動画へ思いを馳せつつ、でもスチルを楽しみつつ、でもやっぱり動画を撮りたくなるソニーのカメラ「ZV-E10」

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  • author ヤマダユウス型
動画へ思いを馳せつつ、でもスチルを楽しみつつ、でもやっぱり動画を撮りたくなるソニーのカメラ「ZV-E10」
Photo: ヤマダユウス型

最終的に、ガッツリ撮りましたよ、動画。

インターネット上でのコミュニケーションは、はじめにテキストありき、やがて画像が増えてきて、昨今のSNSでは動画を使ったコミュニケーションも一般的になってきました。非言語的で、ユニークで、言葉よりも表情が宿る。一国の首相がSNS動画で国民に呼びかける時代ですもの。

そんな動画隆盛時代だからこそ、ソニーからAPS-Cミラーレスカメラ「ZV-E10」が発表されたのは自然な流れなのかもしれません。このカメラは動画撮影、特にVlog撮影に重きを置いたカメラで、位置づけとしては2020年6月に発売された「ZV-1」のアップデート版にあたります。

しかし、「ZV-1」とはいくつかの点で大きな違いがあります。ひとつはレンズ交換が可能であること、もうひとつはセンサーがより大きなAPS-Cサイズになったこと。つまり画質がガッツリ強化されたわけですね。高性能なレンズとセンサーを持ちつつ、手軽に動画撮影ができる。このつよつよハイブリッド感こそ「ZV-E10」の魅力。

…だがしかし、「デジカメは持ってるけど動画は撮らないよ」って人もいらっしゃるのでは? 僕もそうです。だもんで「ZV-E10」の魅力を十分に味わえるかどうか不安だったのですが…結果としてどうなったかは、このレビューを通してお話します。1ヶ月近く使い込んだので、作例を交えつつたくさん語らせて下さい。

SONY ZV-E10

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これは何?:APS-Cセンサー搭載のミラーレスカメラ

価格:本体の想定価格は7万8000円前後、レンズキット(ZV-E10L)の想定価格は8万9000円前後

好きなところ:小型軽量な動画カメラ。レンズ交換によって画質と携帯性をコントロールできる

好きじゃないところ:動画撮影が不要なら特別な魅力はない。画質を求めると本体バランスが悪くなる

スマホのような操作性をカメラにイン

「ZV-E10」は、独特の操作性を有しています。詳しくはハンズオン記事にて紹介していますが、普通のカメラならあるはずのモードダイヤルが無い! 絞り優先やマニュアルなどはダイヤルではなく、Fnボタンを押してメニューを開いてから切り替えます。

これって、写真を撮る上ではちょっと手間ですよね。でも、果たしてすべてのカメラユーザーがモードダイヤルを活用しているのか? ここは絞り優先、ここはシャッタースピード優先とか、カチカチ切り替えるよりも、ずーっとPモードで撮影する人もいるのでは?

といったような、ある種のライトさというか割り切りというか、カメラの伝統から離れた新しい操作性が「ZV-E10」の個性のひとつ。その代わり意識したのは、若いカメラユーザー。もっと具体的にいえば、スマホ撮影からデジカメに入ったユーザーです。

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それを象徴するのが、上部にある「静止画 / 動画 / S&Q切り替えボタン」。これを押すと3つの撮影モードを切り替えることができるのですが、この操作性がかなりスマホっぽい。スマホカメラを起動すると、スワイプで写真と動画を切り替えできるじゃないですか。あの感覚が近いんですよ。

写真も動画も(あとスロー撮影も)、気分でカンタンに切り替えができる。こう聞くと、デジカメの系譜というよりも、スマホカメラの系譜のように感じません? じゃあその系譜でありながらデジカメのようなレンズ交換ができるのって、かなりアドに感じません?

