Palmレビュー:なぜか嬉しくなる、ポケットサイズの携帯

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Palmレビュー:なぜか嬉しくなる、ポケットサイズの携帯

みなさん、PDAは覚えていますか?

現在のスマートフォンの前身とも言えるPDAは、ビジネスマン御用達のツールとして、特に北米で普及しました。その中でもPalm(パーム)のPDAは軽快な動作と便利な機能で人気を博し、見ない日はないほどに流行ったものですが、スマホの普及と共に徐々に勢いを失っていきました。PalmもPreという素晴らしいスマホをリリースして健闘しましたが、やはりApple(アップル)やSamsung(サムソン)の勢いには敵わず、その存在を新たに知らしめるには至りませんでした。ところが、今回新たにリリースされたスマホは、それまでの他の企業とはまったく異なった新しいアプローチを提案しており、米GizmodoのSam Rutherford氏も気に入った様子。彼のレビューを見てみましょう。


この携帯は不思議な魅力があるんですよね。初めて一目見た時から、なぜか幸せを感じていました。生まれたての子犬みたいに小さくて可愛くて、写真で見るより現実にはもっと小さく感じます。こういう反応をしたのは私だけではありません。私がオフィスに持って行った時は、スタッフみんなが集まって感嘆しました。わぁっと声をあげた人もいれば、「完璧だ」と言う人や、「こういうのを何年も待ってたんだよ」と言う人までいました。

Palm Palm

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Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

これは何?:蘇ったPalmブランドの超小型携帯

価格:350ドル(約3万9千円)+データの為の毎月10ドル(千百円)

好きなところ:非常に小さいが、スタンドアロンの携帯としても十分な性能

好きじゃないところ:カメラの質が良くないことと、5GHzのWifiに接続できないところ。コンパニオン・デバイスと位置付けられているので、販売の仕組みがめんどくさい。

このテックブロガーたちからの好感触には、私もびっくりしました。でも、このデバイスを特徴的にしているのはサイズだけではありません。なぜここまでエキサイティングなのかといえば、その一つの理由は、これが新たなPalmの誕生だからでしょう。覚えてますか? 大きなPDAに、悲劇的なPalm Pre。もっと面白いのは、このPalmは、これまでとまったく異なるテクノロジーとの共存の仕方を提案してくれているのです。

Palmは小さいボディの割にミステリアスで、名前も正直なんと呼べばいいのかわかりません。作っている会社の名前はPalmですが、じゃあデバイスそのものの名前は? 大文字のPを使って「Palm Phone」とか? それとも、Verizonのページにあるように「Palm Palm」なんて笑える名前になってしまうのでしょうか? とりあえず、私はBaby Phoneとか、単純に「Palm」と呼んでいます。マリオでもラスプーチンでも、クールなものは名前は一つで十分なのです。

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ぽっぺをプニプニしたくなるような可愛さ
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

さて、サイズの話をしましょうか。物理的な大きさ(クレジットカード並!)の話ではなく、どうしてこんなに小さいのか、という話です。ここ最近、多くのテック企業が健康的なデバイスとの付き合い方、「デジタル・ウェルビーイング」を推進しています。たとえばGoogleAppleは、それぞれAndroidとiOSに、どれだけの時間デバイスを使っているかをトラッキングする機能を追加しました。それはいいのですが、800ドル(8万9千円)もするようなスマートフォンを買ったのに使用時間を制限するというのは、アストンマーティンを買ったのに時速90km以上を出さないで走るようなものです。

それなら、長時間使いたくなる誘惑の強い高額な携帯よりも、小さくてシンプルで、スマホに求められる機能は一通りそろえているけど、大切な時間を無駄にしない携帯の方が良いのかも知れません。これこそ、Palmの小さいボディとディスプレイの発想の元です。ポケットから取り出して、必要なことをチェックしたらさっさとしまう為のデザインなのです。

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実物は写真よりもさらに小さく感じます
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

