宇宙飛行士ナイフ「M-1」試し斬り:アームストロングたちが月面に持っていったマチェーテ

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  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
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  • たもり
宇宙飛行士ナイフ「M-1」試し斬り:アームストロングたちが月面に持っていったマチェーテ

アポロ11号とともに月面へと送られたマチェーテ(山刀、大振りなナイフ)のレプリカを合法な範囲でハンズオンしてみたRyan F. Mandelbaum記者の奮闘記をどうぞ。


どうして月にナイフを持っていったの?

NASAは人類を初めて月面へと送った時、宇宙飛行士たちが何事にも対応できるようにしておきたかったのでしょう。そのためアポロ11号は食料や地図、そして医療用品に加えて、17インチ(約43㎝)のナイフも宇宙へと運んで行ったのでした

つまりニール・アームストロング、バズ・オルドリン、マイケル・コリンズはマチェーテを積んで月に向かったことになります。そのマチェーテはW.R. Case & Sons Cutlery Companyが製造したもので、標準的なアポロ計画サバイバル・キットに入っていました。今年、同社は月面着陸の50周年を記念して233ドル(約2万5000円)のレプリカを生産。私はこのマチェーテを使ってみるためにめちゃくちゃ頑張りました。ニューヨーク市の銃刀法の範囲内でね。

宇宙服姿のオルドリンがエイリアンの攻撃から身を守るためにマチェーテを振るう姿を想像するのは愉快ですが、この刃物の用途は地上向けとされていたのです。

NASAの主任歴史学者Bill Barry氏は米Gizmodoへのメールで「地上のどこかへのもしもの緊急着陸に備えて、マーキュリー計画の開始時からNASAは常に宇宙船内にサバイバル・キットを用意してきた」と説明しています。「地球のほとんどが水に覆われているため、サバイバル・キットには救命ボートと救命胴衣が入っているが、クルーがほとんどの状況において安全に救助を待てるよう陸用のサバイバルアイテムも入っている」とのこと。

本来は、宇宙飛行士たちの乗った帰還船は太平洋に落下して、待ち受けていた船がすぐに回収することになっています。しかし、帰還船が予定していた海域から離れたどこか別の場所に落下した場合、宇宙飛行士たちは生き残るために2つの非常用のリュックの中身を使うことになります。

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1969年のNASAのサバイバル・キットのイラスト。ナイフが描かれています。
Illustration: NASA

1969年のアポロ11号に先駆けて配布されたプレス資料によれば、このキットは「クルー3人が南北緯40度間にて(水陸への)着陸後48時間生き延びる力を提供する」よう設計されたとか。着陸船のパイロット席の上にあるリュックサックには、マチェーテに加えて、3人乗りのゴムボート、サングラス、救急箱、予備の水、ラジオ、日焼け止めそして浄水キットが入っていました。

NASAは、大きめのジャングル用ナイフが宇宙飛行士たちに必要だと思った理由を明言しませんでした(バリーはそれを単に「切るためのツール」と呼びました)が、その用途は他のマチェーテの用途と同じ。生い茂るやぶの中に通り道を作ったり、樹皮をはがしたり、果物の皮を向くのにも使えます。狩りや身を守るためにも使えるかも。

都市では持てあますスペックだけど

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Photo: W.R. Case & Sons Cutlery Company

では、マチェーテそのものについての話をしましょう。W.R. Case & Sonが再生産したステンレス銅製の刃の長さは柄から12インチ(約31cm)で、エッジは研がれ、峰のほとんどはノコギリ状になっています。ハンドルは合成ポリマー製で真鍮製のピンで留められています。

レプリカのグリップは3Dプリンター製のようですが、このマチェーテ付属の説明書には、刃がガス放出を招いて、アポロ号内部の空気を汚さないようハンドルの素材は特別に選ばれたとのこと。そしてナイフは軽量かつ不燃性である必要がありました。結局、アポロ11号に搭載されたマチェーテのハンドルはプラスチックではなくアルミニウム製になって、鞘は金属製になったのです。

米Gizmodo編集者で刃物に詳しいHudson Hongoさんは、私の後ろでマチェーテを振り回して、空を切ってヒューっという音を立てる前に「何てかっこいいナイフなんだ」とコメント。

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良い子はまねしないでね。
Photo: Tommy Kearns

しかし、ニューヨーク市内で、密集した茂みを刈るという役目のためにナイフを使える場所を探すのは不可能に近いことが発覚しました。同市は公共の場で4インチ(約10cm)以上の刃物を持ち歩くことを禁止していて、マチェーテの刃ははるかに長いです。(市民にとっての)唯一の例外は「このようなナイフを要する狩り、釣り、キャンプ、ハイキング、ピクニックあるいは何らかの職、売買あるいは業務」に使われる場所へと運ぶ時、 芝居あるいは軍事的なパフォーマンスの一環として展示する時、購入場所から自宅、そして研いだり修理したりする場所への輸送する時、そして団体の活動への参加に必要とされた際に「ボーイ、ガールスカウトアメリカ連盟、または類似団体や集団の正式に登録されたメンバーが」運ぶ時です。

つまり、私は竹やぶや草を刈るために公園に持ち運べないということ。大勢の友人に尋ねてみたにもかかわらず、『プレデター』を再現しているかと思えるような草が伸び放題庭を見つけることができませんでした。結局は、米GizmodoのKelly Bourdet編集長のちょっとばかし育ちすぎた裏庭で芝刈りのお手伝いに甘んじることに。

弱々しいヨモギ、ノミヨケソウ、そしてクローバーを攻撃しているときもマチェーテを振り回すというワクワク感は失われませんでした。上司の庭にいるのではなく、生い茂った熱帯のジャングルに迷い込んだ宇宙飛行士の気分になって、しゃがんで刈りましたよ。 刃は短い茂みをキレイに刈れるほど鋭利ではありませんでしたが、マチェーテでできるはずのことは何でもできたと思います。

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マチェーテの正しい使い道。
Photo: Tommy Kearns

本来、このマチェーテは雑草を刈り取る用ではないんですけどね…。こうするよりむしろ購入者は、このマチェーテを壁に飾って、NASAが宇宙に送ったナイフのレプリカに200ドル以上かけたという事実に感嘆の声をあげるのでしょう。それもよさそうですが、マチェーテが必要なら宇宙旅行用に作られていない製品を50ドル以下で購入できますよ。

とは言え、月に向かう宇宙船の中にちゃんとした武器があると判明したのは頼もしいかもしれませんね。

Source: W.R. Case & Sons Cutlery, NASA, Wikipedia, Smithsonian National Air and Space Museum, American Legal Publishing

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