ライトな使い方で、暗い部屋で作業しない人ならいいですよ。
お手頃でコンパクトなSurface Laptop Goの続編、Surface Laptop Go 2が登場しました。新色も追加されて相変わらずスタイリッシュですけど、使い心地はどれくらい進化したんでしょうか? 米GizmodoのPhillip Tracy記者がレビューしてますので、どうぞ!
Surface Laptop Go 2を1週間ちょっと使ってみてはっきりしたのは、Microsoft的には初代Surface Laptop Goの出来に満足してたんだ、ってことです。つまりSurface Laptop Go 2は、イノベーションじゃなくてブラッシュアップなのね、と。といっても、エンジンを換えて新機能も混ぜ込んで、順当なアップデートです。初代を持ってる人が嫉妬に狂うってほどでもないけれど、優秀なお手頃モデルの座を維持するには十分です。
初代から変わった点は片手で数えられるほどで、新しい色、アップグレードされたプロセッサー、Webカムの進化、ベースモデルのストレージ増量、そんなとこです。もうあとひとつかふたつ、これは改善してほしい…!って思うポイントもあるんですが、残念ながら今回その点は見送りになってます。
Surface Laptopっていうプレミアムな存在を、極力低価格帯で再現するのって取捨選択のバランスが難しいと思うんですが、Surface Laptop Go 2は大体ちゃんとできてます。捨てすぎてる部分も若干ありますが、Windows PCが欲しい人にとっては、Surface Laptop Go 2はミッドレンジとしては十分な選択肢になりそうです。
Microsoft Surface Laptop Go 2

これは何?:Microsoft最安のクラムシェル型ノートPC。
価格:599ドル(日本向けはMicrosoft Officeライセンスも含めて9万6580円)から。レビュー機は799ドル(同12万2980円)。
好きなところ:しっかりしたビルドと魅力あるデザイン、ポータブルなとこ、わりとまあまあのパフォーマンス、使えなくはないWebカメラ、キーボードとタッチパッドは良し。
好きじゃないところ:バックライトなしのキーボード、ベースモデルは指紋センサーなしでRAMが4GBのみ、赤外線カメラなし、ディスプレイ解像度が低め、温かくなる。
ベースモデルはお安いけれど
Surface Laptop Go 2のお値段は599ドルからですが、価格優先しすぎて必要なものまで削った感があります。ベースモデルのストレージは128GBのSSDですが、RAMは4GBしかないし指紋センサーもありません。100ドル追加すればRAMが8GBになって、指紋認証も付いてきます。さらに100ドル足した799ドルの最上位モデルが今回のレビュー機で、RAMは8GB、SSDは256GBあります。
なのでベースモデルには哀愁漂うものの、それでもSurface Laptop Go 2は600〜800ドルの価格帯では、他に良いものがないって背景もあり、ベターなほうではあります。詳しくは後述しますが、とりあえずざっくり言うと、Surface Laptop Go 2は先代とだいたい同じ、でもそれは問題ない、と思っといてください。
プラスチックでもプレミアム
Surface Laptop Go 2は、価格を下げるために安価な素材が使われてますが、見た目も感触も高級Surfaceに近いです。アルミのフタに、ベースは「グラスファイバー入りポリカーボネート合成樹脂システム」、要するにプラスチックなんですけど、弾力があってほとんど発泡スチロールみたいな柔らかさです。作りも最上級で、きしみとかグラつき、ふにゃつきはありません。

先代モデルから順当アプデ以上に変わったことはほとんどないんですが、強いて言えば新色のセージ色が追加されました。最初見たときは全然緑っぽくなくて、普通のグレー…?と思ったんですけど、それは人工の光の中で見たからなんですね。太陽の光が直接当たると緑っぽさがはっきり出て、プラスチック部分(底のパネルとキーボード、タッチパッド)にはミント風味も感じられます。
Surface Laptop Go 2は先代に引き続き、今市場にある中では一番ポータブルなもののひとつです。バックパックのタブレット収納部分に収まるくらい小さいので(278.2 x 206.2 x 15.7mm、1.127kg)、この前AppleのWWDCに参加したときはこれプラス、バックアップ用マシンも持って行けました。

ポート類は最小限で、左側にUSB-CとUSB-Aとヘッドホンジャック、右側にSurface Connectポートひとつです。
個人的には、パソコンメーカー(Appleとか)にはもう独自コネクターはやめて、その分USB-Cを載せてほしいと思ってます。Surface Laptop Go 2はUSB-Cでも充電できますけど、買ったときに入ってるケーブルはSurface Connectです。
スピーカーは、この価格帯だと最上級です。Dolby Atmos対応のデュアルOmnisonicスピーカーが、キーボードの下から音を上向きに押し出してくれます。ポリカーボネートのベースから音が突き抜けて来る感じで、どんな音量設定でも音がくっきり聞こえます。

Death Cab for Cutieの『Roman Candles』を聞いてみると、白髪交じりのBen Gibbardの抑えた力強い声がはっきり聞こえつつ、後ろに流れるデジタルな音からは彼の別プロジェクト、The Postal Serviceっぽさもフラッシュバックしてきました。最後に入ってる不協和音もうまく聞かせてます。Toraの『Jiagantic』を聞いたときは、低音もしっかり捉えられました。
もっと光を、タイピングに
生体認証でパスワード時代を終わらせようというMicrosoftの意気込みは、600ドルの価格の圧に押し切られたようです。レビュー機は799ドルなのでちゃんと指紋センサーが付いてますが、ベースモデルには生体認証手段が何もありません。
Surface Laptop Go 2に関して不満はほとんどないんですけど、この点(とあとほんの少しだけ)は本当にどうかと思ってます。あと指紋以外では、どのモデルにもキーボードにバックライトがありません。こんなありふれた機能を載せるのは大したコストじゃないはずだし、これさえあれば買うって人も一定数いそうですけどね…。

