熱波で米カンザス州の牛が大量死

  • author Molly Taft - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
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熱波で米カンザス州の牛が大量死
Image: Robert D Brozek / Shutterstock


テキサスで見かける放牧牛はみんな木陰にいるもんな…。

5月半ばから広い範囲で熱波が続いているアメリカ。先日、カンザス州で撮影された牛の死体が並ぶ映像(閲覧注意)がネットでバズったのですが、暑さによって大量死した牛の一部であることを当局が確認したそうです。

暑さで死んだ牛は最大1万頭

複数のメディアに対してカンザス州保健環境局の広報担当者が語ったところによれば、6月11日から12日の週末に、同州の南西部で少なくとも2000件にのぼる牛の死亡事故があったそうです。牧畜業者には牛の死亡事故を報告する義務がないため、この数字は当局に遺体処理の協力を求める業者しか含まれていないとのこと。つまり、実際の数はもっと多いということですよね。業界は、死んだ牛の数は1万頭と推定しています。

大量死が起こった週末のカンザス州では、最高気温が42度まで上昇した地域もありました。風が弱くて湿度が高い最悪の条件が、牛にとっては致命的だったようです。こんなの人間にとっても致命的です。

カンザス州立大学の獣医であるAJ Tarpoff氏も、ロイターの取材に「まさに最悪の組み合わせでした」とコメントしています。

牛には汗腺がほとんどなく、犬のようにハアハアと呼吸することで体温を調節しているため、暑さには特に弱いんだそうです。また、消化の過程で体内にこもった熱を夕方の涼しい時間に放出する牛にとって、夜の暑さは危険とのことです。

畜産業界団体であるNebraska Cattlemenで会長を務めるBrenda Masek氏はロイターに対し、「3日前に確認したから大丈夫とは言えない状況です。暑くなってきたら、毎日ちゃんと飲み水が十分かどうかをチェックしなければいけません」と述べています。

熱波は西へ東へ

同期間に熱波に見舞われたのはカンザス州だけではありません。というか南西部はもうずっとこんな感じです。カリフォルニアからテキサスにかけて最高気温が華氏100度(摂氏37.8度)超えの過去最高を記録する地域が続出。その後、熱波が東へ移動すると、中西部の複数の州でこの時期には異常な32度超え。米国気象局は、6月20日以降、アメリカの東半分では北からメキシコ湾までひどい暑さが続くと予想しています。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が昨年発表した報告書によれば、従来は10年に一度だった熱波が、気候変動によって2倍の頻度で起こるようになったそうです。

畜牛は最大のメタン排出源

2018年に記録によれば、畜産牛のシェアで全米の7%にあたる600万頭以上を占めるカンザス州は、牛の生産地としてテキサス州とネブラスカ州に次ぐ全米3位だそう。牛の消化過程(腸内発酵)で発生するメタンは、気候変動を引き起こす温室効果ガスのひとつです。2019年のデータでは、腸内発酵がアメリカにおける最大のメタン排出源になっており、総排出量の27%以上を占めています。良くないことに、この数字は牛の飼育頭数の増加に伴って1990年代以降ずっと上昇を続けています。

半減期が短いものの、CO2と比べて最大80倍の温室効果があり、短期の気温上昇に寄与しているメタンを大量に排出している畜産業界が、気候変動によってより激しく、より頻繁に起こるようになった熱波の影響を受けるのはちょっと皮肉な感じがしますが、メタンを排出する畜産業や農業全般、天然ガス生産のあり方について考えさせられる出来事ですね。