中国じゃなくて米国。羊牧場に落下した宇宙ゴミは野口さんらを乗せたクルードラゴンの残骸っぽい

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  • author satomi
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中国じゃなくて米国。羊牧場に落下した宇宙ゴミは野口さんらを乗せたクルードラゴンの残骸っぽい
高さ約3m、重さは目測で20~30kg。近寄ると、ハニカム構造の断熱材の塊だ
Screenshot: Dr Brad Tucker / YouTube

地面にぶっ刺さってます…

長征5号Bの残骸がフィリピン近海に落ちたとNASAはカンカンですが、NASA提携先のSpaceXの残骸もオーストラリアの陸地に落ちていたことがわかりました。

中国は7月24日に打ち上げたロケット長征5号Bが軌道上で制御不能になって、「地球のどこに落ちるかわからない」と発表。「無責任にも程がある」と国際的非難を浴びたわけですが、SpaceXについてはそこまで騒がれなかったので、現地でちょっとした混乱を呼んだみたい。

発見場所は豪ジンダバイン南方の羊牧場です。現地の宇宙物理学者Brad Tuckerさんが、さっそく飛んでいって映像を撮ってきています。

Video: Dr Brad Tucker / YouTube

野口さんが搭乗していたCrew-1の機体

牧場主のMick Minersさんが荒野の彼方に真っ黒焦げの奇妙な物体を見つけ、気味悪くなって隣の農家に写真を送ったら、ちょうどそこの家の畑にも何日か前に似たような残骸が落ちていたことが判明。

隣家の通報でTV局が報じた結果、車で10分ほど南に下ったムーンバーでも3つ目の残骸が発見され、7月9日に一帯ですさまじいソニックブームが轟きわたって、落下する火の玉が多数目撃されていたことなどがわかりました。

こうした情報を元に豪宇宙局がSpaceX社に問い合わせてみたところ、残骸のシリアル番号から同社のクルードラゴン初号機(Crew-1)の残骸に間違いないとあっさり認めた次第です。NASAと豪宇宙局は、「見つけても決して触らずにSpaceXに通報してください」と住民に注意を呼びかけていますよ。

具体的には、「昨年5月2日に国際宇宙ステーション(ISS)から地球に帰還したNASAのクルードラゴン初号機から投棄されたトランクの残骸の可能性が高い」というのが NASAの発表です。日付から見て、野口聡一さんら4人がフロリダ沖に無事着水して日本でもニュースになった、あの再突入のときのものが今ごろ落ちてきた計算です。

昨年5月というと、SpaceXが上旬に打ち上げたFalconロケットも制御不能になって、残骸が軌道を22日間彷徨ってから不完全燃焼のまま再突入し、シアトルの農場に着地したのもこの5月。謎の光の通報がポートランド気象局に殺到して騒ぎになりました。

幸い大きな被害はなかったけど…

この火の玉騒ぎと同じ月に地球に帰還したロケットのほうもまた、不完全燃焼ごみをオーストラリア方面に投じていたことになります。

SpaceXのFalconは2016年にもインドネシアのジャワ島に残骸が落ちていて、そちらも「部品」と呼ぶのがはばかられるほどのサイズ感でした。「不要になったパーツは、劣化するまで周回軌道に数年から数十年浮遊させるということが普通に行われている」と、そのときのニュースを報じたSpacelift101には書かれています。こんなに次々落ちてくるんじゃたまったもんじゃないですよね。そのうちだれかの頭に落ちてきそう。

ちなみに今回のクルードラゴンの残骸の帰属先ですが、拾得者か製造元か、具体的な取り決めがあるわけではない模様です。牧場のヒツジ約5,500頭、牛100頭、馬30頭に怪我はありませんでした。そのため損害賠償のようなものも発生しないみたい。動かすの結構手間だと思うのだけど…。

先週、中国のロケットの残骸が海に落下したときには、「長征5号Bの帰還ルートすら中国は公開しなかった」と手厳しく批判したビル・ネルソンNASA長官。「この種の情報はすべての国が事前に公開すべき。それによって精度の高いデブリ衝突リスク予測が可能になる。特に長征5号Bのような超重量級のものは、死亡・器物損壊リスクも甚大なので、徹底が必要」と述べていたのですが…。

制御不能でどこに落ちてくるかわからないのも怖いけど、完全に燃え尽きると自信満々で投機したトランクが、なぜか大量に燃え残って落ちてくるというのも怖いもの。まずは米国から見本を示さないと…ですね、はい…。

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https://www.gizmodo.jp/2021/08/russian-space-junk-hit-a-chinese-satellite-in-march-ev.html

Sources: Brad Tucker, NYT, Spacelift101