バックライトがないこと以外は、他のSurfaceと同じようなタイピング感の優良キーボードです。クリック感がしっかりしてて、キー間も十分とってあり、強く押さなくてもちゃんと認識されます。キートラベルは多少浅いですが、この手の薄軽ノートの中では平均以上です。
不満点をバックライト以外に強いてあげるなら、いくつか小さすぎるキーがあることと、ビデオ会議に使えるようなミュートやビデオオフのショートカットがないことです。タッチパッドに関してはMicrosoftらしく絶妙で、表面はなめらかで反応がよく、ジェスチャーも簡単にできます。
12.4インチ・1536 x 1024ピクセルのディスプレイは問題ありません。解像度は1080p以下と低いものの、このサイズなら許せるし、色にパンチがあります。明るさも最大366ニトで、夏の屋外でも使えます。ツヤありのパネルに自分が映り込んじゃうのは、カリフォルニアの強い日差しの下だけでした。この価格帯だと画面が暗くて味気ないことも多いですが、Surface Laptop Go 2のディスプレイはそのへんのよりずっと良いです。ただ、長い書類やWebページをスクロールしたりする場合は、アスペクト比が3:2なので多少マシとはいっても、12インチよりもう少し大きいモデルがあればもっとよかったと思います。
半歩だけ進んだパフォーマンス
Surface Laptop Go 2、性能的にも大丈夫なんですが、いくつか注意点があります。ベースモデルのRAMは4GBしかなく、プロセッサーもアップグレードされたとはいえIntelの第11世代、つまり最新のひとつ前の世代です。4GBのRAMは、セカンダリデバイスだったり本当にベーシックな使い方だったりしたらいいんですけど、そうじゃない場合は足りてません。
ベースモデルのストレージが64GBから128GBになったのは良かったんですけど、RAMのほうももう一声ほしかったですね。やっぱり600ドル切りってのが至上命題になってたんでしょうか。メモリ4GBって200ドルのChromebookとかと同じで、さすがにどうかなあ…。

レビュー機は良いほうのスペックだったので、ベースモデルのフニャフニャさ加減は実感できてません。でもレビュー機に関しては、CPUがCore i5-1135G7、RAMが8GB、SSDが256GBで、負荷をかけても問題なく動きました。Chromeのタブを複数ウィンドウで計3ダースくらい開いて、裏ではESPNで大学野球を流してましたが、途中で固まったりはしてないです。でもそのとき残念ながら、本体の底面は摂氏約49度と、だいぶ温まってました。
ベンチマークは何とかこなしたって感じで、Geekbench 5での全体パフォーマンススコアは3,206と、僕らが試した中では最低の部類です。とはいえ、この価格帯では普通ですね。Blenderでの3D画像レンダリングには12分14秒かかり、クリエイティブな作業よりはWebブラウジング向きなんだってことが裏付けられます。グラフィックスはIris Xeなので、Steamでゲームするよりはストリーミングのほうがよさそうです。

720pのWebカメラは前より良くなったそうなんですが、低解像度カメラは低解像度でしかなく、プレミアムモデルの500万画素カメラの足元にも及びません。上の画像の通り粒子が粗くて、背景の明るい部分は完全に飛んでます。
バッテリーテストはまだちゃんとできてないんですが、WWDC 2022の取材に持っていったときの感じだと、とくにがっかりもしない分、すごい!ってこともないです。フル充電1回で8時間前後持つはずなので、前モデルよりは進化しました。
で、買うべき?
Surface Laptop Go 2は、ベースモデルよりステップアップしたモデルにするなら、お手頃で良い選択肢になります。おすすめはベースに100ドル足した、真ん中のRAM 8GB・SSD 128GBモデル(日本だと10万9780円モデル)で、指紋センサーも搭載してます。
Microsoftにとっては、Windowsマシン市場の中で、800ドル以下の価格帯が死角なのが幸いしてます。プレミアム系の会社はこの価格帯で作らないし、逆にこの層のメーカーも、遠慮しててレビューを依頼してきません。似たような値段のマシンといったら、ハイエンドなChromebook、たとえばAcer Chromebook Spin 713とかがありますが、WindowsでちゃんとしてるのはHP Envy 13とかAsus Zenbookとか、ごくわずかです。

Surface Laptop Go 2に関しては、僕はあまり惹かれないんですけど、それでいいんでしょうね。普通だったらこの価格帯のノートPCは妥協だらけで、全然勧められないものが多いんです。でもSurface Laptop Go 2は、お子さんにPCを買ってあげたい人とか、高齢の親御さん用のPCを探してる人とかになら安心して勧められます。シンプルで信頼できて、余計なものがなく、おなじみのOSが載っていて、デザインにもプレミアム感があります。
つまりSurface Laptop Go 2は、「普通に使えるPCが欲しいだけ」っていうメジャーな要望への答えなんです。さらに「プレミアム感もあるやつ」って条件があるなら、Surface Laptop Go 2で決まりです。
ただ僕としては、もう少しだけ欠点を補えれば、ちょっとくらい値段を上げてもバチは当たらないだろうという気はするので、これからMicrosoftがそんなお手頃ノートを作ってくれることに期待してます。それまではSurface Laptop Go 2こそ、多少退屈でも手がたい選択肢、ってことになります。
バックライトがないこととか、ベースモデルのメモリの少なさには、ほんとに納得できないんですけどね。