ひとはなぜ星空に魅了されるのか? 国立天文台に聞きに行ってみた

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  • author 三浦一紀
ひとはなぜ星空に魅了されるのか? 国立天文台に聞きに行ってみた
Photo: 小原啓樹

ひとは星に魅せられている。

世界初の精密星座盤付き腕時計として1986年に発売された時計ブランド、シチズンの「コスモサイン」。コスモサインは、初代から天文ファンや天文学者をはじめ幅広い層を虜にし、モデルチェンジを繰り返し、2001年には「時を愉しむ」をコンセプトにした唯一無二の時計を目指す「CAMPANOLA(カンパノラ)」ブランドに初めてコスモサインが登場しました。コスモサインは現在でも「カンパノラ」の中でも人気のシリーズです。

そんなカンパノラの「コスモサイン」に、これまでの定番モデル(ケースサイズ44mm)から一回りサイズが小さくなった、ケースサイズ39mmのコスモサインが登場しました。

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Photo: 小原啓樹

今回発売された39mmモデルの文字板には、北緯35度で見られる4.0等星以上の恒星452個、星雲・星団119個がレイアウトされています。腕時計の小さな文字板にこれほどの数の星が描かれているなんて!

しかも、ただ描かれているだけではありません。星座早見表のようになっており時刻にあわせて時計と逆まわりに回転し、時計が示す時間にどんな星が上空に現れているのかを正確に知ることができるんです。広大な星空が自分の腕元に広がっていると考えると、ロマンがありますね。

30年以上も愛され続けているコスモサインはもちろんですが、星空はなぜか僕たち人類を魅了します。先日もブラックホールシャドウが観測されたというニュースが世界中で盛り上がりましたし、流星群や日食などの天体ニュースには毎年のようにワクワクさせられます。

そんなときにふと思いました。

「なぜ人は天体に魅了されるのだろう? 星の魅力って何なのだろうか?」

この言葉にできない魅力を、天体のプロならば答えられるはず。そう思い、僕らは国立天文台に取材に訪れました。

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Photo: 小原啓樹

国立天文台と時間の密接な関係

国立天文台は、日本の天文学の中心となる研究機関です。本部は東京・三鷹キャンパス。天文や宇宙に関するさまざまな研究や観測の中核を担う施設です。

明治初期には、日本の中央標準時を定める機関として活動。当時は星を使って正確な時刻を定めていました。現在、日本標準時刻は原子時計により定められていますが、国立天文台にもバックアップ用原子時計があり、その保守・管理などを行なっています。

そのほかにも、天文台と時間には密接な関係があります。天体観測には精密な時刻管理が必要不可欠。2019年4月のブラックホールシャドウ撮影は、世界の8台の電波望遠鏡で同時に撮影したものを結合させたもの。このとき、時刻にズレがあると失敗に終わってしまいます。そのため、天文台ではマイクロ秒単位で計測できる時計が設置されています。

今回お話を伺うのは、国立天文台の副台長、渡部潤一(わたなべじゅんいち)さんです。渡部さんは、主に太陽系の流れ星、ほうき星、小惑星などの小さな天体の観測をメインとした研究を行なっています。

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Photo: 小原啓樹

「星のプロ」が天文学に魅了されたきっかけ

──渡部さんが天体の世界へ進まれた理由を教えてください。

昭和30年代の理科少年は、やることがあまりなかったんですよ(笑)。星を見るか、ラジオを聞いたり作ったりとか、そのくらいしかやることがない。だからそれらはすべてやっていましたね。

星に興味が傾いたのは1969年のアポロ11号の月面着陸の頃です。また、1971年には火星の大接近などの天文現象があり、望遠鏡を買ったりしました。当時は天文学をやろうとは思っていませんでしたけどね。


──契機になった出来事は何だったのですか?