レンズ交換で画質を追い込もう

今回は3本のレンズを使いました。キットレンズの「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」、ソニーAPS-C定番の標準ズーム「E 16-55mm F2.8 G」、デカくて綺麗なフルサイズ単焦点「FE 35mm F1.4 GM」です。

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それぞれのレンズを装着してみるとこんな感じ。キットレンズの小型さがずば抜けてますわ…。キットレンズはパワーズーム対応なので本体のズームレバーで操作できますが、他の2本を装着している時はズームレバーは何もできません。これ、ちょっともったいないよなぁ。

ホールド感はα6xxx系とほぼ同じ。グリップ上部の食い込みはありませんが、キットレンズなら全く問題ありません。キットレンズよりも大きなレンズの場合は、どうやってもトップヘビーになっちゃいますね。手ブレ補正はボディ内ではなくレンズ側で対応し、動画の場合はさらに電子式補正に対応。

小型さを活かすなら、普段は小さなレンズにしたい。でもたまには良いレンズでバシっと撮りたい。こうした画質コントロールを動画にも応用できちゃうのが「ZV-1」との違いです。動画ってスマホだと手軽に撮れるけど、カメラで撮る場合は何かと億劫になりがち。「ZV-1」はそこを手軽にしてくれたけど、画質の面でスマホからの飛躍がもう一声だった。そこを「ZV-E10」はセンサーサイズも大きく、しかもレンズ交換によって光学的な画質も追求できますよと、幅をもたせてくれた感じですね。

手軽さと画質、どっちを求めるか

ここからはそれぞれのレンズでの作例を交えつつ語っていきます。まずはキットレンズの「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」の作例から。

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ズームレンズならテーブルフォトの距離感も自在。色味も良いねぇ。


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ワイド端でf9まで絞っての遠景。同じような広角の絵はスマホでも撮れそうですが、キレが違うかなと。


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シャドウ、粘ってます。粘れます。


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屋内の狭い場所でも、バリアングルを駆使すればローアングルで狙える。


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でも逆光は勘弁!


さすがキットレンズ、めっちゃ使いやすい! 画質については順当に「スマホカメラよりも確実に良い画質」な立ち位置になっていると感じました。スマホカメラで撮影していて物足りない人が使えば、十分に画質のクオリティ変化を感じられるでしょうね。

一方で、APS-Cセンサー搭載のミラーレスとしては描写が物足りないかなと感じた面も。まぁそこは携帯性と画質のトレードオフが如実に出る面。「ZV-1」の場合、もうクオリティをどうすることもできなかったのですが、今回はレンズ交換で画質面を強化できるワケですよ。

というわけで、次は明るいズーム「E 16-55mm F2.8 G」の作例です。

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最短33cm、程よい距離です。覗き込みたくなる被写体を程よい距離で捉えられます。


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コントラストも良いので、西日でのスナップが捗るったらない。


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手前の樹皮がややボケしていて、距離感を感じる。玉ボケも良き。


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解放でのキレが気持ち良いレンズです。クチバシ、手前の葉、うっとり。


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輝度差がある場所を探してしまう。


明らかにキットレンズより一段上の描写を感じました。まぁ重さが5倍くらい違いますからね…。描写は素晴らしいですが、やはり携行性やホールド感が厳しいです。レンズ側に手ブレ補正がないので、テレ端時はブレに気をつけたい。

でも、この画質はスマホよりも格段に上。光学的な表現も大口径レンズならではですし、画質を含めて「ZV-E10」を検討しているなら、一緒に検討する価値のあるレンズです。筋力に自信があるならキットレンズはスルーしてこっちを選ぶのもアリ。

最後は、フルサイズ対応の単焦点「FE 35mm F1.4 GM」の作例をご紹介。ぶっちゃけ、コイツは規格外です。地区予選にプロが来ちゃった的なアレです。

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解放f1.4。ただの紅茶の茶葉もドラマチックにしてしまう大口径。


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F2.8まで絞ればさらにシャープに。像高中心部しか使ってないので、歪みもほとんど見えません。


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換算約52mmは、テーブルフォトだとやや寄り気味。でも逆に大胆に切り取れる。


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もうこの玉ボケに言葉はいりませぬ。この画質で動画撮ったらどうなっちまうんだ…。


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なんでもない風景にも撮影者の視点が宿る。このレンズ、やはり規格外。


この画質もまた、キットレンズの5倍近い重さを許容することで得られます。「ZV-E10」のためにコレを買うってのはさすがにイメージしにくいですけど、フルサイズEマウントユーザーのサブカメラとして、贅沢にイメージサークルを使うのも一興。その使い方だとα6xxx系との差別化点は、やはり動画性能ですかね。

「ZV-E10」にはファインダーがありません。そこがスマホ的な使い方の延長でもあり、本気のスチル撮りに使いにくい点でもあります。優秀な単焦点レンズをスマホカメラよろしく手軽に扱っていく。そんな贅沢装備も、レンズ交換次第でできちゃうポテンシャルが、コイツにはあるのですよ。ミラーレスEマウントだからシグマのIシリーズとか付けられるのも良き。

動画どうなの? 撮れるの? 撮ったよ!

