どれくらいチーターっぽいかはさておき。
チーター型ロボットのスキルを高めるべく試行錯誤中だというのが、MITのCSAILでロボティクスを専門とする研究者チーム。どんな地形でも速く走れるように、また必要に応じて走り方を変えられるように調整した結果、これまで以上に速いスピードで走れるようになったそうです。
ロボットの歩行が遅い理由
人間の世界は凸凹道、砂利道、滑りやすい氷道、突然の障害物など、歩行型ロボットにとってカオスそのもの。二足 / 四足歩行にかぎらず、ロボットたちがゆっくりと慎重に前進しようとするのは、最悪の事態を視野に入れつつプログラミング・設計されているためだとか。
そんなロボットたちがどんな道でも自信ありげに歩みを進めるためには、やはり適応能力が鍵となります。安全な道から注意が必要な道に向かう際には、足取りも、速さも変化させる必要があります。もちろん、新たな地形を歩くたびにひとつひとつ学習させることもできますが、それでは必然的に時間がかかってしまいます。
新たなアプローチとして、自らトライ & エラーで新しい土地に挑み、動きを自己修正できるというロボットが開発されました。しかし、実際は人間が足を踏み入れるうえで危険な地にロボットが活用されることも多いなかで、このロボットでは少し頼りない...。
自分のことを深く認識して高速で走り抜けるロボット
そんな課題があるなかで、フル効率で動けていないことを自覚したり、ダメージを受けた部品を補ったりできるというのがこちらのチーター型ロボット。地形を認識することはできないので、氷道や砂利道は区別できません。でも、AIやシミレーションによりたった3時間で100日分の(あらゆる道を歩くという)バーチャルアドベンチャーを経験し、A地点からB地点まで効率よく移動できるように歩行を調整しながらスキルを磨いたといいます。
こんなに勢いよく走るロボットはなかなかないはず。それは、何百万というコストをかけて作ったロボットが一瞬で壊れてしまったら…という理由よりも、モーターなど走るために必要な部品を限界ギリギリまで駆使することによりロボットの動作が予測不能になるため。それがこのチーターに関しては、さまざまな地形に適応できるようになったのと同時に、部品の機能に適応できるようになり、より効率的に走行することができるようになりました。
突進するかのように素早く走る姿はなかなか印象的ですが、そのスピードは人間が走る平均よりも速い時速14km超え。このアプローチを活用すれば、物理的に見たことも触れたこともないあらゆるオブジェクトを安全に処理するように高速学習できるとと考えられます。たとえば自律型ドローンを、試行錯誤によって学ぶために実際に送るのではなく、安全なシミュレーションを通じて悪天候で飛行する方法を教えることもできるようになりそうです。