今年一番ワクワクしたデバイスで、その感情のまま大晦日を迎えるかも。
ソニー・ミュージックエンタテインメントのVTuber育成&マネジメントプロジェクト「VEE」は応募者が1万8千人を突破、ソニーグループ会長兼社長の吉田憲一郎さんが「メタバースをエンタメの新たな事業機会と捉えて注力していく」(日本経済新聞の記事より)と語り、来年にはPSVR 2が発売される。ほほう。PSVR 2でVTuber体験ができるサービスを作るんだろうか、と思っていたら、違った角度から強烈なボールを投げてきました。
モバイルモーショントラッカー「mocopi」(モコピ)。AirTagサイズのトラッカーを頭x1、腰x2、手首x2、足首x2につけて自分の身体の動きをアバターに反映させて録画、または動きそのものをデータ化できる新デバイス。
これ、PSVR 2用の周辺機器ではありません。ご覧のようにスマートフォンと連携してVTuberチャレンジができるガジェットなのです。

しかもVTuber動画を撮るだけじゃない。VRChatやVket Cloudといったメタバース空間でのフルトラッキングデバイスとしても使えるし、UnityやMotionBuilderといった3Dコンテンツ開発ツールに動きのデータを送って、CGアニメーションも作れちゃう。Meta Quest2でフルトラッキング環境が実現できるってそんな夢みたいな現実がくるとは思ってなかったよ。
バーチャルモーションキャプチャーとも連携OKです。ビートセイバーなどのVRゲーム空間の中にも自分のアバターを送り込めるのか!
これは形を変えたVLOGCAMでしょう。リアルの姿は撮影できないけど、自分の動きを好きなアバターにインストールしたときの動画が撮れるし、その動きを様々な用途で確認できるんですもん。
装着感の良さは歴代トラッカーでNo.1っピ

モーションキャプチャーといえば専用スーツのマーカーを、専用のスタジオでカメラで捉えて記録するものが主流なので、使える場所が限られていました。メタバース用のフルトラッキングデバイスも別途ゲーミングPCが必要です。

しかしmocopiはすべてのトラッカーを充電ケースに入れてもポケットサイズ。付属のバンドとクリップで身体に固定したら即、自分の動きを記録できます。それがたとえアウトドアであっても大丈夫。どこでもバーチャルな撮影スタジオとなるのです。
6個のトラッカーの装着時間は1分未満。スマホアプリの起動後、ペアリングしてキャリブレーション(計測・調整)を行うのにだいたい1分。たったの2分でキャプチャー環境が整っちゃう。しかも軽くてかさばらない。このカンタンさ、気楽さは尋常ではありません。充電時間は約1.5時間で動作時間は最大約10時間。十分でしょう。
むしろ使い終わったときに外すのを忘れそうになるのが怖い。
程よい補正が美しい所作を生んでくれるっピ
ソニーのモバイルモーションキャプチャー #mocopi で踊ってみた。
— 武者良太 @「仮想空間とVR」「アバターワーク」 (@mmmryo) November 30, 2022
これはVTuber体験機材やフルトラ機材というだけじゃなく、新機軸のVLOGCAMでもあるんだ。体型や髪型、ファッションをアバターに任せることができる自撮りカメラなんだ。 pic.twitter.com/JwcNVwwn0v
Bluetooth LEを使ってスマートフォンと通信するため、2.4GHz帯の電波が入り組む場所だとペアリングできるまでの時間も長かった。また、開発中のアプリで見るとモーションの取りこぼしもある感じ。でもコマ落ちしたようにガクガクっと動くのではなく、補間処理を行うことでスムースな動きとなっています。
姿勢も程よく補正されているように感じますね。上半身だけ屈んだはずなのに、スマホ画面のアバターは膝を曲げながら視線を落としてる。綺麗なかがみ方じゃないですか。
従来のモーションキャプチャーやフルトラッキングデバイスがRAWデータだとしたら、mocopiは美白モードで撮ったJPEG。どっちがいいかって? どっちもいいですねえ。モーションの精度を求めるならVIVEトラッカーやTundra Trackerだけどベースステーションがある場所じゃないと使えない。HaritoraXやUni-motionも精度良好だけど要PC。mocopiは踊りがうまくなったような、所作が綺麗になったような感覚を味わいながらスマホベースでも使えるけど、加速度センサーで動きを検出しているからゆっくりとしたモーションが苦手。三者三様、どのタイプにも得手不得手があります。
これからVTuberになってみたい、顔出しは嫌だけどTikTokやってみたい、お手軽にVR SNSに足腰を持ち込みたいという方にとってはナイスデバイスとなるでしょうmocopi。

取材後の夜にうかがった南アフリカ・ヨハネスブルグのVR Club Soda Worldでも、フルトラッキングデバイスを用いて全身でエレガントでナイスでビューティフルなステップを踏むダンサーがよりどりみどりでした。ゲーミングPCや本格的なフルトラ機材を用意しなくても、Meta Quest 2と対応スマホとmocopiがあれば世界中のVRChat DJワールドで踊りまくれるんだ。こんなにうれしいことはないですよマジ。
VTuberとメタバースをつなぐ架け橋ともなりそうっピ
mocopi対応スマートフォンは以下のとおりです。
Android:Xperia 5IV、Xperia 1IV、Xperia 5III、Xperia 1III、Xperia 5II、Xperia 1II
iPhone:iPhone 14 シリーズ、iPhone 13 シリーズ、iPhone 12 シリーズ
発表会のときに、他のスマートフォンでも使えないのといった質問が飛びましたが、ソニーの答えとしては「動作検証済みのものがコチラ」ということ。これは対応アプリがリリースされたあと、ユーザーサイドでの動作検証が進むってヤツなんでしょうね。

モーション補間のためにAI処理が可能なSoCが必要という気配を感じますが、他メーカーのAndroidでも動くとなったら、ユーザーの幅が広がるだろうなあ。
VRChatやVket Cloudを舞台としたmocopiダンス甲子園や、ライブ感あふれる楽器演奏、コントや漫才など、アバターを自由に動かせるからこそできる表現が増えていくでしょうし、Live2DのVTuberがVR SNSに興味を持つきっかけにもなるはず。逆にメタバースのユーザーがVTuberとして活動しはじめるケースも増えていくと感じています。VTuberとメタバースの地平がシームレスになる気がするんですよ。mocopiのおかげで。
バーチャルな自分を撮る、全身の動きをメタバースに送り込むためのお手軽モーションキャプチャmocopi。販売はソニーストアのみ。お値段は4万9500円。12月中旬より予約開始、2023年1月下旬よりお届けがはじまりますよ。
Source: ソニー