まるで「今週のビックリドッキリメカ」。
スタンフォード大学が、まるでハヤブサのように木の枝を掴んでとまり、物体を鷲掴みにできるロボット「SNAG(stereotyped nature-inspired aerial grasper)」を3D印刷で作りました。
開発の目的は、野生の生体観察や救助に役立てようというもの。しかし研究者のローデリック博士が作ったのは下半身のみ。そこで空を飛ばすため、上半身をドローンと合体させた、トンでもキメラなメカが誕生してしまいました。
ロボットは着地時に膝や股関節を曲げて衝撃を緩和し、アルゴリズムを使ってバランスを取ろうとします。開発者はコロナ禍で、自然が豊かなオレゴンに引っ越したとのこと。ロボットはさまざまな環境でテストすることができました。
ドローンに足がある利点
ドローンをはじめ、ほとんどの飛行ロボは飛びっぱなしなので電力をずっと消費し続けます。ですが木の枝にとまって休めるロボであれば、その間に電力を使わず使用時間が伸びるのがメリット。これで山火事などの監視が容易になります。
徹底的に鳥の着地を研究した
「SNAG」を作るにあたり、本物のインコを使って着地の様子を科学的に分析した博士たち。着地のプロセスは簡単そうに見えて、実はよく分かっていなかったのだそうです。そこで、センサーを付けた色んな素材の止まり木を試したり、複数のスピードカメラで撮影したりして、鳥の研究から始めたのでした。
研究で得た驚きや発見
鳥の着地は、どんな表面でも空中での動きが同じだったことが1番の驚きだったのだそうです。またハヤブサの指は前3本と後ろ1本で、インコは前後2本ずつと並び方が違うものの、どちらも機能が同じだったことも新発見だったとのこと。
改めて動画を見ると、鳥は足で鷲掴みにする以外にも、翼の羽ばたきで減速したりバランスを取ったりしているようですね。最初の動画で着地時に前のめりになっていたのは、やはり上半身が翼のないドローンだからなのでしょう。
現段階では翼の有無は課題になっておらず、今後は離陸前の状況判断と飛行制御の改善に焦点を当てていきたいとのこと。なるほど、しばらくはこのキメラで進めるんですね。
Source: YouTube (1, 2), Stanford via Laughing Squid