2020年の興味深かった考古学的発見まとめ

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • たもり
2020年の興味深かった考古学的発見まとめ
Image: A. J. E. Pryor et al., 2020/Antiquity

過去の人々の生活に思いを馳せる。

考古学はタイムマシーンのように時をさかのぼることができる学問です。次元転移装置の代わりに、考古学者たちは地中レーダーや走査型電子顕微鏡、DNAシークエンシングといったテクノロジー、そして古き良きシャベルを使います。学者たちの研究のおかげで、復元された過去からかつての物事を想像することができます。

2020年を振り返ってまず思い浮かぶのは考古学ではないでしょうが、決して考古学的にハズレ年だったわけでありません。今年の考古学ニュースの中でも特に興味深かった12の発見を振り返ります。


シャベルを使わずに「発掘」された、地中に埋まったローマの古代都市

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Image: Verdonck et al., 2020/Antiquity

リモートセンシング技術のおかげで、イタリアの考古学者らは土を掘り起こすことなく、地中に埋もれていた古代ローマの都市ファレリ・ノーヴィの建物や記念碑、通路に水管の配置を記した地図が作成できました。この都市はローマから北50kmにあって、人々は紀元前241年頃から紀元700年頃まで暮らしていたとか。地中レーダーが収集した280億個のデータポイントはまだ十分に分析されていないため、この地図はまだ初歩的なものだと考えられています。


2,000年の時を経て姿を現した、ペルーのネコの地上絵

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Image: Photo: Peru’s Ministry of Culture-Nasca-Palpa (AP) via Gizmodo US

UNESCOの世界遺産ナスカの地上絵を見るために使われていた天然の展望台にあったネコの絵は、作業員たちが偶然発見したものです。37mに及ぶこの地上絵は2,000年前のパラカス文化のもの(ですから厳密にいえば、ナスカ文化の作品ではありません)。巨大なネコの絵はひどく劣化していたため長く見過ごされていましたが、最近の修復作業で見る者に顔を向けているというディテールが明らかになりました。


女性ハンターの人骨が見つかり、先史時代の性別による役割分担が覆される

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Illustration: Matthew Verdolivo (UC Davis IET Academic Technology Services)

南米のアンデス高地で、大きな獲物用の狩猟道具と一緒に埋葬された9,000年前の若い女性の人骨が発見されました。この事実は大昔の性別による役割分業が公平だったことを示唆しています。17~19歳で亡くなったこの女性はビクーニャを狩るために尖頭器を使っていたと考えられます。また、彼女の墓から見つかった食肉を処理するための道具は、女性が獲物を解体していたことも示唆しています。

発見した科学者らは考古学の文献を読み直して、女性が大きな獲物用の狩猟道具とともに埋葬されていた件をいくつも見つけました。科学者らは「現代のジェンダー構造は過去のそれを反映してないもの」であり、「(過去の科学者たちが)性別による役割分担についていい加減な推測」を行なっていたと述べている。


蒸発ではなく焼かれていった、古代のベスビオ火山噴火の犠牲者たち

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Image: Norbert Nagel

紀元79年にベスビオ火山が噴火した際、古代ローマの都市ヘルクラネウムの町民たちはパニックに陥り海辺のボート小屋へと逃げました。これまでの学説では石造りの小屋の中で亡くなった人々は高温により蒸発して即死したといわれていましたが、今年発表された研究によると火山の有毒な煙で徐々に窒息していったのだとか。彼らの体は室温が400℃に達する小屋の中で死後焼かれていったのです。


1,000年前のイランでは、ステンレスの前身となる合金鋼が作られていた

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Image: Rahil Alipour/UCL Archaeology

9月に発表された論文によれば、1,000年ほど前の古代ペルシャ人たちは現在でいうところのステンレス鋼の先駆けとなる合金鋼を作っていたそうです。この合金鋼はクロミウムを1~2%とリン2%を含有しており、剣、短刀、鎧などを作るために使われていました。厳密には「ステンレス」とはいえず(リンが加わっていたため)かなりもろかったものの、るつぼ鋼の装入物に意図的にクロム鉄鉱(この場合クロマイト)を入れていたという最初期の証拠になります。


