マイクロソフトから「ChatGPT入り検索エンジン」

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マイクロソフトから「ChatGPT入り検索エンジン」
Image: Ascannio / Shutterstock.com

Bingが行列のできる検索エンジンに。

Microsoft(マイクロソフト)が、早くもChatGPT入りのプロダクトを世に出しはじめました。

2月7日の公式ブログで、Microsoftは新たな人工知能とチャット機能、コンテンツ生成機能を内蔵したBingとEdgeを発表し、それがユーザーにとっての「WebのAI副操縦士」のような存在になると言ってます。

Microsoftは今年1月、ChatGPTの開発・運営元であるOpenAIへの数十億ドル規模の投資を発表しました。その発表から2週間ちょっとでサービスに組み込むって、前からひっそり準備してたんでしょうけど、それにしてもペース早いですね!

「ChatGPTよりパワフル」と自賛

新Bingの内部では、Microsoftが「プロメテウス」と呼ぶモデルが使われてます。ユーザーが質問を入力すると、詳細かつ最新で注釈も付いた回答が出てきて、関連サイトからの引用もあります。

新Bing検索ではリンクのリストが今まで通り左サイドに表示されつつ、右サイドには説明セクションが並びます。Microsoftはこのシステムが「ChatGPTよりパワフル」だと言ってます。

新Bingはパソコン用の限定プレビュー公開で、BingのWebサイトに行くとウェイティングリストに登録できます。

Webサイトに載ってる質問例はごく少数ですが、プレビュー版の規模は今後数週間で拡大するとともに、モバイルでのプレビューも提供予定だそうです。

新Bing・Edgeの記者発表では、ChatGPTライクなシステムがBingにどういう形で統合されるかのデモもありました。

ポイントは2つあって、ひとつはチャットボット機能、もうひとつは検索機能です。

インタラクティブチャット機能の追加によって、ユーザーは検索した後、その内容をさらに細かく絞っていけるようになります。

Microsoftいわく、新Bingでは旅行の詳細な日程表とか、買うべきTVのリストとかを、複数のWebサイトからの引用付きで見られるようになるそうです。

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新Bing検索のチャット機能でロンドンへの旅行計画を見せてもらってるところ
Image: Microsoft

The Vergeが記者発表で見たという画像によれば、たとえば「もっとも影響力のあるメキシコのアーティストを比較して」と入力すると、フリーダ・カーロやディエゴ・リベラといったアーティストに関する解説と、それぞれの作品に関する短い文章が添えられて出てきます。

Microsoftはまた、新Bingで商品の寸法を提示し、それが何らかのスペースに収まるかを推測もできるというデモを見せてました。

例ではIKEAのミニソファ「Klippan」の寸法を提示し、それが2019年のホンダ・オデッセイの後部座席を閉じた状態なら載せられそうだ、と推定しました。

そしてもちろんChatGPTと同じように、AIにメールを代筆してもらったり、クイズを作ってもらったりもできるそうです。

検索ランキングやEdgeも新モデルで

あとは今までBingの検索結果ってピンと来なかったんですが、Microsoftいわく「コアのBing検索ランキングエンジンにこのAIモデルを適用することで、適切さが過去20年で最大の改善を遂げた」そうです。

Microsoft Edgeもアップデートされて、サイドバーで直接チャットもできるようになり、「数プロンプトでLinkedInのポストを作成する」デモもありました。

Microsoftいわく、文章のトーンを細かく調整することもできるそうです。あとは長文の財務報告書とかを投げ込むと、要点だけわかりやすく抜き出してくれたりもするそうですよ。

人工知能はあらゆるソフトウェアカテゴリを根本的に変化させます。それがまず、最大のカテゴリである検索から始まるのです。

Microsoftのサトヤ・ナデラCEOは公式ブログで言ってます。

AIの難題、Microsoftはどうする?

生成系AIは急速に発達してきましたが、その技術を取り込もう(または対抗しよう)とするテック企業の動きはそれ以上に急ピッチで進んでいます。

Google(グーグル)は自社版ChatGPTライクな「Bard」をテスト公開したと発表しましたが、正式に使える時期はまだわかっていません。

生成系AIでどんな問題が起こりうるか、まだまだ表面をひっかいた程度にしか理解されてません。ChatGPTに関しても、まだまだできないことがたくさんあるし、架空情報をさも重要事実みたいに吐き出すクセがあります。

Microsoftはブログの中で、「有害コンテンツに対し安全策を講じる」とは言ってるんですが、誤情報が検索エンジンでそれっぽく提示されてしまうと、「間違ってました〜」じゃ済まないこともあります。

日帰り旅行プランの行き先がおかしくても大した問題にはなりませんが、急病やケガへの対応を検索して間違ったアドバイスが返ってきたら取り返しがつかないかもしれません。

OpenAIのサム・アルトマンCEO自身も去年12月、「ChatGPTができることはすごく限られてるけど、ある種のことはすごく得意なので、すごさ度合いについて間違った印象を与えてしまいます」「重要なことに関しては、ChatGPTに頼るべきじゃありません」とツイートしてました。

OpenAIもアルトマン氏も短期間ながら、彼らが慎重なアプローチを取ってるという印象を与えようとしています。

Wall Street Journalによれば、アルトマン氏は記者会見で「(Microsoftも私も)AIを安全に実装すべく、強い責任を感じています」と語ってます。

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https://www.gizmodo.jp/2023/02/bing-chatgpt.html