他の配信サービスとは一線を隠す存在。
Apple TV+のコンテンツって見ていますか? 私は『ザ・モーニングショー』が見たくて、一年間の無料トライアル中です。で、その『ザ・モーニングショー』のシーズン1を、先日見終わったんですよ。そして、なんとなくApple TV+がどんなシステムなのか、どんな傾向のコンテンツを配信しているのかがわかったところで、今後サブスクするべきかどうかを考えました。そして、考えた結果、「サブスクする」という答えを出しました。
正直言って、これ以上サブスクは増やしたくありません。Netflixすら持て余し気味ですし、Primeなんて全くもって見られてません。Audibleも聴けていないし、Blinkistは年間契約を解除したばかり。こんな状態なのに、なんでApple TV+をサブスクするんだろうと疑問に思いますよね。
なので、私がなぜApple TV+をサブスクしようと思うに至ったのかを書いていきたいと思います。
『ザ・モーニングショー』が最高すぎる
メディアの黒い部分に切り込んだ問題提起ドラマだとは思っていましたが、まさか、あんなに辛辣で赤裸々だとは…。
物語は、アメリカで最も愛されている朝のニュース番組『ザ・モーニングショー』アナウンサーの強制わいせつ事件が明るみに出たことから幕を開けます。その後、テレビ局の隠蔽体質や、金持ちや権力者への報道忖度、男性社会の中を生き延びた女性たちの葛藤といったことが掘り下げられていきます。キャラクターの描き方が丁寧で、最終的にはどれも共感できるものばかり。しかも、強制わいせつの告発者が誰だったのかというサスペンス要素も加味されているので、単なる問題提起ドラマで終わることもありません。
ハーヴェイ・ワインスタインのハリウッド全体を揺るがしたセクハラ問題や#MeToo運動、ラスベガスのコンサート襲撃事件、カリフォルニアの大火災といった実際の事件と絡めながら、なぜセクハラを容認する会社になってしまっていたのか、女性も隠蔽に加担してしまうのか、なぜ明るみに出にくいのか、#MeToo運動を取り巻く女性側/男性側のさまざまな視点が織りなすように描かれています。
こんなに挑戦的な内容は他では作れない
『ザ・モーニングショー』を観終わって一番に思ったのが、「こんなに挑戦的なコンテンツは他では作れないだろう」でした。業界関係なく、女性なら誰でも一度は経験したり耳にしたりしたことがあるような問題を、的確に、そしてこれ以上ないほど生々しく描いているからです。映画ではなくドラマという長尺だからできたのはもちろんですが、Appleという既に押しも押されぬ強大な力を持った会社が作った新しいプラットフォームで、しかもリース・ウィザースプーンというハリウッドにおける女性地位向上をモットーに活動している女優兼プロデューサーという好条件が重なったからこその作品と言えるでしょう。それこそ、少し前なら上からの圧力で作ることができなかった類の内容だったと思います。
自分を高めてくれるコンテンツの数々
『ザ・モーニングショー』に限らず、Apple TV+のオリジナルコンテンツは、私たちが「小難しい内容だから目をつぶりがち」なテーマが多いです。現代史の教科書に書かれているような、優等生が読んでいそうな、エンターテインメント要素弱めなテーマといっても差し支えないかもしれません。しかし、そういったテーマを上手く拾いあげて、エンタメ性を強め、新たな視点と気づきを与えてくれるコンテンツにしてくれているのがApple TV+だと思います。
オプラ・ウィンフリーの『Oprah’s Book Club』を観れば、本を読みたくて本屋に走りたくなります。本好きで知られるオプラが厳選した本を、本の著者を呼んでインタビューしながら、深く考察して魅力を伝えるストリーミングで、紹介されている本だけでなく、本を読む楽しさそのものを教えてくれます。配信は一ヶ月に一回なので、視聴者は紹介された本を買って、一ヶ月かけて読むことができます。こんな風に、Apple TV+は、単なるエンターテインメント配信ではなく、見た後に自分を少しだけ高めてくれて、モチベーションもあげてくれるストリーミングサービスなんです。
こども向けコンテンツが秀逸
大人向けだけでなく、こども向けコンテンツも気に入っています。例えば、『スヌーピー 宇宙への旅(Snoopy in Space)』は、スヌーピーがNASAの宇宙飛行士になって宇宙を目指す話です。
スヌーピーは、1960年代から、NASAが宇宙飛行の安全性を啓蒙するために使っているキャラクターです。その歴史を、ジェフ・ゴールドブラムが面白おかしくナレーションしたドキュメンタリーもあったりして、大人が見ても学ぶことが多いコンテンツを配信しています。NetflixやAmazon Primeのこども向けコンテンツは種類が豊富で時間潰しには最適ですが、内容からこどもが何かを学んでいるかは微妙です。
一方、Apple TV+のコンテンツの場合、明確なテーマとメッセージが存在し、しかも数が限られているので、親もこどもが何を見ているのかが把握しやすい利点があります。
こどもが楽しんで観れる内容かどうかは、こどもの好みに依存するところだと思いますが、そこは、親がこどもと一緒に観たり、会話のきっかけにする等の工夫でどうにかなるかもしれません。
Apple TV+と他のストリーミングは別物
Apple TV+は、他のストリーミングサービスとは全くの別物と考えた方がいいと思います。というのも、Apple TV+は月額600円ですが、その金額で見れるのはApple TV+のオリジナルコンテンツだけで、他の映画はレンタルもしくは購入という形になります。Netflixなら定額見放題の作品が、Apple TV+を介して見ると3000円近く支払う場合もあります。
しかも、Apple TV+はハッキリいって意識が高い人向けです。Apple TV+のコンテンツを見る前と見た後では、モチベーションに差が出ているのを感じるほど、内容が濃くて素晴らしいです。仕事から疲れて帰ってきて、頭空っぽにコンテンツ消費したい時には不向きです。疲労困憊している時は、NetflixやAmazon Primeでお気楽な映画を見るのがいいと思います。なのでApple TV+のオリジナルコンテンツだけ見ることにして、他のストリーミングは解約するのはオススメしません。
Apple TV+の月額600円サブスクは、自分を高めるための投資だと考えるのがいいかもしれません。少なくとも、私はそう思っています。
もしApple TV+を試していないなら、それはちょっともったいないかも。無料トライアルができるなら、ぜひいろいろと見てみてください。そのクオリティの高さと、観終わった後の自分の気持ちの変化に驚くかもしれません。