アメリカ先住民たちがヨーロッパ人たちよりも早くにポリネシアに到達していた可能性

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Image: Andres Moreno-Estrada

7月に発表された研究は、アメリカ先住民たちがヨーロッパの入植者たちより300年も前に南太平洋の島々に航海していたことを示唆するものでした。南米からの集団がポリネシアへと数千マイルに及ぶ壮大な旅をしたのは西暦1200年ごろだったと遺伝学的な証拠が示しています。彼らは現地の人々と交雑して、遺伝子を残していったのです。そしてその祖先が1380年ごろラパ・ヌイ(またの名をイースター島)など他の島々に居住するようになった。


ストーンヘンジ近くの奇妙な円形構造物

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Illustration: University of St. Andrews

ストーンヘンジ近くのソールズベリー平原で作業していた考古学者が、4,500年前の巨大な円形構造の遺跡を見つけました。この構造物は慎重に配置された20の竪穴から成り、大きなもので深さ5m、幅は10~20mもあったとか。各竪穴は中心部から平均して864m離れて円形に並んでいて、英国で発見された先史時代の構造物として最大級のものだと考えられています。建造された目的は不明ですが、神聖な場所の境界線を示すためかもしれません。


縄を発明したのは恐らくネアンデルタール人

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Image: C2RMF

フランスで発見された4万1000年前の細縄の断片は、縄を発明したのがネアンデルタール人だと示唆しています。この発見以前、繊維を紡いで糸にする技術の最古の例は約1万9000年前のイスラエルのものでした。

今回の断片は、複数の繊維がより合わさって糸になり、その糸で縄が編まれていました。考古学者らはこの縄が一緒に発見された石器の取っ手をつけるためか、石器を運ぶためのバッグなどの一部に使われていたと考えています。


20万年前の人間の寝床は、草と灰を重ねて作られていた

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Image: L. Wadley

石器や解体された骨、焚き火台や洞窟壁画といった物証から過去を垣間見ることはできますが、考古学者たちは先史時代のもっと日常的な側面を明らかにしようと奮闘しています。そういった意味で、南アフリカとエスワティニ近くのレボンボ山地の岩窟住居にあった、22万7000年前の人類がどのように寝ていたかを示す初歩的な寝床の発見はとても重要です。

この寝床は灰の層の上に草の束を敷いたもので、灰と草の組み合わせのおかげで寝る面は快適かつ清潔で、灰の層がよじ登ろうとする虫を寄せつけなかったとか。寝床は害虫駆除のため定期的に焼き払われ、その上に新たな草の層が重ねられていました。


60頭のマンモスの骨でできた氷期の構造物

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Image: A. J. E. Pryor et al., 2020/Antiquity

ロシアの都市ヴォロネジに近いコステンキ11で、毛がついた何百ものマンモスの骨でできた構造物が発見されました。マンモスの骨でできた構造物はこれまでも発見されてきましたが、こちらの構造物は大きさは12.5mと考古学史上最大級で、およそ2万5000年前と最古のものです。この構造物は氷河期の厳しい冬からの逃げ場となり、食料を備蓄する場所だったのかもしれません。


氷が融けて露わになった、ヴァイキング時代の山道

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Image: Espen Finstad

写真に写っているミトン、靴、馬用スノーシュー、ソリの一部、首輪につながったままの犬の遺骨は中央ノルウェーのかつては山道だった場所で見つかった遺物の一部。ヨートゥンヘイム山地にある山道は1,000年以上もの間使われていて、西暦1000年ごろのヴァイキング時代が最盛期でした。今回の発見や過去の同様の発見は、気候変動のせいで氷原が融け出したことによるものです。


古代ブリトン人にとってニワトリと野うさぎは、崇拝の対象だった

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英国ハンプシャーに埋められていたウサギの遺骨
Image: Tom Fowler, Easter Project

4月に発表された論文によると、ニワトリと野うさぎは約2200~2300年前にブリテンにもたらされた当初、食物ではなく崇高な生き物として扱われていたそうな。どちらも珍品であり神々と結び付けられていて、ディナーのメインディッシュにされるようになったのはローマ帝国時代が終わってからのことでした。

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