決定的だったのは小学校6年生のとき、1972年10月8日ですね。この日にジャコビニ流星群という、雨あられのように流れ星が降るという予測がありました。1時間に10万から100万の流れ星が降るということで、小学校の校庭で観測をすることになったんです。それぞれ観測範囲を決めてジャコビニ流星群を待っていたんですけど、ひとつも流れてこないんですよ(笑)

出身が会津若松なので星はよく見えるんです。でも流れ星はひとつも見られなかったのでがっかりしました。でもそのとき僕は「これはおもしろい」と思ったんです。偉い先生がたくさん流れ星が見えると言っていた日に見られなかった。ということは、その逆もあるということ。まだわからないことがあるということがわかったんです。

流れ星の観察は望遠鏡も双眼鏡もいらない。小学生でも夜に外に出て星空を見上げていれば、流れ星を数えて記録できます。だから自分でもできる、フロンティアに立てると思って、それから毎晩のように流れ星を数えるようになったんです。それが天文学者になろうと思ったきっかけです。


──ジャコビニ流星群は結局来なかったと。

世界中で誰も観測できませんでした。当時はなぜ来なかったのかわからなかったんですけど、40年経って我々のグループがその謎を解いたんですよ。現在ならば予測できますが、当時は流れ星の軌道を予測することができなかったんですね。今計算したら、あの夜にはジャコビニ流星群は100%地球には来ないということがわかります。

天体の魅力って何ですか?

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Photo: 小原啓樹

──渡部さんは小学生のときに流れ星が見えなかったことがきっかけで天体に興味を持たれたわけですが、天体の魅力はどんなところにあるのでしょうか。

わからないことが多いからでしょう。いまだに全然予測できないことがあるんです。彗星などの動きを予測するにはサンプルの数が集まれば正確にできるようになると思いますが、人類が望遠鏡を開発してまだ400年しか経っていません。宇宙全体から見れば非常に短い期間なんです。だからサンプルもまだまだ集まっていませんし、我々がまだ目にしたことがないこともある。そういうところが魅力的なんでしょうね。


──たしかに地球が誕生したのが46億年前と考えるとたったの400年ですね。

我々の大事な使命は、我々の世代で解明できなかったことを次世代に送っていくことです。宇宙の出来事を詳しく記録して、今は理解できないけれども次の世代で解いてくださいというメッセージを残すのが大事だと思います。

いい例が、1994年のシューメーカー・レビ第9彗星の木星衝突です。木星付近にある彗星が見つかって、木星に衝突するらしいということがわかりました。衝突の半年前に国際会議が開かれて、どんなことが起こるのか研究者が予想して発表したんですけど、ひとつも当たりませんでしたね(笑)。何も見えないと思っていて、僕も著書にそう書きました。結果として、木星にものすごく黒いシミができたんです。普通の望遠鏡で簡単に見えるくらいのものです。もしそういうことが昔もあったのなら、そういう記録が残っていないかと思ったんですよ。

一番歴史があって古くからのスケッチが残っているパリ天文台で、天文学者のカッシーニが記録していた過去のスケッチを探したんです。そうしたら出てきたんですよ、黒い斑点が。彼は何が起こったのか分からないから、木星の変化をスケッチしただけで論文にはしていませんでしたが、でも記録としては残してくれていたわけです。彗星がぶつかって黒い斑点ができて、それがどんどん木星の風で流されて細長くなっていくことも記録されている。だから、330年前に彼が見たものは、天体衝突だったわけです。

──カッシーニの見た黒い斑点の謎が、300年以上たってから解き明かされたわけですね。天文学のスケールの大きさがわかります。


人類が星を見るようになったきっかけ

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Photo: 小原啓樹

──人類に時間の概念が生まれたのはいつ頃でしょうか。

人間が考えるようになってから時間はあるんだと思います。


──最初は太陽で時間をなんとなく感じていたのかなと思うんですが。

そうですね。基本的に生物を律しているのは太陽ですから。ただ、太陽だけ見て生活ができている時代はそれでよかったんだと思いますが、あるとき農耕を始めるようになり、より詳しく時間を知る必要ができたのだと思います。

典型的なのはエジプトですね。エジプトはナイル川が氾濫する時期が決まっています。そのため、氾濫前に種をまくと流されてしまうので、氾濫の時期を見極める必要が生じました。じゃあどうやって見極めようかということで、星を見始めたんです。

