GoProとTHETAを同時に潰しにかかったモジュラーカム「Insta360 ONE R」レビュー:コンセプトを裏切らない出来。だけどGoProに換わらない

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  • author 武者良太
GoProとTHETAを同時に潰しにかかったモジュラーカム「Insta360 ONE R」レビュー:コンセプトを裏切らない出来。だけどGoProに換わらない
Photo: 武者良太

うーーん、お悩み中なう。

アクションカムとは、目で見える範囲をすべて捉えようかと意気込む、ポケッタブルな超広角デジカメ。指でつまめるサイズってだけでわくわくなのに、撮れる写真・動画のインパクトの強さでさらにわくわくなカメラ。超広角が撮れるスマホもあるけど、別で持ち歩いちゃうんですよね。

カメラを買うときに重視するポイントは人それぞれです。僕は、機材として触れてワクワクする過程を楽しむことと、自分のイメージどおり&イメージを超える写真・動画が撮れるという結果を楽しむこと、その2点を重視するようにしています。だから小さくて面白い画が撮れる、アクションカムが好き。

モジュラーコンパクトなInsta360 ONE R

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Image: Insta360

で、だ。このアクションカムのカテゴリに新機軸のニューカマーが登場するんです。GoProの超広角とTHETAの360度撮影を合体メカで実現しようとした、1粒で2度おいしいInsta360 ONE R」。これ、カメラモジュールを交換することで機能を変えるスタイルのカメラなのです。

こういったモジュールスタイルは「リコー GXR」などが進めていましたが、現実として難易度が高かったのはみなさまご存知のとおり。さて。アクションカムサイズのブツだとどこまでできるでしょうね…。発売前の試用機をお借りしたのでレビューしてみましょう。ちなみに今回は360度モジュール広角モジュールがセットになったツイン版のレビューです。

GoProキラーがまたも中国から出た。モジュール式のアクションカム「Insta360 ONE R」 #CES2020

なにそれ、レゴブロックみたいに組み合わせられるの!?先日公開されたInsta360のティザー動画は、アクションカム、360度カメラ、ドローン、1イ...

https://www.gizmodo.jp/2020/01/insta360-one-r.html

注・撮影画像・動画は実機発売前のファームウェアやPC用ソフトを使っています。正式発売後とのクオリティとは異なる可能性があります。

Insta360 ONE R

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Photo: 武者良太

これは何:アクションカム+360度カメラの魔合体カメラ

価格:3万9600円(4K版)、5万9400円(4K+360度のツイン版)、6万8200円(1インチ版)

好きなところ:モジュール式ならではの期待感。360度全天球映像の品質。シーンに応じて機能を変えられるところ

好きじゃないところ:アクションカムとして使ったときの映像・写真品質

モニターを前にしたら自撮りがラクラク

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

あらためて記しますが、Insta360 ONE R最大の特徴はモジュラー式であること。赤いバッテリーベースの上にカメラモジュール(センサー+レンズ)と、コアモジュール(モニター+制御部)を合体させて使います。

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Photo: 武者良太
正面左がコアモジュール、右がカメラモジュール

まずはここで技アリ発動。アクションカム用途の4K広角モジュール使用時は、コアモジュールを反転合体できるんです。つまりタッチスクリーンの向きを変えて、モニターを見ながら自撮りできるのです。いやー、これは便利。スマート。

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Photo: 武者良太
正面左がカメラモジュール、右がコアモジュール。モニターが反転できる

前にも後ろにもディスプレイをもたせるOsmo Actionスタイル。(まだ未発売だけど)オプションのモニターをつなげて自撮りできるようにするGoPro HERO8スタイル。チルトディスプレイで前からでも見えるようにしたRX0 IIスタイル。十人十色ですが、拡張性のためにブロック単位でモジュラー式としたInsta360 ONE Rのスタイルもわかりやすいし使いやすいしで、よし。

360度デュアルレンズモジュールはレンズがかなり出っ張る

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Photo: 武者良太

Insta360 ONE Rのツイン版には、4K広角モジュールに加えて360度デュアルレンズモジュールも付属します。前にも後ろにもセンサー&レンズが備わるモジュールで、360度の全方位を捉えるスキルの持ち主。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

合体はカンタン。4K広角モジュールの代わりに360度デュアルレンズモジュールとコアモジュールをガシャっとつなげればいいのですから。

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Photo: 武者良太

Insta360のブランドネームからわかるように、Insta360はもともと360度全天球カメラで伸びてきたブランドです。この姿こそがInsta360 ONE Rの真の姿なのではと思えてきます。

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Photo: 武者良太

とはいえ、前も後ろもレンズはかなり出っ張ります。普通のアクションカムよりも急勾配。ほかの360度カメラよりも存在感のある山となっています。普段は付属のレンズキャップで、レンズを保護しておきましょうね。

サイズはGoPro HERO8 Blackよりちょい大きい

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Photo: 武者良太

GoProが浸透させたアクションカムのエクステリアに合わせているInsta360 ONE Rですが、GoPro HERO8 Blackと並べると横幅も奥行きもちょい大きめ。でもモジュール式なのに本体だけで5m防水性能を持っているのはお見事です。

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Photo: 武者良太

なおGoPro HERO8 Blackに備わるマウントはなし。

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Photo: 武者良太

付属のケージ(マウントブラケット)を使うことでGoPro用のさまざまなアクセサリーに固定できますが、GoPro HERO8 Blackや、本体に三脚穴を装備したAKASOなどを使い慣れていると、ちょっと面倒だなと感じなくもないかもしれないかも。

