え?動いてない?あなたはレアな14%の人かも。
黒い部分大きくなってない?
この画像、ちょっと大きくして真ん中の黒いところをジーッと見てください(オリジナル画像はこちら)。黒いところがモワモワ〜っと大きくなって穴の中に落っこちてしまうような感覚になりません? これを作成したのは視覚と錯覚研究の第一人者、立命館大学の北岡明佳教授。知覚心理学がご専門です。
この画像は北岡教授の研究の一環として作られたもの。白い背景に小さな黒いドットがいくつも並べてありますが、完全なる静止画。それなのに動いているように脳が錯覚を起こし、さらにはその絵を見ている人の瞳孔もガッツリ開くことが研究でわかったそうです。この身体的反応は、明るい部屋にいて瞳孔を開いたりする調整が必要のない場合であっても、必ず起こるとのこと。ただ静止画を見ているだけなので、身体反応が起こる理由はまったくないはずなのに、騙されてしまった脳がリアルではない環境で身体反応までも起こしてしまうというおもしろい研究結果。
これは錯覚の一種。目で何かを見る、すなわち網膜に光が当たったときに、およそ100ミリ秒のスピードで脳が見たもののデータをプロセスします。脳は正確さよりも速さを優先するので、過去に見たことがあるもののデータを使って予想して補填するのです。
真ん中眩しすぎるぞ?

こちらも北岡教授の「朝日」という光の錯覚を起こすイラスト。真ん中がピッカーと光って見えますよね。脳が真ん中の白い部分を他の白い部分よりも眩しく見えるように受け取ってしまうのですが、RGBは真ん中も周りも同じ白の数値。明るさはまったく出されていないのです。またこれを見ている人は明るい状況にいないのに、瞳孔が収縮してしまうそう。確かに画面で見てるだけでも眩しくて目が痛く感じます。
瞳孔は収縮するのは、脳が急な明るい光から網膜を守ろうとしているから。でも、実際は真ん中の白色はなんら普通の白で、明るくともなんともないので網膜が傷つくことなんてないはずなんですよね。
最初のブラックホールの絵でいうと、見ている人の瞳孔はパッと拡張します。脳が見ているものが動いていてどんどん暗くなっていると勘違いしているからです。脳が目に「暗くなるぞー、瞳孔開いて光集めてー」と準備をさせているわけですが、完全に錯覚ですよね。でも、ここまで読んで、なんの話?と思っている人もいるかもしれません。この絵を見て、中心の黒い部分が動いて吸い込まれるような感覚になり瞳孔が開く人は全体の86%。14%の人は何も起こらなかったそうです。あなたはどちらですか?