星を見ていると、一番明るいおおいぬ座のシリウスが、明け方の東の空に昇ってくるのが見える頃が氾濫の時期であることがわかったんです。それを1年の始まりにして暦を作りました。その暦が農作業の目安になっていたんですね。彼らは季節を知る術として星を見たんです。


──必要に迫られたから見るようになったと。

そのほかにも星を見る必要がありました。オアシスからオアシスに旅をするとき、方向を間違えると死に至ります。なので星を見て方向を決める必要がありました。その2つの理由から星を見る文化というものがエジプトなどの砂漠で非常に早くから始まったんです。それが現在の西洋星座になっているわけですね。

一方日本は、四季が明瞭なので星を見て季節を知る必要もなかったし、山がある起伏が激しい土地なので、星を見て方位を確認する必要もありませんでした。だから、あまり星を見る文化が育たなかったんです。どちらかというと、日本は月の文化でしたね。


──かぐや姫などのおとぎ話がありますね。

あれは世界最古のSFですよ(笑)日本は月に対して悪いイメージを持ったことがない国なんです。ヨーロッパやアメリカなどの西洋文化圏では、満月の光は非常に忌み嫌われています。獣人化現象とかね。今でも「Lunatic」(ルナティック)という言葉は、狂ったという意味で使われています

日本では月に対して、そういう意味で悪い民話とか神話というのは、僕が探した限りでは見つかりませんでした。


コスモサインを外国人に見せると「Incredible!」と言われる

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Photo: 小原啓樹

──渡部さんはシチズンのコスモサインをお持ちだそうですが、どこに魅力を感じました?

星座や月齢などがわかる天文時計としてすごくよくできていて、価格がお手頃じゃないですか。スイスの天文時計は、500万円とかするとても高いものなんです。コスモサインのおかげで、日本人は安く天文時計を手に入れられるようになったわけです。


──いつ頃購入されたのでしょうか。

もう30年くらい前、発売された頃じゃないかな。この間、ニュージーランドに持っていったんですよ。そして外国の方たちに見せびらかしていたら、みんな欲しい欲しいって言ってましたね(笑)。いわゆる天文時計、ケプラー時計やガリレオ時計などは、スイスで一点もので作っているものがほとんどで、表示面はあまり天文っぽくないんですよ。

でもコスモサインは欲しいと思ったんですよね。星空が盤面に再現されているところがいいですよね。こういうのが、天文ファンは欲しかったんだと思うんですよ。これを見せると、外国の人はびっくりしますよ。「Incredible!(信じられない!)」とか言われますね(笑)

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Photo: 小原啓樹

──カンパノラのコスモサインに新しくケースサイズが従来の44mmから39mmになった小さなモデルが登場しました。

(44mmモデルは)腕が細いひとにとってはやっぱり大きいって思いますよね。芥川賞作家の川上弘美さんがコスモサインの月齢モデルが欲しいというので、僕が使っていないものを譲ったことがあります。ちょっとサイズが大きかったそうですが、喜んで使っていると言っていました。やはり、腕が細かったら39mmのサイズのほうがいいですよね。

ただ、僕は身体が大きいのでケースが大きくても問題ありません。

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Photo: 小原啓樹

これ、星座境界線が入ってるんですね。ここは情報が多いと思う人と、わかりやすくなったという人がいるかもしれないですね。でも、これは女性でも男性でもなじみやすいサイズですね。


一生に一度出会えるかどうかの星間空間彗星と2度目の遭遇


──ここ最近で一番熱かった天文関連のニュースはなんでしょう?

ブラックホールシャドウですね。我々天文学者は、ブラックホールを直接見たいという思いは誰でも持っているんです。理論的に「こう見える、ああ見える」という計算をする人はたくさんいたんですけど、今回電波望遠鏡で見たブラックホールシャドウは、理論の予想通りだったんですよ。僕らは、ブラックホールが見えたことよりもその理論の予想が当たっていたことに驚きました


──最後に、直近で大きな天体イベントはありますか?

