エナジードリンク2リットルを2年間飲み続けた男性、心不全で死にかける

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エナジードリンク2リットルを2年間飲み続けた男性、心不全で死にかける
Image:Tolga Akmen / AFP (Getty Images)

飲んで元気になるはずが。

イギリスのある医師の報告によれば、毎日大量のエナジードリンクを飲んでいた21歳の男性が心不全を発症し、診断時には生命の危険もあったそうです。この男性は500mlのエナジードリンクを毎日最大4本、2年にわたり飲み続けていました。

通学できなくなるほどの不調

4月15日にBMJ Case Reportsに掲載された報告書によれば、イギリスに住むこの21歳の男性は、息切れや腹部膨満感を訴えて地元の病院を訪ねました。彼にはほかにも体重減少、震え、動悸、全身疲労といった症状がその4カ月ほど前からあり、どんどん悪化して3カ月前からは大学にも通えなくなっていました。検査の結果、彼は心不全と腎不全を併発していて、その影響で脳機能も損ないせん妄を起こしていることがわかりました。

男性はアルコールや薬物の摂取はしていないと言っていて、家族歴を見ても心臓に問題がある兆候はなく、心あたりがあるとしたら、エナジードリンクを毎日がぶ飲みしていたことだけでした。たしかに500ml x 4本 = 2リットルは結構な量です。

医師は男性の心不全の原因をエナジードリンクの飲みすぎだと結論付けていて、長期間で徐々に心臓が害されていったと見ています。一方腎不全に関しては、腎臓と尿道で尿が慢性的に詰まっていたことが原因とされましたが、こちらはエナジードリンクやそれによる心臓の異常と関係している可能性は低いと見られています。

ともあれ、彼は心臓も腎臓も集中治療しないことには命すら危ない状況と判断され、入院から3日後には専門病院へと転院を余儀なくされました。それから58日間、ほとんどの日は人工透析を受けて過ごしましたが、治療の甲斐あって最後はほぼ回復して退院できました。

「心不全が発見され、心臓の血栓治療などを受けていなければ、彼は心不全または心臓発作で亡くなっていた可能性が高いです」。報告書の著者で、Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trustの循環器専門医でKing’s College Londonの名誉講師であるAndrew D’Silva氏は、米Gizmodoへのメールで書いています。

過去にも複数のケースが

報告書で指摘されているように、若くて健康な人のエナジードリンク飲用と心臓の症状が結び付けられるのは、これが最初の例ではありません。2012年にはエナジードリンクを立て続けに飲んだ24歳の男性が心不全になり、人工呼吸器が必要となったケースが報告されました。2020年にも、26歳の男性がエナジードリンクに引き起こされる心不全と診断され10カ月間にわたり生命維持装置を要する症状となっています。

こういったケースでエナジードリンクは症状と関連すると推定されてはいるものの、具体的にどう心臓に影響を及ぼしたのかはわかっていません。でも、症状の原因となった可能性が高いと目されているのは、エナジードリンクに含まれる大量のカフェインです。この男性が飲んでいたドリンクには1本あたりカフェイン160mgが含まれていたので、4本だと640mgになります。ちなみにコーヒー1杯200mlだとすると、カフェインは120mgくらいらしいです。カフェインのような刺激物は心臓の鼓動を通常より速く、強くさせる働きがあるとD’Silva氏は書いています。

ただD'Silva氏は、カフェイン大量摂取の悪影響を受けやすい人がいるのではないかとも言います。 「一部の人においては、心臓が必要以上に速く脈打つ状態が長く続くと、一時的に心臓が弱くなります。さらに心臓が刺激を受けて強く脈打たされると、刺激過多となって刺激への受容体の制限が低下します。受容体とは通常のホルモン、たとえばアドレナリンやノルアドレナリンといった『闘争・逃走反応』の一部です」とD'Silva氏。「これにより、心臓が通常のコントロールに対し感度が下がり、一時的に心臓を弱くさせる可能性があります」としています。

現時点では、こういった説明もまだ推測でしかありません。エナジードリンクと心臓の問題のつながりを調べるには、影響を受けやすい人がいるのかどうかの判断も含めて、さらなる研究が必要です。

タバコみたいな警告が必要かも

この報告書にある男性の場合、D’Silva氏いわく今はエナジードリンクを飲むのもやめて、だいぶ元気になってるそうです。ただ腎臓の機能はまだ完全に戻らず、最後は移植が必要かもしれないそうですが、心臓の検査結果はほぼ平常値になっているようです。彼はもう数マイル歩いても問題ないし、息切れや体液の停滞といった症状もないそうです。

現在の彼自身の思いは、他の人にも彼の経験から学んでほしいということです。「エナジードリンクとその成分の影響について、もっと認知が高まるべきだと考えています。エナジードリンクは非常に依存性が高く、小さな子どもでも手に入れやすいです」と彼は報告書の中で言っています。「タバコと同じような警告ラベルを作って、エナジードリンクの原材料の潜在的危険を説明することが必要だと思います」

またD’Silva氏は、心臓にこうした症状がある人に関し、エナジードリンクが影響している可能性を医師たちも注意すべきと言っています。ただしその場合、他の原因がないかしっかり調査することも重要です。

最近は大容量で飲みやすいエナジードリンクが増えてきて、普通のソーダ感覚でごくごく飲んじゃってる人もいるかもしれません。というか訳者も、眠気覚ましにエナジードリンクを時々飲んでて、コーヒーと合わせるとかなり大量にカフェインを摂ってる日があったかもしれません。さすがに毎日2リットルは多分飲んでないんですが、これからちょっと気をつけたいです。

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