AI軍拡レース序盤の大コケ。
Microsoft(マイクロソフト)が金に糸目をつけず投資するChatGPTに対抗しようと、月曜、Google(グーグル)Bardを月緊急発表しました。
一挙反撃と思いきや、公式ブログに公開したプロモーションビデオに「誤情報を並べたてるBardの姿」が使われていることがわかり、親会社Alphabetの株価が一時9%も下がってしまいました。

問題の動画はTwitterでも配信されています。

ブログでサンダー・ピチャイCEOが「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の新発見を9歳の子どもにもわかりやすく説明できる」と紹介している様子。
実働シーンでは「9歳の子どもにジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が最近発見したことを教えるとしたら何がいい?」と聞かれたBardが3つのアイデアを出しているのですが、3つめの「初めて太陽系外惑星の写真を撮った」とあるのは誤りで、系外惑星を世界で初めて捉えたのはヨーロッパ南天天文台がチリに建造したVLT(Very Large Telescope)。
それも2004年のことなのです。のちにハッブル宇宙望遠鏡も直接撮影に成功しているので、どのみちジェイムズ・ウェッブが世界初というわけじゃないんですね。
Googleとしたことが、こんなヘマをやらかすなんて…!
ChatGPTだって間違いだらけなので、誤回答が混じってること自体はよくある現象なんですが、それをPRに使ってしまうと、単に答え合わせを怠ったって見られても仕方ありません。
Googleにコメントを求めたら、広報から次のような回答がありました。
今回の件では、トラステッドテスタープログラムで今週スタートする、厳格な検証プロセスの重要性が浮き彫りになりました。社外のフィードバックと社内の調査を総合して、Bardに求められる回答が、品質、安全性、信ぴょう性において高いスタンダードを満たしていることを確かめていきたいです。
集合知の誤りすらも吸い込んで成長していくAIはこういうことがあるから怖いですよね…。
パリのプレスイベントでもコケる
Bard発表の2日後の水曜にはパリから世界をむすんでAI開発の現況をライブ配信したGoogle。こちらでもプレゼンに必要なスマホがなくて予定されたライブのデモができない一幕がありました(録画はイベント終了後、YouTubeから即削除)。
時価総額13兆円余りが消える
それやこれやで投資家マインドが冷えついた木曜午前には株が暴落。時価総額1000億ドルが一瞬にして吹っ飛んでしまいました。ブルータルです…(米Gizmodoがmillionと誤字ってますが正しくはbillion。日本円に直して約13兆1354億円です)。
Next Big Thingを目指すのか、今ある検索のOnly Big Thingを守るのか。岐路に立つGoogle。焦る気持ちはわかるけど、ちょっとペースダウンしてコツコツ確実に進んでいってほしい…!