今週は子どもが具合悪くて看病にかかりきり。
家族全員にウイルスが広まって、レビューどころじゃなくなってしまいました。泣きわめくし、鼻水は止まらないし、締め切り過ぎてんのに、ビデオチャットが鬼のように長くて、想像以上にカオスです。
こんな話を持ち出したのは、ほかでもない、Samsung(サムスン)から新発売の折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold 4」が生活感のある客層をあまり想定していないからです。
公式WebでZ Fold 4を見ると、身なりのいいビジネスパーソンがモデルで、泣き叫ぶ子どもなんてどこにもいません。こっちは目の下にクマつくって髪はボーボーだし、レギングはいて穴が開いてなかったらラッキーってなもんで、こんな対象外の人間がレビューっていうのもなんだか気がひけます。
そんな自分ではありますが、試用期間の1週間はタイミング最悪だったけど、Galaxy Z Fold 4でだいぶ救われました。あんまりゆっくり座って仕事もできなかったし、Foldに子守りしてもらって家の中を片づけたりできる端末はありがたい。ベッドタイムにも、片面でTV、もう片方でニュースをチェックできるので、手放せないアイテムになりました。ほかのスマホでもできることばかりだけど、やっぱり2画面はいいですね。余計な操作抜きでマルチタスクの切り替えができるんだもん、最高です。
価格が1,800ドル(円に換算すると約25万8900円。円安恐るべし)だから、そもそも想定顧客じゃないというのは最初からわかってます。とても中流の家が出せる価格じゃないし、それだけあったら何かほかのことにつかっちゃいますよね。
あ~あ、価格さえ下げてくれたら、Z Fold 4のよさと楽しさをもっとたくさんの人にわかってもらえるのに…!
Samsung Galaxy Z Fold 4


これは何?:折りたたみAndroidスマホ。開くとタブレットになります。
価格:1,800ドル~(約25万8900円〜)。
好きなところ:ディスプレイ最高。Galaxy S22並みのカメラ。タスクバー(タブレット味が増している)。
好きじゃないところ:たたむと持ちにくい。一部、スマホ&タブレット両対応じゃないアプリも混じってる。まだ高すぎる。
スマホ⇔タブレットを自在に行き来できる
Samsung折りたたみシリーズで、触ったことがあるのはGalaxy Z Flipだけ。Galaxy Z Foldを触るのは今回が初めてです。
Fold 4は厚みもあるし、開いたとき大きすぎるんじゃないかと心配でした。「タブレットたたんで持ち歩きたい人なんて、どこにいるの?」とまで思っていたのに、気づいたら自分がその人になっていました。

たたむと6.2インチのスマホ。競合のAndroidスマホに比べかなり細いので、慣れるのに少し時間がかかります。厚みもあるので、片手で持つと最初は違和感あるかな。特に吸盤リング使い慣れてる身としては。
ただ、開いてタブレットモードにすると、そういう問題は嘘みたいに消えます。指が太いからスマホのちいさな画面だといつも打ち間違ってしまうのが悩みなんだけど、Foldは開くと両手でガシガシ入力できるの。SMSもメールも、タイピングは思いのままです。
閉じるとGalaxy Z Fold 4は厚さ14.2mm。ケース付きPixel 6 Proとそう変わらなくて、ちいさなバッグにもスルッと収まります。人気のGalaxy S22+ほど横幅がないので、それもコンパクトに感じる要因。

開くとヒンジが消えて、7.6インチのQXGA+ Dynamic AMOLEDディスプレイになります。リフレッシュレートは120Hzです。Samsung特許のAMOLEDディスプレイはGoogle Docを開くときもTikTokを7時間連続で見てるときも、色彩が目に飛び込んでくるようです。めちゃ暗い場所でも大丈夫で、ちょっと設定をいじれば、暗がりの部屋でも字を読んだりできます。
Galaxy Z Fold 4を広げて使ってると、かつてAndroidタブレット歴代ベストの名を欲しいままにしたNexus 7をどうしても思い出しちゃいますね。あれ、好きだったなー、片手で持てるから。
Fold 4も片手で楽に持てるところは同じ。本みたいに立てれば動画視聴もニュースフィードのスクロールもら~くらく♬ 横に倒せば背面カメラで動画撮りながら立ったほうの画面でプレビューもできちゃうので便利この上なしです。

