痛みを感じず、それが正常だと思っていた女性。その原因はDNAにあった?

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  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
痛みを感じず、それが正常だと思っていた女性。その原因はDNAにあった?
Image: Shutterstock

痛みを感じないってうらやましい気もするけど、やっぱ危ないですね。

スコットランドのある女性は、骨を折る、火傷をする、手術を受ける、などのことを、痛みを感じることなくやりすごしてきて、60代になるまでそれが普通だと思って生きてきたというニュースです。

痛みをあまり感じることができない人というのは、これまでも研究されてきましたが、この女性の場合は、普通は痛いはずの手の手術を痛み止めをまったく使うことなく乗り切っていたというので、科学者チームは彼女に興味津々で研究を始めました。

もともと腰の関節炎と診断されていたその女性は、重度の関節疾患を患っていたけれどまったく痛みを感じていなかったとのこと。麻酔なしで歯科手術をしたり、骨が折れても痛くなく、やけども肌が焦げる匂いでやっと気づく...などの完全にペインフリーな人生を送ってきた彼女。超激辛のスコッチ・ボンネット唐辛子を食べた際も「口の中が気持ち良い」と表現したそうです。あともう一つ、彼女は不安、落ち込むこと、怖さやパニックなども感じることがほとんどないんだそうです。自動車事故に遭った時も平気だったとか。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの痛みの遺伝学を研究するチームがその女性、彼女の子供達、彼女の母親のゲノムをチェックし、痛みの許容レベルについての聞き取りをしました。女性が痛みを感じない原因はFAAH-OUTという偽遺伝子が欠けているためだとわかりました。

偽遺伝子はかつては遺伝子であったのに、現在はタンパク質をつくる機能を失っているものをいいます。また女性には脂肪酸アミド加水分解酵素遺伝子の変異もみられたそうです。脂肪酸アミド加水分解酵素遺伝子に小さな変異がある人は、痛みや不安を感じにくいとされています。

こういった痛みを感じにくい人の研究は、鎮痛剤の開発に生かすことができると研究者たちは期待しています。今回の女性のケースはまだまだ痛みとゲノムの関係の解明の一部分にすぎません。痛みを感じないイタリアの女性Letizia Marsiliさんを研究したことで「ZFHX2」という遺伝子の突然変異により痛みを感じにくくなる疾病があるとわかった例もあります。

もし痛みを感じられなかったら、自分の皮膚が焼け焦げた匂いで火傷をしていることに気づくしなないって考えただけで痛いですよね。痛みを感じるのは重要なことなんです。

でも、ずっと続くきびしい痛みをやわらげる研究には、痛みを感じない人のDNA研究はずいぶん役に立ちそうですね。

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