そんなとこにいたの? グリーンランドで未知のホッキョクグマの群れが見つかる

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  • author Angely Mercado - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
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そんなとこにいたの? グリーンランドで未知のホッキョクグマの群れが見つかる
Image: Thomas W. Johansen / NASA Oceans Melting Greenland

絶滅系じゃないホッキョクグマのニュースは大歓迎です。

温暖化のせいで個体数が減っているホッキョクグマ。後退を続ける北極の海氷上で狩りをしながら生きるホッキョクグマですが、グリーンランドの南東部でフィヨルドから流れてくる淡水の棚氷を利用してアザラシを狩っている個体群が新たに見つかったそうですよ。

北極圏で20番目の個体群を発見

科学誌『Science』に掲載された研究によると、科学者は古い記録や先住民の話からこの地域にホッキョクグマが存在する可能性を認識していたそう。今回ついにこの数百頭から成る集団がこれまで知られていなかった新しい個体群であることを確認できたのだとか。特徴として、他の個体群と比較してメスのサイズが小さいそうです。この発見によって、北極圏で確認されたホッキョクグマの個体群は20グループになりました。

ワシントン大学の極地科学者で研究の主執筆者を務めたKristin Laidre氏は、Eartherによる取材にこう答えてくれました。

今回発見された個体群は、地球上で最も独立した遺伝子を持つホッキョクグマです。北極圏にいる19の亜集団とまったく別の特徴があり、近隣の亜集団と比較しても、他のどのグループよりも多様化が認められます。新しい個体群は、数百年前から独立した小さな群れだったと思われます。

グリーンランドに拠点を置く研究チームは、環境への適応力や孤立性を確認するために、行動を追跡する首輪をホッキョクグマに装着して2015年から2021年まで調査を行いました。

Strange Isolated Group of Polar Bears Discovered in Greenland_02_Middle
Image: Kristin Laidre / University of Washington

新たな個体群は温暖化を生き残るヒントになるのか?

エモリー大学医学部の助教授でホッキョクグマの専門家であるElizabeth Peacock氏は、Scienceに寄稿した見解記事で、この研究結果について、オンラインで見られる「この個体群が他の集団とは違う狩りの方法を確立させたことで繁殖できているのでは」という評価に確信を得られていないそう。

というのも、自然淘汰(とうた)は長い時間をかけて適応することで、そのために必要な独自の行動を身につける可塑性が見られるはずなんだそうです。今回のケースでは、ホッキョクグマが行動を変えるために必要な時間が十分にあると仮定していると考えられるものの、実際はホッキョクグマの繁殖ペースの方が温暖化の影響よりも遅いとのこと。

Strange, Isolated Group of Polar Bears Discovered in Greenland_03_Map
Image: Laidre et al. 2022 / Science

Peacock氏は、後退する海氷から離れた内陸に営巣地を作ったり、アザラシ以外の獲物を狩ったりするなど、可塑性のサインは既知の個体群にも見られると指摘しています。ただ、両極地の氷が解けていく中で、新しい個体群が今後もフィヨルドを利用した狩りを続けられるかどうかに疑問を呈しています。ホッキョクグマの世代時間は10年ちょっとですが、気候変動の氷への影響はもっと急速に進んでいます。気候変動によって北極圏の氷が急速に減少しているため、この新しい習性は遺伝しないのではないかと研究者たちは危惧しています。世代を超えて遺伝するための時間が圧倒的に足りないと。

Laidre氏は「群れがちゃんと繁殖できているのか、まったくわかりません。個体数が安定しているのかも、危機的なのかも、何もわかっていないんです」とも述べています。この個体群が気候変動にどう対処しているのかを正確に把握するには、3~4年かけてメスの成獣の生存状況を追跡調査する必要があるそうです。

Laidre氏は最後にホッキョクグマの未来についてこう語ってくれました。

フィヨルドの氷河は、少数のホッキョクグマが気候変動から生き延びるには効果的で、絶滅を防ぐという意味では重要かもしれませんが、大多数のホッキョクグマには利用できません。今回見つかった個体群の調査を続ければ、ホッキョクグマという種の未来をもう少し正確に予測できるでしょう。

私たちが少しでも早く温室効果ガス排出量を削減すれば、氷が解けるペースを遅らせることはできます。長期的に見れば、グリーンランドの氷床がすべて解けるくらいのCO2をすでに排出しているかもしれませんが、だからといってそれが何もしない言い訳にはなりませんよね。

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https://www.gizmodo.jp/2021/12/new-climate-models-reveal-faster-and-larger-increases-in-arctic-precipitation.html