秀逸? Facebook広告の仕組みを使ってプライバシー喚起を試みる

  • author Shoshana Wodinsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • Rina Fukazu
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秀逸? Facebook広告の仕組みを使ってプライバシー喚起を試みる

「新婚のピラティス講師でカートゥーンが大好きなあなたには、この広告が表示されています。位置情報によれば、ラホヤにいるみたいですね」

自分の居場所、職業、好きなものなどの個人情報を含む広告をInstagramに掲載しようとしたのは、プライベートメッセンジャーの「Signal」。ただし、実際にInstagramでこの広告が流れることはなかったとか。なんでもSignal社のブログによれば、広告掲載拒否されたのだといいます。

そもそもどうしてそんなスーパーターゲット広告を?

Signal社はInstagram独自のアドテクツールを使って、Instagramとその親会社であるFacebookがユーザーから収集している膨大なデータを広告を通じて表示しようとしました。その背景にあるアイデアは至ってシンプル。

私たちがInstagramやFacebookを開いてフィードをスクロールしている間に収集されたデータは(InstagramとFacebookで分けられることなく)、同じ場所に集められるようになっています。企業はFacebookのプロパティ群が収集した無限に近いデータポイントを使って、ターゲットを絞ることができます。

こうしたデータには年齢、住んでいる都市などの基本的な情報だけでなく、新しい家を探しているかどうか、独身かどうか、エナジードリンクが好きかどうかなど、より詳細な情報も含まれます。Signal社はこれを基にかなりターゲットを絞った広告キャンペーンを投下しようとしました。

それも、K-POPファン向けの広告には「K-POPが好きなあなたへ」、独身の人向けの広告には「独身のあなたへ」、ロンドン在住で美術史の学位を持つ離婚経験者をターゲットにした広告には「ロンドン在住で美術史の学位を持つ離婚経験者のあなたへ」と明記する形で…。

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Screenshot: Signal

Facebookは広告掲載を阻止した?

でも、こうした広告は、実際にInstagramに流れることはありませんでした。Signal社のブログ記事によると、広告を掲載するために使用されたアカウントは、ターゲット層にリーチする前に停止されたといいます。

一方、Facebookは、一連のSignal社の主張について売名行為だと非難しました。

Signal社は実際にこうした広告を出そうとしたことはなく、Facebook側は出そうとしたからといって広告アカウントを停止したわけではありません。もしSignal社が今回の広告を出そうとしていたとしても、そのうちのいくつかは拒否されていたでしょう。なぜなら、Signal社は知っているはずですが、当社の広告ポリシーでは、特定の病状や性的指向を断定するような広告を禁止しているからです。しかし、当然ながらSignal社の目的は広告を掲載することではなく、宣伝効果を得ることでしょう。

これに対し、Signal社はツイッターで広告が拒否されたことを示すスクリーンショットを公開。「広告は拒否され、広告アカウントは無効になったことをFacebookは知っているはずだ」と述べています。


もうここまで来ると、どちらの主張が正しいかはちょっと傍に置いておいて、そんなことよりもSignal社の広告が自分のフィードに流れてきたら、何て書いてあっただろうかが気になります。Instagramが自分のことをどう認識しているのか、知りたいような、知らない方が良いような…。