今、天文学の世界ですごくエキサイトな話題が、星間空間、いわゆる太陽系外からやってきた天体ですね。2017年にオウムアムア天体というのが見つかったんですが、揮発成分がなくて、ほとんど成分分析ができませんでした。星間空間からやってくる天体なんて、もう発見されないだろうと思っていたら、なんと今年の12月の上旬に、別な星間空間からやってきたボリゾフ彗星が近日点を通過するんです。今回は成分分析できるくらいガスが出ているはずです。残念がなら一般の方には見えません。かなりスキルの高いアマチュア天文家でも撮影は難しいでしょうね。ただ我々にとっては唯一無二の来訪者です


──星間空間からやってきた星を調べることで、どういうことがわかるのでしょうか?

僕らは太陽系の中で生まれた天体しか見ていませんので、太陽系外で生まれた天体がどんな風に成分が違うのかということがわかると思うんです。予想では結構違うのではと思っています。でも意外と同じかもしれない。そこはやってみないとわかりません。


──まったく未知の物質が含まれている可能性もあると。

もうひとつ興味深いのが、2年の間に星間空間からやってきた天体が2つもやってくるということですね。2017年にハワイ大学の天文学者が発見したのですが、彼女がインタビューで「私が生きている間に二度とこういう天体には巡り会えないだろう」って言っていたんですよ(笑)。それが、2個目がやってくる。2年間で2個というのはあり得ない数字なんです。

もしかしたら、元々頻繁にやってきていて我々が見逃していたのならば、そういう天体が高密度にこの宇宙空間を占めていることになります。すると、銀河系の質量を変えないといけないし、ものすごいことになるんです。まだ2例なので、たまたまなのかそうじゃないのかは、これから時間をかけないとわからないでしょうね。


カンパノラのデザインコンセプトは「宙空の美」

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Photo: 小原啓樹

天文について話す渡部さんは、まるで子どものようにキラキラした目をしていました。小学6年生のときにジャコビニ流星群が見られなかった、あの夜のときのまま大人になったという感じです。

流れ星が見られなかったからこそ星の魅力に気付いたというのは、なんだかとってもロマンチック。今でも夜に空を見上げればきらきら光る星が見えるわけですが、実のところどんなものなのかわかりません。「わからないからおもしろい」「わからないからもっと知りたい」というのが、天体の最大の魅力なのでしょう。

そんな天体のロマンを腕時計に閉じ込めたのが、シチズンのカンパノラ「コスモサイン」です。

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Image: シチズン
カンパノラ コスモサイン 44mmモデル

44mmケースの従来モデルは25万円(税抜)。

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Image: シチズン
カンパノラ コスモサイン 39mmモデル

新製品となる39mmケースモデルは11月21日から発売。価格は25万円(税抜)です。

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Image: シチズン
カンパノラ コスモサイン 39mm 限定モデル

加えて200本限定モデルも発売されます。こちらは39mmケースモデルで、漆黒の文字板と淡い桜色ゴールドのカラーリングとなっています。価格は26万円(税抜)です。

コスモサインは、「時を愉しむ」ことをコンセプトとしたシチズンの「CAMPANOLA(カンパノラ)」の一つ。そのデザインコンセプトは「宙空の美」。宇宙をテーマにした腕時計のブランドです。

時間は星の動きを元に作られたもの。カンパノラは、そんな雄大な時間を腕時計という小さな空間で再現しています。コスモサインは星空を閉じ込めた腕時計ですが、それ以外のモデルも宇宙の美を感じさせてくれます。

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Image: シチズン
カンパノラ ムーンフェイズ

例えば、ムーンフェイズシリーズの「璃朋」(あきほ)は、新月から満月までの月の満ち欠けを表現。29.5日ごとに2つの表情を持つ月が交互に現れ、月齢を表してくれます。こちらは27万円(税抜)です。

天文ファンはもちろん、なんとなく星空が好き、夜空が好きという人にとっても、コスモサインを初めとしたカンパノラは、宇宙を身近に感じさせてくれる腕時計です。時間を確認するたびに広大な星空を思い浮かべることができるなんて、いつもの日常が少し楽しくなりそうですね。

シチズンお客様時計相談室:0120-78-4807


Source: カンパノラ コスモサイン

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