なんだかんだ、やっぱテレビってすごいかも。
いつもスマートフォンで見ているGoogleやAppleのソフトを、テレビの大画面でも楽しめたらいいですよね。AppleとGoogleにはそれぞれtvOSとAndroidTVというテレビ向けプラットフォームがあり、TCLや Nvidia Shield TV.、あるいは日本でもなじみのあるソニーのBraviaなどのテレビに搭載されています。
2019年末、選ぶべきなのはtvOS のApple TVか、はたまたAndroid TVなのか? スマホ機種に合わせるべきか、それとも中身で決めるべきなのか。そもそもAppleとGoogleは、50インチと超えるスクリーン向けのソフトウェアやアプリなんか、真剣に開発しているのでしょうか…?
そこで私たちは、tvOSを実行するApple TV 4KとAndroid TVを搭載する第一世代のNvidia Shield TVを使い、両プラットフォームのユーザーエクスペリエンス、アプリ、機能をそれぞれ比較してみました。もし、読者の方でこれら2つのプラットフォームの体験談やレビューがあればコメントをお待ちしています!
インターフェイスはApple優勢
皆さんご想像のとおり、7インチ以上の画面で比較すると、Android TVのインターフェイスはAppleのものよりも粗めです。操作に関しては、Android TVとtvOSのどちらもアプリやコンテンツをアイコン表示していたり、わりと馴染みのあるアプローチを採用しているので、使いやすい印象。
Android TVのホーム画面では、YouTubeやPlex、Spotify、Twitchなど特定のアプリの「おすすめコンテンツ」が表示されます。Android TVの場合ですと、その下に「アプリ」、「入力切替」、そして「設定」と続きます。

Apple TVのインターフェイスは、さらに洗練されています。えこひいき抜きで。たとえば、Appleの推奨コンテンツプレビューはかなり練られています(新作映画の情報や評価、鑑賞に役立つ情報まで網羅しているものは、なかなかありません)。Android TVでもSpotifyやYouTubeのおすすめコンテンツが表示されますが、Appleと比べるとちょっと物足りなく感じてしまいます。
今のところ、Apple TVのtvOSには2種類のインターフェイスがあります。ひとつは、AppleイチオシのメインとなるTVアプリ。このプラットフォーム上でダウンロード済みのアプリの中から、好きな映画やテレビ番組を見ることができます(Netflixなど、例外はあります)。
もいひとつはアイコンが列をなす、従来タイプのインターフェイス。ゲームや写真、音楽など、動画を除くあらゆるアプリ(あと、Appleのエコシステムに含まれないNetflixのようなもの)にアクセスできます。
検索機能はAndroidもAppleも、ほぼ同等。ですが、Appleのインターフェイスのほうが見栄えがよい一方、包括性に欠けるというデメリットも。音声検索はどちらも対応済み。両者ともアプリをまたいでの検索も可能で、映画やテレビ番組、俳優、アーティスト名との一致結果も表示してくれます。
繰り返しになりますが、Android TVのほうがアプリとの連携は強いので、NetflixやYouTube、Spotifyからも検索結果が返ってきます(Appleでは非対応)。

アプリのインターフェイスはApple TVもAndroid TVも、あまり変わりありません。Netflix、Amazon Prime Video、Spotifyなんかは、どのプラットフォームを選んでも、同じようなインターフェイスになります。
全般的に、インターフェイスの洗練具合はApple TVのほうが勝っています。なんていうか、エレガントだし。ただ、カスタマイズや柔軟性では、わずかにAndroid TVのほうに軍配があがります(携帯電話と同じ)。アプリの使い勝手はどちらもほとんど同じ。ということで、この分野では総合力でAppleの勝利、ということになるでしょう。
アプリとゲームもAppleのほうが一枚上手、かな
今のところ、ほとんどの動画アプリと音楽アプリが、Apple TVとAndroid TVの両方で使えます。Netflix、Hulu、YouTube、Plexそして最近参入したDisney+、他にHBOやShowtimeも両者に対応しています。SpotifyとTidal、VLCメディアプレーヤーといった音楽メディアも利用可能です。
Apple MusicはAndroidの携帯電話やタブレットでも利用できるのですが、(なぜか)Android TVでは利用できません。iTunesで購入した映画や番組も再生できません。Appleのデジタル商品に大金をつぎ込んだという方は、Android TVからアクセスできませんのでご注意を。

