「パンデミックの終焉は近い」中国の終息を言い当てたノーベル賞科学者が予言

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  • author satomi
「パンデミックの終焉は近い」中国の終息を言い当てたノーベル賞科学者が予言
Image: Stanford Medicine, Michael Levitt Lab

当たってくれ!…頼む!

米英イスラエルの国籍を持つスタンフォード大学がん研究所のマイケル・レヴィット教授が、 「新型コロナウイルス(Covid-19)のパンデミックは予想より早く終息するだろう」と発言し、さまざまなメディアが引用しています。

疫学は専門外の教授ですが、化学の複雑系モデルの開発で2013年ノーベル化学賞に輝いた人。DNAと蛋白質のシミュレーションソフトを世界で初めて開発し、高分子構造の挙動の予測の第一人者として知られます。夫人が中国美術研究家で、中米イスラエルを行き来していることもあって、今回のコロナウイルスについては1月の初期段階から世界中の動きを注視してきました。

中国の鎮静化をだれよりも早く予言

1月31日、中国では46人が死亡。前日の42人よりは多いけど、増加はスローダウン。そこに目をつけた教授は中国国内の友人たちに、大丈夫だ、もうすぐ減少に転じるから…と解析レポートを送って激励。レポートは中国語に翻訳されてSNSで広まり、みんなそれを心の拠り所にしてがんばっていたら本当にその通りになって、2月7日から新規感染数が減って、1週間遅れで致死率も減少に転じました。

WSBTVの記事にあるように、2月初旬の段階で3月半ばの感染数と死者数をピタッと命中させています。

教授の予想: 感染80,000人 死者3,250人前後

3/16の実数: 感染80,298人 死者3,245人

3/30の実数: 感染82,122人 死者3,304人(ジョン・ホプキンス大学調べ

トンネルを照らす希望の光

教授が解析を思い立ったのは、パンデミックでたいへんなことになっていると中国の友人に聞いたから。「何か帰結点のようなものが導き出せないかと思って数字を詳しく見てみることにした」のだとイスラエルの経済紙カルカリストに語っています。

同紙のインタビューによると、最初、湖北省ではウイルスの感染は日率30%の勢いで蔓延していました。「これは空恐ろしい数。インフルエンザのことはよくわからないが、数の解析なら自信がある。その自分が見ても指数関数的な拡大だ。このペースでいけば、90日で全世界に感染が広まる計算だった」と言います。

ところがその後、事態は急転。2月1日には1日1,800人ずつ感染が拡大し、6日で4,700人に達していたのが、同月7日には直線的な下降に転じ、1週間おいて死者数も同じ下降線を辿ります。「ピークアウトしたことで終息の予測も容易になり、中国全土で2週間以内に事態は好転するという結論を出すことができた。現に今では新規感染はほぼなくなっている」と教授。

今でこそ過去形ですが、当時そのような予測をする人はゼロでした。周りは「中国全土で感染2000万人」、「最悪1億3800万人が感染する」という暗い予想ばかり。にわかには信じられない、本当に本人の予想なのだろうかと、半信半疑の中国の人たちから多数の問い合わせが入ったそうです。

それで友人宛てのレポートは定期便になって、やがて中国のTVから引っ張りだこになり、教授は「今の減少が続けば3月末には中国のパンデミックは終息する」と力強く語る時の人になったのでした。

なぜ中国の鎮静化を予測できたのか

教授が調査を始めた当初は、感染者1人から1日2.2人に広まって最悪でした。でも減少傾向になってからは早かったですよね。教授曰く、これは銀行の利率のようなものなのだといいます。つまり、いくら30%、29%と日々下がり続けても、利息は付くし、元本割れは起きなくて、増えるペースが遅くなるだけなので先がよく見えません。病気も同じことで、「毎日毎日、新規感染の数を聞いてると恐怖を感じるが、感染のペースが落ちればそれは終息が近いサイン」なのだそう。

あと、「指数関数的増加モデルでは、毎日誰か新しい人に病気がうつるという前提があるが、現実にはそうそう人づきあいの広い人はいなくて、毎日だいたい会う人は一緒だ。公共交通機関は他人と接触があるが、バスだって毎日乗り合わせる人はだいたい同じなので、そのうちほぼ全員にうつるか、全員免疫がついて落ち着く」とも言ってます。

