ダブル監督「神山健治×荒牧伸志」に聞く、新世代のNetflix版『ULTRAMAN』の見どころポイント

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  • author 武者良太
ダブル監督「神山健治×荒牧伸志」に聞く、新世代のNetflix版『ULTRAMAN』の見どころポイント
Image: Netflix

シュワッチ?

ヒーローものといえばアメコミ。という方もいるかもしれませんが忘れちゃいけない。日本にはウルトラマンがいるじゃないか!

しかも特撮の、初代ウルトラマンが地球を去ったその後の世界を描く漫画『ULTRAMAN』もあるじゃないか!

この『ULTRAMAN』がもうね、カッコよさしかない。さすが『鉄のラインバレル』を手がけた清水栄一氏と下口智裕氏の作品、というしかない。

強化スーツを身にまとってウルトラマンになる=光の巨人ではなく等身大の大きさで描かれることになるのですが、ゆえに人間&異星人関係を含めたコミュニケーションシーンもGOODY GOODY

現在漫画は13巻まで出ています。さあ、買った買った!

あ、でもネタバレ禁止派はまだ買っちゃノンノン。4月1日(月)から配信がはじまった、Netflix版の3D CGアニメ『ULTRAMANを見てからにしないと!

Video: Netflix Japan/YouTube
神山健治x荒牧伸志のダブル監督が贈る『ULTRAMAN』の予告編。

ULTRAMANが! SEVENが! ACEが! 公式サイトのキャラクター一覧を見るとジャックの名を持つ人物も紹介されてる! なんですかもうこれ、グレイテスト・ヒッツか!

しかもダイナミックに動きまくりときて、アクションシーンの1つ1つに重みと説得力があり、リアリティ重視派にとっても、ドキワクしてきます。

さすがは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズの神山健治&Production I.Gと、『APPLESEED』シリーズの荒牧伸志&SOLA DIGITAL ARTSの強力タッグ。日本が世界に誇るコンテンツビルダーが集結して作り上げたアニメ、というしかありません。

両監督が語るULTRAMANへの想い

「僕の中ではウルトラマンがヒーローの雛形になっているんです」という神山監督と、「僕にとっても正義の味方としての原点になっています」という荒牧監督のお二人が監督するというのも、なにげにビッグニュースじゃないですか。

あと神山監督と荒牧監督といえばさらに『攻殻機動隊』、そして『ブレードランナー』の新作アニメに取り組むことも発表されています。こちらも楽しみすぎなのですが……今日は『ULTRAMAN』についてお聞きしましょう。

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Photo: 西谷茂リチャード

動きと質感にこだわりあり

── アニメ『ULTRAMAN』の見どころはどこでしょうか?

神山監督モーションキャプチャーを使ったことで、アニメのキャラクターがダイナミックに動くところがポイントですね。1話のなかであれだけたっぷりなアクションシーンをやれるのって、セル(作画)アニメだとやりたくてもできないところだったんです。

── これまでの荒牧監督の作品はフォトリアルなCGが多く、神山監督はセルルックな作品を多く手がけてきましたが、お二人は『ULTRAMAN』という作品にどう関わられたのでしょうか。

荒牧監督 神山さんにはCGにおけるキャラクターの作り込みを考えてもらって、僕はモーションキャプチャーによるアクション周りの作り込みをやりましたね。

神山監督 セルルックに近いので、最初はコマ抜きしてリミテッド・アニメーションの手法でやってみようと最初は試してみたけれども、作ってみると逆にフル・アニメーションの方が全体の雰囲気として合ったんですよね。

またウルトラマンや異星人は照りがあるような立体にして、人間はあまり立体的に見えないようにしているんですけど、それでも影はつけました。その結果、ウルトラマン側と乖離しない、新しいルックになりましたね。

荒牧監督 キャラクターの表情とかは従来のアニメっぽさがありますね。

神山監督 フル・アニメーションのなかに、リミテッド・アニメーションの手法を取り入れてやったりしています。目パチとか口パクはセルアニメの感覚ですね。その辺りをリアルにしすぎると、キャラクターの造形と少し合わないんですよ。

荒牧監督 背景はかなりリアル寄りのライティング・質感にしています。シーンごとに色指定をするのではなく、コンポジットやライティングで色を決めたことで、最終的な到達点はいいところまできていますね。

神山監督ライティングを駆使した画作りは念願でした...。いままで僕がやってきた3D CGアニメでは、あまりライティングを駆使する余地がなかったんですよ。

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Image: Netflix

── モーションキャプチャーというと、映像を見ていてビックリしたのがカメラワークでした。特にブレているところがすごくリアルに感じたんですが、カメラのモーションはどのようにつけたのですか?