そんな万能感を醸してる折りたたみですが、ネガティブなところもあります。
1)折り目。私は気にならないけど、気になる人は、これで買わないとか言いそう。
2)広げてテーブルに置くと、右上のカメラがやや出っ張って不安定。タブレットよりスマホがメインなんだなって感じる。
あと割とツルツルなんで落っことしそうになって焦ったこともしばしばでした。ケースが欲しくなっちゃうかも!
気になる耐久性

あえて難を言うなら、Fold 4は耐久性が課題かもしれません。いちおう「おりたたみ史上最強」を標榜してはいますが、子どもがビデオチャットのとき押した衝撃でヒンジの辺りが少しヨレてしまいました。
防水のほうはバッチリです。Galaxy Z Fold 4は前モデルと同じくIPX8の防水性能を有します。つまり常温で水道水の水深1.5mに30分沈めても正常に機能するってこと。イコール、かならずしも「海に潜って撮影に使える」とは限らないけど、子どもが隣でびちゃびちゃ水遊びしていてもあんまり心配ありません。画面はGorilla Glass Victus+でがっちり保護されているので毎日の使用にも耐えます。実際使ってみると、指紋がつきにくくてビックリです。食べながらスマホいじる人なので手はべたべたなのに!
筐体の残りはSamsungの合金アーマーアルミニウムでできています。
あと、Z Fold 4も液晶プロテクター付きなんですが、これが曲者でして、かばんに鍵と一緒に入れて試したら、外側の液晶は◎だったけど、内側の液晶にはややダメージがありました。どのみちレビュー端末には届いた時点ですでに左上の角に少しうねうねと傷が入っていましたし。試用期間は短かったのでプロテクターと画面の間にバブルが入ることはなかったけど、Galaxy Z Fold 2はそこが弱点でFold 3でも同様の苦情が一部ありました。Fold 4で改善されたかどうかは、長く使ってみないとわかりません。
この画面分割モードは虜になる

そういう細かい話はともかく、Z Fold 4で一番感動だったのは内側のスクリーンです。Android 12LベースのOne UI 4.1.1はヌ~ルヌル(以下動画0:31-)。
アプリを使ってるときには下にChrome OS風のタスクバーが出てきて、これが超便利! よく使うアプリや最後に使ったアプリ2つに自在に切り替えられます(以下動画1:20~)。
それと画面分割モード。これがZ Fold 4の真骨頂ですよ。パカッと開いてアプリを左右別々に表示させて使うの、めちゃ便利。
使い方はかんたんです。Windows 11みたいに、アプリのドロワーから使いたいアプリをタップ&ドラッグしてピン留め。これを左右でやればOK。Android端末で画面分割モード使ったことある人なら、もう何も考えなくても左右それぞれのアプリを必要に応じて調整できます。ちなみにFold 4で同時に起動できるアプリは最大3つまでです。

スマホ×タブレット端末に最適化してないアプリもありますけどね。たとえばTikTok。タブレットモードにはいちおう最適化済みなので使えることは使えるんだけど、それでもキャプションが画面サイズに合わなくて途中で切れることもしばしばでした。
Instagramみたいにタブレットモード自体がないアプリもあって、そうなると写真はスマホ用の解像度のまんまです。左、中央、右寄せはできるんですが、写真領域内がアプリなことを忘れて写真の外側を押して「あれ? 反応しないな」って戸惑う場面もありました。

Z Fold 4のタブレットモードで好きなのは、見開きにすると本を読んでいるみたいになること。新聞系のアプリもナビがスムーズだし、新聞の「eエディション」はスマホのランドスケープモードで開くより読みやすくて、1日の終わりに子どもの学校新聞(毎日PDFで配信される)を読むのが日課になりました。受信トレイを左で開いて、右の画面で学校新聞。午後配信の『Beverly Hills, 90210』をPluto TVで観て、左を2分割。こういう使い方もできるのがFoldの強みよね。

ランドスケープモードで構えると、下の画面がトラックパッドになるFlex Modeもついてきますが、どんなものかなって1度試しただけで、あとは使いませんでした。内側の画面は別売のSペンにも対応しています。収納スペースが実装されていないのは残念だけど、これはケースで解決、ですかね。
ゲームはムズい