もちろん、Android TVにApple TV Plusアプリはありません。私たちが確認した限りでは、Android TVブラウザでWebインターフェイスを開くこともできません。ただ、パソコンでApple TV Plusの Webアプリを開き、ChromecastからAndroid TVに送ることは可能。ちょっと手間がかかりますし、常にテレビの横でノートPCを開いていないといけませんが、どうしても見たい方は是非お試しあれ。
逆に、Apple TVでGoogle Play ムービー&TVは利用できませんが、Googleのデジタルプラットフォームで購入した映画や番組コンテンツをtvOSのYouTubeアプリで見ることはできます。ちょっと遠回りになりますが、見られないわけではありません。
Apple TVのtvOSもAndroid TVも大手の動画アプリや音楽アプリは対応していますが、デベロッパーの獲得には苦心している様子。VPNやファイルマネージャーなど、ユーティリティの面ではAndroid TVが優勢ですが、tvOSは料理やフィットネスといったライフスタイル系アプリが充実するほか、Twitterアプリなどもあるので、この分野でもAppleの勝ちとしておきましょう。

ゲームといえば、Android TVのラインナップもかなり充実していますが、やはり Apple Arcade の存在が大きいですね。大画面でゲームするならApple TVがおすすめです。『アルトのオデッセイ』、『Lara Croft GO』、『Canabalt』などの主要タイトルはGoogleのシステムでは利用できません。
ただ、本体がNvidia Shield TVとなるとこのバランスが変わってきます。Nvidiaのセットトップボックスを使うと、AndroidでもGeForce Nowのストリーミングプラットフォームにアクセスできるようになります。つまり、『フォートナイト』や『レゴゲーム』など、いろいろなゲームで遊べるんです。こうなるとAndroid TVのゲームもポイントが大幅アップします。まあ、月額5ドルのApple Arcadeもかなり楽しめるので、やはりAppleが優位と言えそうです。
その他の機能ではAndroid TVの柔軟性が光る
Android TVではGoogle Assistant、Apple TVではSiriを使ってそれぞれ音声検索や気象情報などを取得することができます。Google Assistantは総じてスマートなアプリですが、Siriは字幕のオンオフや早送り、早戻しといった大画面コンテンツ向けの専用機能も搭載しています。
Android TVデバイスは Android 用の、Apple TVは iOS 用のリモート操作アプリにそれぞれ対応しています。機能的にはどちらもあまり差はありませんが、デザイン的にはAppleのほうが上ですね。何か検索するときや、ユーザー名を入力するときなど、遠隔操作できるアプリがないとやってられません。

Android TVはChromecastとしても機能しているので、Google Castに対応する多くの音声アプリや動画アプリを楽しむことができます。もちろん、Android向けのApple Musicも。ただ、iOSのTVアプリには対応しておらず、iTunesのコンテンツはまだ公開されていません。
Apple TVはAirPlayをサポートしているので、互換性のあるデバイス(iPhone、iPad、Mac)と音声や動画を簡単にシェアできます。Macの画面をApple TVに表示することも可能。ただ、Android TVならWindowsやmacOS、ChromebookといったChromeデバイスのデスクトップ画面全体を映すこともできるため、Android TVの方が柔軟性が高いと言えます。
結局どちらを選べばいいの…?
すでにiPhoneとMacを愛用し、iTunesで映画を何十本も購入し、Apple TV Plusのサブスクリプション契約もしている…というAppleヘビーユーザーはAndroid TVはやめておいたほうが無難。もしも、資金に余裕があって、予備のHDMIポートまであるというなら、Apple TVのほかにNvidia Shield TVがあってもいいかも。

逆にAndroidとWindowsのユーザーの場合、Apple TVでもGoogleのアプリは使えますから(Android TVでAppleのアプリは使えない)、ちょっと迷いますね。まあ、ChromecastやGoogle Assistantなどと簡単に統合できるAndroid TV、あるいはShieldのセットトップボックスを選択するのもいいと思います。
Apple TVの独り勝ちを食い止めているのが、Android TVという印象
携帯電話やタブレット、ラップトップが存在しないのであれば、2019年はtvOSを搭載するApple TVの1人勝ちだったことでしょう。アプリのサポートもいいし、インターフェイスは洗練されていて、ソフトウェアもまめに更新されています。ただ、最新のNvidia Shield TVもスマートな機能が満載なので、Android TVもかなり捨てがたい。また、来年以降どうなるか、楽しみです!