなものを創造したいと大まかに指示し、それをFRIDAが実現しているのです。
また、FRIDAが芸術家の仕事を奪うのではないかという心配の声に対して、Oh准研究教授は「FRIDAプロジェクトの最大の目的はそれとは正反対です。私たちはFRIDAを通じて、人間の創造性を高めたい」と話しています。

McCann助教はTechCrunchに対し「FRIDAは人間とロボット工学の創造性の接点を探求するプロジェクトです。FRIDAは、画像にキャプションをつける、場面の意味を理解するなどができるように開発されたAIモデルを使用し、これを芸術作品の生成問題に適用している」と述べています。
FRIDAの作品はすべて、カーネギーメロン大学が運営するTwitterアカウント、FRIDA Robot Painterで見ることができます。