4K広角モジュールの画質は「もうすこしがんばりましょう」ハンコをポン

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

4K 60fpsでの撮影ができて3万9600円。これはなかなかリーズナブルじゃないかな。と思って撮影してみましたが。

う、うーん。ぶっちゃけていうと、GoPro HERO8 Blackってスゲーんだなーって想いが胸をよぎります。少なくとも代替機にはなりません

まず色味が薄くてクールすぎ。熱気ある色味のほうがエモい映像になるアクションカムムービーなのに、ヘビーなアクティビティに挑むときの「アクショーン!」感が希薄になっちゃう。HDRモードも備えていますが、それでも足りないのだよ。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

シャッタースピードが速いのでしょう。手ブレ補正&夜景撮影時の、点光源がワープするようなシーンがなく見やすいもの。でもISO値が高すぎでノイズが盛大に踊っています。動きの激しいシーン向きのアクションモードをオフにしてシャッタースピードを抑えてもまだまだです。

電子手ブレ補正は「よくよくよくできました!ブラボー!」

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

おおっと、これはマジでジンバル不要じゃないのお!? 階段を降るという、足から手へとビビビと伝わる逃げようがない衝撃もしっかりと吸収した映像になっているじゃないですか。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

なお手ブレ補正機能をOFFにするとこんなにもブレブレ。見られたものではありません。

もともとInsta360はハイレベルな電子手ブレ補正技術を培ってきたメーカーです。360度カメラの映像を誰でも楽しく快適に見られるようにと、純粋な解像感よりも動画としての見栄えを重視してきた、ユーザー目線を持つメーカーです。だからInsta360 ONE Rにも期待していましたが、想像を超えてきてもう感謝しかない。

そうか、シャッタースピードを速めてISO値を上げるセッティングは、この高精度な電子手ブレ補正を実現するためのものなのか。

そう考えると、「GoPro HERO8 Blackってスゲーんだなー」ってコメントは言い過ぎだった気がするので言い換えましょう。4K広角モジュールは、真っ赤な太陽の下で、あっかーるーい場所で使うのがベストなモジュールなのだと。光という神様を待ち望んでいるのだと。

フルHDスローモーションは「よくできましたね」

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

アクションカムの醍醐味の1つにスローモーション撮影があると思うのですが、この分野においてInsta360 ONE Rの録画クオリティは十二分でしょう。フレーム補間ではなくちゃんと1フレームずつ録画して、再生時にストレッチしているから、複雑な動きのあるシーンでも滑らかで気持ちいいじゃなーい。

360度デュアルレンズモジュールの映像も「よくよくよくできました!デリシャス!」

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

手持ちのInsta360 EVOを売ってしまったので直接の比較はできなかったんですが、アイツより高精細じゃないかなこれ!

動画解像度は最大5,760×2,880 30fpsの5.7Kで同じですが、レンズがF2.2(Insta360 EVO)からF2.0(Insta360 ONE R)と明るくなっています。そしてコーデックがH.264→H.265に。このダブルでかなりの画質アップとなったんでしょ。

主観ですが、360度動画撮影において頂点にいたGoPro MAXとも対等に戦えるクオリティです。なのにアクションカム・360度カメラの両刀使いな機能性を持ちながらもお値段5万9400円。コスパいいぞコイツ。

画質重視派として1インチモジュールもチェックしてみたい

Insta360ONER1-InchEdition-Frontview
Image: Insta360


Insta360ONER1-InchEdition-Backview
Image: Insta360


Insta360ONER1-InchEdition-Topview
Photo: Insta360


そして忘れてはなりません。Insta360 ONE Rには、ライカとのコラボで生まれた 1インチ広角モジュールもあるのです。よくぞアクションカムの方程式のなかに、広角レンズと1インチセンサーを仕込んだものです。

センサーサイズが大きければ暗部のノイズが出にくくなるのは、神が定めた理論そのもの。5.3K 30fpsで録画できるモードも選べますし、画質厨にとってなくてはならない存在となるはず。チャンスがあったらどこまでのクオリティで撮影できるのか、試してみたいわあ。

ニッチ×ニッチだからこそ夢が広がる新プラットフォーム

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Photo: 武者良太

僕はカメラシステムにおける新しいプラットフォームが好きで、いままで「リコー GXR」や「Nikon 1」「PENTAX Q」なども手に入れてきました。でもいまでも生き残っているのは悲しいかなキヤノン EOS Mシリーズくらい。

さて、Insta360 ONE Rはどうなるでしょうか。買うかどうかで言ったら、お悩み中なう。手元にGoPro HERO8 Blackがあるので4K広角モジュールはいらない。買ってもたぶん使わない。だから注目したいのは1インチ広角モジュールが出してくる写真・動画ですよね。

Insta360 ONE Rは、AirPodsをワイヤレスマイクとして使えるようにするアップデートも予告されていますし、Mavic Proと組み合わせて空を飛ばせるドローンパッケージも販売されます。ベーシックなセットを手に入れたとしても、Insta360 ONE Rワールドの入り口に立っただけ。

だから買うかどうかは、「今後の盛り上がりによる」というのが今の状況。サードパーティから面白いカメラモジュールが出てきたら、それだけで魅力が大幅アップ間違いなし。たとえば飯テロテーブルフォト専用カメラモジュールとか天体望遠鏡に直結できるモジュールとか、さらなるニッチなニーズを汲むロードマップがあれば迷わず買いなんだけど…。

さらなるニッチを狙ったアイテムが増えればディープなファンが集まるはずですから、盛り上がるかどうかは、Insta360がコネクタの仕様・規格を公開するか否かがポイントでしょう。スマートフォンやデジカメでは普及しなかったモジュール式ですが、小型カメラでモジュール式というニッチ×ニッチを最初から狙ってきたInsta360 ONE Rならユーザーからの理解を得られるかも、と期待したくなります。

Source: Insta360

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