Galaxy Z Fold 4はQualcomm最新チップ搭載です。昨年のフラグシップモデルのGalaxy S22シリーズに比べてもスペックアップしていて、Snapdragon 8+ Gen 1+RAM12GB+ストレージ1TBという構成。これだけの処理能力があれば、ローカルに保存したゲームで遊んだり、クラウドローンチのスペシャルエディションを楽しんだり、あらゆる使い方ができます。
ただゲームはハイブリッド未対応のものもあるので、内側画面でプレイできなかったり、画面を閉じたとき外側画面の「スマホモード」にレイアウトが切り替わらないものも一部あります。Samsung Labsの設定画面で強制的に切り替わるようにしてもダメ。モバゲーの「Pokémon Go」や「どうぶつの森 ポケットキャンプ 」もタブレットモードでは間延びして表示されますし、「Pokémon Go」は画面を閉じるたびに毎回再起動を要求されます。
一番痛かったのは手持ちのRazer Kishi(ゲーミングコントローラー)にはセットできないこと。別のBluetooth接続のゲームコントローラやスマホスタンドを使わないと腰を据えてゲームできないんですね。タブレットモードだと指が届かないところもあるので、タッチで遊ぶにも限界が。
気になるベンチマークスコアは、一番最近テストしたSnapdragon 8+ Gen 1搭載スマホのOnePlus 10Tより微増で、Geekbench 5のスコアはシングルコアもマルチコアも300点多いという結果でした。
バッテリー(4,400mAh)のテストでは内側画面を重点的に調べてみたんですが、輝度200ニトでZ Fold 4の内側画面で動画を連続再生してみたところ15時間近く持ちました。昨年モデルより3時間以上減ってしまった計算です。ただ普段は外側と内側の画面を使うのでそこまで負荷はかからないし、残量60%でも不安を感じることなく外出できます。どうしても気になるならリフレッシュレートを下げれば節電は可能。ずっと120Hzで使う必要もないわけです。
Z Fold 4はワイヤレス充電なので、寝るときの充電が超ラク(毎日クタクタで電源差し込む体力さえ残ってない)。急速充電もできるので、25W以上の充電器なら30分で最大50%まで充電できます。20Wで充電しても1時間20分もあれば満タンでした。
さらにZ Fold 4はワイヤレスバッテリー共有機能付き。対応するイヤホンやモバイル端末のバッテリー残量がピンチのときにはFold 4からビビッと充電できます。
カメラよくなった!

Galaxy S22 Ultraのスぺースズーム機能までは装備されてませんが、10MPの望遠カメラは3倍光学ズームで、丘の向こうの草まで見えます。映像撮るときも1倍から3倍に自然に切り替えられるので、これはすごくいい。

メインは50MPの広角カメラでOISつきで、夜間はf/1.8で撮影できます。視野角(FOV)85度。
サブの12MP超広角カメラは視野角123度。風景写真、遊び場を駆け回る子どものビデオも無理なく撮れます。

ナイトモードもだいぶよくなりましたが、こうしてPixel 6 Proと比べちゃうとまだまだです。長時間露光撮影も可能ではありますが、30秒以上シャッター開けっ放しで撮りたいときには、SamsungのProカメラモードが必要。
フロントカメラは10MP・視野角85度で、内側の画面下カメラはわずか4MP・視野角80度。TikToks用の動画撮るときも、Microsoft Teamsのビデオ会議のときも、内側のカメラと外側のセルフィーカメラで解像度が目に見えて違います (もちろんフロントカメラのほうがいい)。動画撮るときは、Galaxy Z Flipのフォルムのほうがずっと撮りやすいかなと思いました。
問題は”先立つもの”だ
レビューは予想以上に時間がかかりました。人間生きてれば、こういうこともありますよね。だけど原稿書く合間を縫って、なんだかんだ理由つけてFold 4を嬉々として触ってる自分がいたのも事実。看病のいい息抜きになりました。月々の子どもの保育料飛んじゃうくらいの値段なのに飛びつく人がいるの、使った今ならわかる気がします。
Z Fold 4は言うなれば、食べ放題ビュッフェみたいなスマホ。パカッと開けるだけで大画面になるって思うだけで、目まぐるしい毎日の重荷がふわっと和らぐような気さえします。夕方仕事から上がって触るのが楽しみになるスマホ&タブレットちゃんなのです。
こういうの生活に取り入れても悪くないなと思ってるなら、思い切って買うのもアリかもしれません。予算のやりくりはたいへんだけど。それを言うなら、レビュー書いてる自分だって同類。古いスマホを下取りに出すなり、借金に手を出さない範囲で用立てられたらの話ですけどね。
Galaxy Z Fold 4は最安256GBモデル(これで十分)が1,800ドルで、1TBモデルが2,160ドル。あ~あ、もう少し安くしてくれたらな~。高嶺の花にしとくにはあまりにももったいない。そうつくづく思いました。