イーロン・マスク、自分流のChatGPTを作りたい

  • 5,542

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …
イーロン・マスク、自分流のChatGPTを作りたい
Image: Shutterstock

驚かない。

ロケット飛ばしてトンネル掘って電気自動車走らせて大好きなTwitterも買収したバイタリティあふれる男、イーロン・マスク。

彼は流行り物や話題のトピックが好きな人でもあります。W杯やスーパーボウルを観戦したり、メットガラに出席したり、仮想通貨クラスタになったかと思えばGameStop株急騰に噛んでみたり、タイの洞窟に少年サッカーチームが閉じ込められれば潜水艦を持っていったり。

とにかくアンテナをはりまくっている人なのです。一言でいうと元気。そんな彼が今最も注目されているAIチャットbotに目を向けないはずがありません。

やっぱり考えてるみたいですよ、イーロン印のAIチャットbotの開発を…

イーロン・マスクとOpenAIの関係性

ネタ元のThe Informationによれば、イーロン・マスク氏はOpenAIに真っ向勝負を仕掛けるようなラボの創設を考えており、数人のAI研究者に連絡をしているといいます。

リーチしている1人は、GoogleのDeepmindAIラボ元研究員のIgor Babuschkin氏。Babuschkin氏はThe Infromationの取材に、マスク氏の計画はまだ初期段階であり、自身の参加は決めかねていると語っています。

新しくAIがらみの何かを本当にマスク氏が作るかどうかはさておき、マスク氏としてはChatGPTひいては現在のOpenAIの姿に否定的な姿勢をとっています。

知っている人も多いと思いますが、マスク氏はOpenAIの共同創設者の1人。現在はまったくの無関係ですが。

創設者として、現在のOpenAIをこう批判しています

OpenAIは、Googleとのバランスをとる役割で、オープンソースの非営利団体として作られたもの。それが今では、Microsoftにコントロールされたクローズソースの営利目的の企業になってしまった。私が目指していたものとは、まったく異なる

昨年12月には、注目を集めるChatGPTは「Woke AI」であり、危険であると批判していました。もし、マスク氏のAIラボが創設され開発を進めるとしたら、彼が目指すAIは「Based AI」となります。さっそくミームをツイートして張り切っていますね。

Woke AIとは? Based AIとは? 言葉の意味が時とともに変わりつつありますが、Wokeは、awake(目覚める/悟る)をベースにしたスラングで、社会のあり方に疑問をもち、社会問題に意識を向けているということです。人種問題で使われた言葉です。

が、昨今、自分はとってもWokeでいろいろなことに目を向けているのでざますよ、えらいざますよ的なエセWokeな人も増えており、日本語の「意識高い系」と揶揄するように皮肉こめて使われる場合もあります。

ただ、非Wokeな人の意見には一切耳を傾けないWokeすぎる人がいて、「あいつWokeだから人の意見きかねーんだ」みたいに言われちゃうことも。

一方で、Basedは、他者の意見は無視で自分を貫くという意味が主。自分を持っていてクール、の意で使われることもあります。

なので、両者はそこに皮肉があるかどうかで正反対の意味になったり、時に類似した意味になったりもします。

で、マスク氏のAIに話を戻すと、もちろんここでは正反対の意味でWokeBasedを使っています。

Woke AIのChatGPTは(OpenAIひいてはMicrosoftの意向に沿った)ルールに基づいてトレーニングされており、つまりあちこちに忖度してるやつだとマスク氏は言いたいわけです。

で、自分が目指すAIは特定のルールでトレーニングなんてされない自由でクールなAIだと。

言論の自由を高くたかく掲げてTwitterを買収したマスク氏。AIチャットbotの市場でどう自由を歌うのか、見てみたい気はしますが、さて。

Source: The Information1, 2