さて、作例では写真を通して「ZV-E10」の使い心地とレンズ交換の魅力を紹介しました。でも、このカメラを語るなら動画機能は避けては通れません。写真よりも動画で残したくなる情景はたしかに存在するし、そんな時に「ZV-E10」なら、簡単に動画撮影に移行できる。スマホで動画は撮るのに、デジカメで撮れないなんてことがあろうか!

というわけで、人生初。Vlogを撮りました。ついでに音楽もMPC Live IIで作りました。ご覧くださいませ。

Video: ヤマダユウス型/YouTube

色味補正はナシ、Premiere Proで繋げてテロップを乗せただけの簡単編集です。なんかあれですね、思ったより楽しいですね、動画。写真とは違う目線を要求される新鮮さよ…!

ジンバルやグリップは使わず、手持ちで撮影しています。「GP-VPT2BT」のようなグリップがあればブレを押さえられるのでしょうけど、スマホカメラのように思いついた時に撮影するならやっぱり手持ちかなと。見ての通りややブレはするものの、電子手ブレのおかげで見れるレベルにはなめらか。でも「GP-VPT2BT」はめちゃ優秀なグリップなので、全然検討して良いアクセかと。

撮影操作については難しいことはなく、一般的なデジカメと同じ感覚。マイク性能が優秀で、セミの鳴き声がこれでもかというほど収録できていました。「外付けマイクだと街中でカメラを構える時に目立ってしまうのが気になる」という人にも、これなら内蔵マイクで十分。

Vlogであれば自撮りをすることも多いだろうと思って、各レンズでの自撮り性能も比べています。自撮りに関してはパワーズームで操作できて、かつ軽量なキットレンズが一番使いやすい! 他2本のレンズは、とにかく重くて腕がツラい。大口径レンズでセルフィーするなら、ある程度覚悟がいりますね。

でも、なんだかんだで動画、楽しかったです。「この様子、なんかステキ」を集めてつなげるだけでも、十分楽しい。ポスプロや、エンコード、アップロードなどなど、考えることが多いので大変ではあるんですけど、そのぶん出来上がった作品には愛着がありますね〜。

Vlogの道は険しい。でも、なにか感じるものありけり

「ZV-E10」は、動画派か否かで評価が大きく変わるカメラだと感じました。と同時に、ちょっと動画に興味がある人(Vlogにしろライブ配信などの撮影にしろ)を、もっと動画に近づけるカメラでもあると思います。

記事冒頭で述べた通り、最近は動画コンテンツがとにかく増えてきてます。自分も動画を試してみたい、動画で日常を記録したりコンテンツを作ってみたいと思う人も増加傾向でしょう。そんな人にとって普通のデジカメは写真をメインにしすぎてるでしょうし、かといって本格的な動画撮影カメラは…高すぎる!(cv.米倉涼子)。

そんなトレンドを意識してか、各メーカー動画撮影を意識したカメラを出しています。でも、いずれもデジカメの延長線で、操作性もデジカメのそれでした(デジカメだから当然よ)。「ZV-E10」は、画質はデジカメ級だけど操作性はスマホのようなライトな仕様。この絶妙なさじ加減のUIは、動画撮影をしたいユーザーにとって重要な気がしました。

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でも、僕はあくまでスチル派。動画は「そういえば動画も撮れたんだった」くらいの距離感です。そんな人にとっての「ZV-E10」は、機能を十分に引き出せないもったいないガジェットに感じるかなぁ。「静止画 / 動画 / S&Q切り替えボタン」も、マイク性能も、セルフィーの持ちやすさも、あまり活用できないもの。

Vlog特化カメラを使ってみたけど、結局はいつも通りに写真を撮りがち。それでもなんとか動画を撮ってみたら意外と楽しくて、新たな表現の可能性を感じた。これが、僕の感じた「ZV-E10」の印象です。実際このあと自分が使ってるX-T4で動画を撮って、vimeoっぽい色や繋ぎ方で遊んだりしてるので。この経験も写真に活かせるかもしれませんね。

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結論。普段からVlogなどの動画を撮ってる人はすごいと思った。僕も動画と仲良くなりたい。「ZV-E10」を使いこなせば、もっと動画と仲良くなれるのだろうか。なりたい…。

Source: SONY

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