「今はみな道ですれ違うたびにハグすることもないし、風邪ひいて出歩く人に会う心配もない」、「ルールをしっかり守れば守るほど拡散は治まるので、1人から広まる人数も3日で1.5人に抑えることができるし、感染率は下降を続ける」と聞くと、なんだかやる気が湧きますよね! この話を聞く限り、ルールを守れば死者数百万人、収束まで数年というレベルにはならないと信じたくなります。

免疫がある人は案外多いのかも

不要不急の外出は避けて、互いの接触をやめたおかげで、武漢では全市民が感染リスクに晒されていたにも関わらず、感染は3%に抑えることができました。1平方kmに25万人の人口密度(香港の4倍)、セントラル空調(熱源機器を一カ所に集中設置した中央式空調)、共用ダイニングルーム…いろいろ最悪の条件が揃ったダイヤモンドプリンセス号ですら「感染者は20%にとどまった」(教授)ので、免疫が生来備わっている人は案外多いのかもしれないと言ってます。

イタリア感染爆発の原因は?

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世界各国のCOVID-19感染状況。米国が中国を抜いてしまった…
Image: worldometers

発症から入院まで4日、入院から死亡までが4日という猛スピードで、死亡者の平均年齢は平均80歳。昨秋から北部では肺炎が流行っていたことも現地の調査でわかっていますけど、本当になんでこんなに次から次へと亡くなってしまったんでしょうね…。

イタリアは人口あたりの病床と看護師の数が少ないので、症状が出ても自宅で様子を見る日米式の検査方針です。そのため、「スタートラインでは韓国と並んでいたのに、検査と隔離を徹底した韓国と大差がついてしまった」と海外ではよく言われていますけど、教授自身は、高齢化社会なことに加え、「温かなふれあいを大事にするお国柄なこと」と「反ワクチン運動が盛んなので、風邪の入院患者で病床が埋まって判別が難しかったことも要因」との見方を示しています。

ほかの国の今後

さて気になるのは今後ですが、中国は「新規感染はもうじきゼロになるだろう」、韓国は「峠は越えた。終息が見えている」、ほかの国は「まだ何とも言えない。感染しても、会う人全員が感染済みであれば拡大は止まる。クルーズ船みたいな状況を避けることがゴールだ」と言っています。

一番心配しているのはアメリカで、「いま対策を講じて時間稼ぎをしないと、感染者2万人が病院に一度に押し寄せて医療システムが崩壊する」といいます。また、失業、自殺も大きな懸念事項です。「この世の終わりではないのだから、必要以上に騒ぎ過ぎるのも考えものだ」とのこと。

ハーバード大学公衆衛生大学院の国際医療経済学者のEric Feigl-Ding氏が米CNBCの番組で23日語ったように、「全国の4分の1の医師・看護師に緊急招集をかけて武漢に動員できるのは中国ぐらい」で、アメリカは「3週間程度で終息は望めない。最低でも2か月はかかる」というのが現実的な見通しみたいですけどね。

イアン・リプキン医師は中国のトップに血漿療法を薦められる

ちなみに映画『コンテイジョン』で医療監修を務めたイアン・リプキン医師(コロンビア大学感染症免疫センター所長)も、パンデミックの調査で中国渡航後にコロナにかかって、家からゴホゴホ言いながらTVに出て、「自分がかかるんだから、もう誰がかかってもおかしくないよ」と言ってました。なんでも中国トップの専門家に相談したら二人二様の薬を紹介してくれて、ひとりは回復期血漿を空輸すると言ってくれたんだとか。

まだ臨床試験とFDA認証のハードルがあるので丁重に断ったみたいですけど、ニュースの声にも尋常ならざる凄みを感じます。トランプ大統領が豪語しているみたいな「イースターまでになんとかする」のは無理としても早期解決に向け全力疾走で物事が動き出していることだけは確か。手を洗って距離をとって、希望を失わずに果報を待ちましょう!

Sources: Calcalist, Business Standard

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