2025年には再生可能エネルギーが石炭を超えて世界最大の発電源になる見通し

  • author Lauren Leffer - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
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2025年には再生可能エネルギーが石炭を超えて世界最大の発電源になる見通し
Image: New Africa / Shutterstock

はい、注目! めったにない気候変動関連のグッドニュースですよ!

2025年に再エネが石炭を超えて最大電源に

エネルギー危機で化石燃料が再びグイグイきてる感がありますが、持続可能なエネルギーは順調に成長しています。国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、風力や太陽光などの再生可能エネルギーは、今後5年間で過去20年並みに成長するそうです。2027年までに見込まれる発電量拡大のうち、再エネが90%以上を占めるようになるとも。そしてこれがビッグなんですけど、2025年には再エネが石炭をぶち抜いて世界最大の電源になっちゃうんですって。これは本当にいいニュース。

石炭はいわずと知れた化石燃料の排出量キング。単位当たりの二酸化炭素排出量はガソリンよりも30%も多いんですね。なので、気候変動対策として脱石炭はとても重要なんです。天然ガスを経由せずに再エネに直接転換できれば、環境への負担はさらに軽減されます。旅行だって、目的地までに乗り換えするよりも直行便の方がいいですよね!

再エネ導入加速の最大要因はエネルギー危機

なんでも去年の同時期にIEAが発表した報告書では、再エネの増加幅が30%も低く見積もられていたらしいんですけど、さまざまな要因が重なって、今年の報告書では大幅に上方修正されることになったのだとか。

上方修正された要因として、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機が引き金となって、再エネがかつてない伸びを見せていることが挙げられています。ロシアによる侵攻開始後、ロシア産の天然ガスに依存していたEUをはじめとする国々が、これじゃいかんと自国の再エネに投資しはじめました。侵攻が化石燃料のコスト上昇に拍車をかけたことで、もともと安価で化石燃料と競争力があった再エネを後押しすることになったそうです。いまや再エネの方が化石燃料よりも安いですもんね。

IEAのFatih Birol氏は、報告書のプレスリリースで以下のように述べました。

これまでも急成長していた再生可能エネルギーでしたが、世界的なエネルギー危機によって各国がエネルギー安全保障面でも恩恵があると考えた結果、成長がさらに加速するという驚異的な新局面に入っています。エネルギー危機が、よりクリーンで安全なエネルギーシステムに移行する歴史的な転機になり得ることを明確に示しています。

続々と打ち出される再エネ促進政策

さらに、アメリカのインフレ抑制法や、中国が今年発表した再生可能エネルギー分野に関する新5カ年計画のように最近打ち出された政策をはじめ、インドやEUにおける法令や政策の改正なども大きな影響を与えたと報告書の要約に書かれています。IEAの推計によれば、再エネの成長率は中国で35%以上アメリカは25%強にもなるそうです。

IEAは、2027年までに風力と太陽光が世界全体の発電量の5分の1を占めるようになると予測しています。そして同年までに太陽光が世界最大のエネルギー源に躍り出る可能性が高いとのこと。太陽の季節到来。あと5年。あと5年で!

パリ協定達成に向けて残される高いハードル

でも、喜びすぎるのはまだ早いようです。楽観的な見通しでもなお、再エネへの転換には課題が残されているみたいです。IEAは、アメリカなどの富裕国では許認可プロセスの遅延送電網インフラの欠如が問題になると予想しています。一方、低所得国では、再エネ拡大に必要な初期費用が膨大なため資金が足りないことや、インフラに限界があることなどを主な課題としています。

マイナス面ついでに言ってしまうと、産業革命前からの気温上昇を2度以下、さらにそれを大きく下回る1.5度以下というパリ協定の目標を達成するには、このレベルの加速では全然足りないんです。IEAが以前に述べたように、気候変動の深刻な影響を食い止める最善策は、化石燃料の新規開発を即時中止することです。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、パリ協定達成には、2050年までに二酸化炭素排出量をネットゼロ(炭素排出量と回収量がプラマイゼロになる)にする必要があるとしています。

再エネと呼ばれるための低すぎるハードル

マイナス面をもうひとつ。IEAが言うところの気候変動対策になり得るエネルギーには、温室効果ガスを排出するバイオ燃料水素まで含まれちゃってるんですよね。どういうことかというと、IEAは「排出量ゼロ」じゃなくても、環境にやさしいっぽければ再エネってことにしているんです。ちょっとハードル低すぎやしませんか。目標と同じくらい野心的な行動を採ってほしいものです。

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https://www.gizmodo.jp/2022/10/the-energy-crisis-could-actually-be-good-for-the-climate.html