車も、テスラ社も、炎上はイヤ。
2023年1月28日、テスラ社の電気自動車モデルSが米カリフォルニア州サクラメント郊外の高速道路を走行中に炎上する事故が発生。消防当局は大勢の人手と大量の水を投じ、大がかりな鎮火作業を余儀なくされました。
負傷者はゼロ
サクラメントの消防局(Metro Fire Sacramento)によると、炎上したモデルSの運転手は国道ルート50を高速で走行中、足下から黒煙があがっていることに気づきます。
なんとかドライバー自身は車から脱出しましたが、炎はさらに激しくなり、車体の前端まで燃え広がりました。この火災で負傷者が出なかったことは、不幸中の幸いです。
火事の原因はバッテリー
現場に急行したサクラメント消防局は、一目でこの火事の原因がバッテリーにあるとわかりました。当局によると、火災発生以前の車体には何の傷もダメージもなかったそう。
同消防局はFacebookに「テスラ社は緊急マニュアルで“完全消火”を推奨しており、それに従って隊員が1時間以上かけて消火活動を行ない、消防車3台と給水車が約22トンもの水を使用して鎮火にあたった」と投稿しています。

リチウムイオン電池は消火が難しい
ガソリンが燃え上がったわけではなく、車のバッテリーから火が出ただけなのに、なぜそんなに水を大量消費することになったのか?
実はテスラをはじめ電気自動車が搭載するリチウムイオン電池は消火がむずかしく、完全消火するには多くの水資源が必要。
CNBCが指摘するように、「リチウムイオン電池に火がつくと、非常に高温で燃え上がるのも早い」のです。さらにリチウムイオン電池は一度出火が起こると、その数時間後、あるいは数日後に何度も再出火する恐れもあるんだとか。
ちなみに、サクラメント消防局によると、従来のガソリン式エンジンを搭載した車から出火した場合、消火に必要な水量は約3.2トン。消防車1台でまかなえる水量になります。
「現代のテクノロジー革命には、効率性が評価されている現代の消火技術が継続的に進歩していくことが必要」とサクラメント消防局はコメントしています。
テスラのバッテリートラブル例
テスラ車の火災は珍しいことではなく、ここ数年同じような事故が何度も起きています。火災の責任はバッテリーにある、とテスラ側がドライバーから訴えられた事例もあります。
2019年には、「テスラ社が発火のリスクを減らす目的で古い車のバッテリーのソフトウェアを更新し、意図的に航行距離を短くして充電回数を増やした」として、ドライバーが同社を告訴しています。
2021年にはテスラのバッテリー管理ソフトを調査するよう求める嘆願書が出されましたが、米国道路交通安全局はこれを却下しました。