宇宙探査新時代への第一歩
NASAの巨大ロケットSLS(スペース・ローンチ・システム)がついに先週、打ち上げに成功。2度の延期に2つのハリケーン、そして追加のリハーサルを経て、ようやく待ちに待った瞬間を迎えたのです。
SLSの発射によって宇宙船「オリオン」は宇宙空間へ送り出され、月探査計画「アルテミス」が始動します。この歴史的なイベントを追体験できそうな迫力あるショットや印象的な瞬間を捉えた写真をまとめてみました。
黄昏時

現地時間11月15日の夕方、高さ322フィート(約98m)のロケットが39B発射台に誇らしげに立っている姿。先日、ハリケーン「ニコル」がフロリダ半島の大部分を襲い、ロケットに軽度の被害をもたらしましたが、NASAのミッションマネジャーが問題と見なすほどのものではありませんでした。
宇宙を目指す

ローンチ・ビークル・ステージ・アダプター(LVSA)と中間極低温推進ステージ(ICPS)のクローズアップ
レッド・チームの出動

極低温推進剤の充填は、補給バルブでの液体水素漏れが見つかるまでは順調に進んでいました。NASAの探査地上システムが東部時間火曜の午後9時31分に、“レッド・チーム”と呼ばれる専門家のチームを「モバイル・ランチャーの基部にある留めネジを締め付けるため」発射台に向かわせる計画を議論中だと説明。この処置が功を奏し、レッド・チームは打ち上げ成功の陰のヒーローとなったのでした。
特等席にて

バナナクリーク観覧席でSLSの打ち上げを辛抱強く待っている子どもたち。2010年から開発されてきたメガロケットには、23億ドル以上の開発費がかかっています。
水と炎

点火の瞬間、極高温が発射台にもたらすダメージの軽減と轟音抑制のため、発射台の散水システムが45万ガロン(約200万リットル)の水を浴びせました。このシステムによって音圧レベルは、142デシベルほど(それでも十分に爆音と言えますが…)に下げられると見込まれていたとか。
いざ点火

ロケットは2時間の打ち上げウィンドウに入ってから43分が経過した、東部時間午前1時47分に飛び立ちました。2基のブースターと4基のRS-25エンジンが合わさると、発射時に発生する推力は880万ポンド(約4,000トン)。SLSは使用可能なロケットとしては世界で最もパワフルな部類に入ります。
NASAの新型月ロケット

SLSは重量5万7320ポンド(約26トン)超の貨物と人員を月へと輸送できます。この巨大ロケットと有人宇宙船オリオンとは、半世紀ぶりの人類の月面再訪を目指すNASAのアルテミス計画の鍵となります。アルテミスがさらに大きな目的、火星への有人ミッションへの足掛かりの役割を果たしているという点も重要でしょう。
アルテミス離昇

SLSがモバイル・ランチャーから飛び立つ光景に息をのみ、このGIFを用意するにあたって興奮で手が震えていたという米GizmodoのDvorsky記者。何年も待ちわびていた瞬間だったとか。SLSは当初、2018年に打ち上げられるはずでした。
発射塔を離れる

地球、太陽と月の位置関係など幾つかの要因によって、打ち上げが可能な時間帯は米国時間の早朝となりました。日中の打ち上げも良いものですが、深夜に飛び立つロケットの姿もまた間違いなく壮観。立ちのぼる煙の迫力もすごいです。
地響きを感じる席

打ち上げには数千もの見物客が集まりました。喜び、驚き、畏敬の念に興奮といった表情を浮かべるバナナクリーク観覧席の面々。
距離があっても圧巻な光景

真っ暗なフロリダの夜空を照らすSLSを目にするバナナクリーク観覧席のゲストたち。 メガロケットは無人のオリオン宇宙船を月への軌道へと送り出すことに成功しました。同宇宙船は、12月11日に太平洋への着水で終わりを迎える25日間の旅に出ています。
大迫力の煙

アルテミス1に用いられているRS-25エンジン4基はどれも、スペースシャトル時代に使用されたものです。NASAは退役したシャトルからエンジンを取り出し改良して、SLSのコアステージに搭載しました。今回の打ち上げに使われたエンジンはいずれも回収されていないものの、NASAは現在RS-25エンジンを12基所有していて、さらに開発中とのこと。
夜空へ

視界から消えて行くSLSを眺めるケネディ宇宙センターの見物客たち。悲願達成となりました。
月遷移軌道投入

地球と太陽を捉えた、オリオンからの景色。宇宙船は4日間で月に接近します。人体への影響を測定する3体のマネキンは別として、人間は搭乗していません。アルテミス1は、同じミッションを今度は宇宙飛行士たちを宇宙船に乗せて実施するアルテミス2のための道を開きます。
Source: Twitter, Planetary Society,