サケの精液から作れちゃうプラスチック、最大の弱点は水

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  • author Molly Taft - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
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サケの精液から作れちゃうプラスチック、最大の弱点は水
Photo: Shutterstock

この発想はなかった。

サケの精子からマグカップを作ってみた

増え続けるプラスチックごみ問題解決の鍵は、サケの精液。え? サケ? 精液? そう、サケの精液です。今回、中国の研究チームが発表した論文によると、サケの精液から抽出したDNAを束ねて「DNAプラスチック」呼ばれる素材を開発したのだとか。パッと聞いてもちょっと意味がわかりませんよね。

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Image: Han, et al., 2021/Journal of the American Chemical Society
右下がサケの精子を使って作ったマグカップ

この「DNAプラスチック」なる新素材は、サケの精液から抽出したDNAと、植物油に含まれる化学物質を混ぜ合わせてジェル状にした物質を型に入れてフリーズドライさせることができるんだそうです。研究チームは、この「アクアウェルディング」と呼ばれる技術を用いてマグカップやDNAの分子モデル、パズルのピースのような小物を作ってみたとのこと。写真を見ると、デザイン賞でも獲りそうなイケてる感じはしないし、まあサケの精子でつくったマグカップと言われればそうなのかもと思っちゃいそう。

リサイクルが超かんたんでCO2排出量が超少ない

この素材のイケてるところは、特殊な酵素を使えばDNAを分解できたり、水に浸せばジェル状に戻したりできちゃうところ。つまり、リサイクルが超簡単なんです。いやちょっと待って、水に浸したらジェルになるマグカップってスリルありすぎどころか使えないじゃん。

このDNAプラスチックは分解しやすいだけじゃなく、作るときに熱を必要としないので、従来のプラスチックの5%しかエネルギーを消費しないため、はるかに二酸化炭素排出量も少ないそうですよ。コーンスターチのような生物由来の素材を用いたバイオプラスチックは、石油化学由来のプラスチックと比較してライフサイクルの排出量は少ないものの、それでも熱とエネルギーは必要なので、気候フレンドリーとは言い切れません。また、バイオプラスチックはリサイクルの問題などもあって、今ある廃棄物処理システムの中では最良の解決策ではなさそうです。

研究を主導した天津大学の研究者であるDayong Yang氏は、「私たちの知る限りだと、DNAプラスチックは既存のプラスチックの中で最も環境的に持続可能な素材と言えます」と英タイムズ紙に語っています

DNAプラスチックの弱点は、水

研究チームによれば、この新しいバイオプラスチックは、魚の精液だけじゃなく、ほとんどの有機素材から作れるんだそうな。ただ、さっきもちょこっと触れましたが、最大の問題は、水に弱いところ。精液プラスチック時代の幕を開けるには、かなり高そうなハードルです。

水に負けないマグカップにするには、永遠の化学物質とも呼ばれているフッ素化合物(PFAS)で防水コーティングをしなきゃいけないんだそうです。PFASってプラスチックだし、リサイクルも難しくなるじゃないですか。研究者によると、水にぬれる恐れがない製品は、コーティングをせずそのまま使う方がいいかもとのこと。

現在、世界は63億トンのプラごみを抱えています。から国立公園エベレストの頂上まで、あらゆる場所にプラスチックはたどり着いています。それに、プラスチックは分解されるまでにかなりの時間がかかります。時代が脱化石燃料に向かう中で、化石燃料産業は生き残りをかけてプラスチックに多額の投資を行なっています。おまけに、こんなにプラごみが問題になっているのに、プラスチックの消費量は2040年までに現在の3倍になるそうです。爆速で大きくなるプラスチック問題をスローダウンできるかもしれないこのDNAプラスチック、私は激推しです。

サケの精液プラスチック製品 ほしい?

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