でまーす!
トランプ元大統領が、2024年アメリカ大統領選挙への出馬を表明しました。勝つか負けるか、これから2年で何がどうなるかはさておき、今、Facebookは頭を悩ませています。Facebookのとある規約が、トランプ氏の性質と真っ向から対立するものでして…。
Facebookの「ファクトチェック」のルール
トランプ氏の大統領選出馬表明をうけ、Facebook社内では第三者団体であるファクトチェックチームに対して、ある指示が飛んだとネタ元のCNNが報じています。ファクトチェックチームとは、その名の通り、プラットフォーム上に投稿されるコンテンツの正確性をチェックする人たち。フェイクニュースの拡散を防ぐための運営側対策の一環です。
Facebookのファクトチェックポリシーにはさまざまなルールがありますが、その1つに「政治家の政治的投稿に対してファクトチェックは行なわない」というものがあります。今回、トランプ氏の出馬表明にFacebookが頭を抱えている理由はそれ。トランプ氏が出馬表明=候補者となる=政治家として扱うことになり、彼のポストにファクトチェックがかけられなくなります。
ポリシーにある政治的投稿には、政治家が話した言葉、書いた言葉、動画、画像、その他、政治運動・選挙活動として作成されたものすべてが含まれます。一方で、あくまでも政治家によるオリジナルコンテンツが対象であり、すでにあるコンテンツを政治家がシェアした場合、これはチェックの対象となります。
政治家のポストには関与しないのは「その立場に影響を与えないため」
2019年、ファクトチェックのルール作りに関して、政治家の立場に影響を与えないためだと、Meta世界情勢トップのNick Clegg氏がテニスを例にしてこう語っています。
「私たちの仕事はテニスコートの準備をすること。表面をならし、ラインを引き、ネットの高さを調整することです。ラケットを手にしてプレイすることはありません。プレイヤーがどう戦うのか、それは私たちではなく彼らしだいです。Facebookとして私たちの役割はプレイする場を設けることで、私たち自身が政治的発言に参加するものではありません。」
Facebookを非難する声。悪用されるリスクがある
政治家の政治的発言はスルーするFacebookの姿勢に、危険だと声をあげる人も少なくありません。ポリティファクトのAaron Sharockman氏は、大統領選やその他政治的選挙に立候補さえすれば、政治家としてファクトチェックを回避できてしまうと、悪用されるリスクを指摘しています。
「Facebookは政治家への例外的対応をやめるべきです。さもなくば、トランプ氏がフィルタリングなしでコンテンツをポストする目的で出馬表明してしまうリスクが出てきてしまいます。」
ウィスコンシン大学マディソン校でジャーナリズム専門のLucas Graves教授は、地球温暖化に対する懐疑論など、SNS上で誤った情報を拡散しているのは政治家が多いというリサーチを踏まえ、こう意見しています。
「拡散するかが問題ではありません。問題は、その時々で新たな政治的文脈がいいよう形を変えてしまうのではないかということなのです」
アカウント凍結中のトランプ氏
トランプ氏って垢BANされてね?という人、正解! 2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件で民衆を煽ったことが原因で、トランプ氏のFacebooアカウントは、現在、2年の凍結期間中です。ただ、政治家に対するファクトチェック免除は、過去の発言にも適用。今、「不確か」とラベルされているトランプ氏の既存発言から、そのラベルが外されてしまうことが問題なのです。
トランプ氏カムバックはFacebook以外も頭痛のタネ
トランプ氏が大好きなSNSプラットフォームといえば…、Twitterです。こちらもアカウント凍結中で、いじけたトランプ氏は独自のプラットフォームTruth Socialを立ち上げました。が、大統領選に出るとなれば、より大きなプラットフォームで活動する必要があります。さらに、現在のTwitterトップは言論の自由を歌い、トランプ氏カムバックにも否定的ではないイーロン・マスク氏。どう転んでもおかしくありません。ただ、トランプ氏のTwitter復活で広告出稿を停止すべきという姿勢の企業もあることから、営業チーム(今もあればですけど)は頭を抱えているのではないでしょうか。
トランプ氏の大統領選出馬は、政治業界だけでなく、SNS業界にも波風たてまくりそうです。お騒がせせずには生きていけない、そういう星の下に生まれた人なんですよね、トランプ氏って。
Source: CNN