荒牧監督モーションキャプチャー時にカメラも持ち込んで、その手ブレも同時にキャプチャすると報道カメラのようなリアルな揺れが表現できます。また普通にカメラのモーションを作っておいて、意図的にブレを追加するパターンもあります。キャラクターの頭にカメラをソフトウェア的につけて、主観の映像とすることもありましたが。

神山監督 リアルすぎて合わないこともあるんですけどね(笑)

── 「ULTRAMANや異星人は照りがあるような立体」とのことですが、ULTRAMANと異星人の表現について教えてください。

荒牧監督 ULTRAMAN SUITはもともと原作でも画としては見せ所だと思っていたので、ライティング感や光と影をうまく使って、一番かっこよく見えるようにしました。

アニメ『ULTRAMAN』でガジェット話

── ほんとかっこいいです! ULTRAMAN SUITにガジェット感があって!

荒牧監督 神山さんと最初にこだわったのはスペシウム光線の出しかたなんですよ。原作だとスペシウム光線が横にでるんです。僕らは世代が世代なんで、特撮のときと同じように縦に出したいと各所に相談し、手首をコネクトしたあとに下にスライドさせて、肘から縦に出すというアクションにしました。

神山監督アニメ映えもするし。あのスペシウム光線の出し方は気にいってますね。

── 原作コミックを読んだとき、ULTRAMAN SUITはガッチガチの強化外装か!って印象だったのですが、映像のULTRAMANは硬いパーツをまといながらも、肌に触れていそうな部分は布のような伸縮性のあるテクスチャが採用されていますよね。それが特撮感を生んでいるのかなと思いました。

荒牧監督3D CGは正直なんですよ。硬質なモデルを動かしたとき、身体のなかにめり込んでしまったりする。モーションキャプチャーでやっているので、人が動かしているというのがストレートに反映されて、ある意味着ぐるみというか、特撮っぽくなっていますね。

神山監督 狙っていたわけではないけど、そういった効果があるなぁというのはありますね。

荒牧監督 フィジカルなアクションをちゃんとフル3D CGに置き換えている感じっていうのが、ある意味CGアニメーションの中でも新しいのかなと思っています。

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Image: Netflix

── お話は変わるのですが、制作において活用したガジェットってありますか。

神山監督 カメラは良くなりましたね。値段も高くなりましたが(笑)

荒牧監督 最近キャプチャー用のカメラをリニューアルしたんです。ちょっと前は、日本ではまだ2箇所しか導入していないと言われていたんですが、最近ほかのところも入れていて悔しいなと(笑)

神山監督 単体のガジェットではないのですが、アニメスタジオ内にモーションキャプチャースタジオを持っているところってなかなかないんですよね。今回、それが我々の最大の強みだったんじゃないですかね。

荒牧監督 僕らもそうですけど、アニメーターもキャプチャー現場を見ることができるんですよ。それにより共通認識を早い段階で持てるというのが良かったと思います。

── 今回、テレビ放送ではなく、映画でもなく、全世界同時配信となりますが、意識されていることはありますか。

荒牧監督 あまり意識していないですね。日本人の多くはタイトルをご存じなのでそういった意味での見方がある中で、今回はむしろ知らない人が見ても大丈夫なように、ここからウルトラマンの世界に入る方にも届くようにきちんとやっています。そこはぜひ見てほしいと思っています。

神山監督 特別意識はしてなかったけども、特撮のウ ルトラマンがやってきたことをやっているだけなのに、現代においてはかなり残酷な描写となる場合があるんだとあとから気が付きました。

荒牧監督 そういった意味だと、配信向けであることで、そういう残酷な描写もそのまま表現できたのはありがたいなと思ってます。


元祖である特撮のウルトラマンと、漫画『ULTRAMAN』をつなぐ作品となる3D CGアニメの『ULTRAMAN』。僕は4話まで見たのですが、平成が終わるタイミングで世に放つ作品としてインパクト十分です。激震です。

もともとのウルトラマンファンはもちろん、ヒーローアクション好きも必ず見るべき。そして昨年ヒットしたTVアニメ『SSSS.GRIDMAN』を見て、昭和と現代を結ぶ架け橋となる作品作りに興味ある方もチェックするべき。さあみんなで新たなヒーロー、早田進次郎の成長物語を目撃しようじゃないですか。

Netflixオリジナルアニメシリーズ『ULTRAMAN』は4月1日(月)から全世界独占配信です。

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