Palmはより直接的にスマホ中毒に対抗するようデザインされ、普段使うスマートフォンの代わりをうまく勤められるのですが、ちょっとした不満やかなりの難点も知っておく必要があります。以下に、良い点良くない点欠点の3つに分けて説明します。

良い点

まず良い点ですが、フィーチャーフォンやその他の半端なガジェットと違い、Palmは完全なモバイルOS(Android 8)に、小さいスクリーンでも使いやすいようカスタマイズされたホームスクリーンとアプリランチャーを備えています。つまり、Androidでお気に入りのアプリもちゃんと使えるし、小さなアイコンのグリッドから選んでタップするだけで起動できるのです。

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USB-Cポートはいいんですが、Palmだけはポートが一切なくてもいい初めてのデバイスだと思います
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

もちろん、スクリーンが小さいので、テキストや設定アイコンなども小さくなります。なので、遠近両用のメガネが必要な方には不向きなデバイスかも知れません。しかし、多くの方にとって可読性やUIナビゲーションは悪くないと思います。しかも昔ながらの感圧式ボタンがスクリーンの下にあり、タップ一度で前の表示に戻り、二度でホームへ、そして長押しで最近開いたアプリを一覧表示できます。

さらに、Palmはハンズフリーでの利用も考えてデザインされており、 Googleアシスタントを利用して、SMSの返信やナビの場所検索などを音声で行うことができます。デバイスに向かって話しかけるのが変だと感じる人には、特にこういう小さな携帯では慣れが必要になるでしょうが、確かに機能します。

Palmには簡単な二次元の顔認証システムも付いているので、ロックを解除するのに一々小さな番号ボタンを押す必要はありません。Googleアシスタントを起動するには、他の携帯のように両端を押さえたり、ホームボタンを長押しする代わりに、唯一の物理ボタンである電源ボタンを長押しします。

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Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

Palmは小さいだけでなく、作りも驚くほどしっかりしています。

ほぼどこにでもしまえる小さい携帯なのに、この堅実な作りは賞賛せざるを得ません。ポケットに入れれば完全に隠れてしまうし、どんなに小さいクラッチバッグにでも問題なく入り込めるでしょう。なんならジーンズのコインポケットにも入れられるし、やろうと思えば靴下の中でもいけます。そんなサイズなので、手に取ると、他のどんなスマートフォンよりも小さいと感じるでしょう。

また、Palmのスクリーンは非常に明るく、私たちの露出計では808nitsを記録しています。これは私が過去18ヶ月の間にテストした携帯の中でもっとも高い数字です。さらに2オンス弱という軽さなのに、IP68防水規格なので、ちょっとした水たまりなどに落としても問題ありません。

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レザーの保護ケースに入れていても、どこにでもしまえる
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

良くない点

次に良くない点ですが、最近の多くの携帯がそうであるように、ヘッドホンジャックやmicroSDカードスロットがありません。しかし、その小ささゆえ、それらを入れるスペースがなかったという言い訳は通るでしょう。ワイヤレス充電がないことも同様ですが、完全にワイアレスな携帯であったら非常に素晴らしかっただろうと思います。

カメラに関してですが、Palmには12MPの背面カメラに、8MPのフロントカメラが付いています。明るい環境なら使えなくはないですが、予想通り、Pixel 3と同クオリティというわけにはいきません。しかし、350ドルという破格の値段なので、あまり気にはしません。とはいえ、暗いところでは他よりかなり苦戦します。

Palm/Pixel 3 Testshot

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Pixel 3の方が明らかに上ですが、350ドルならいいかな、という印象
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

Palm/Pixel 3 Testshot

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ここでも色の豊かさや露光はPixelの方が上ですが、Palmもまぁまぁかなという感じ
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

Palm/Pixel 3 Testshot

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しかし、暗いところではPalmは苦戦します
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

Palm/Pixel 3 Testshot

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Palmはノイズとぼやけたディテールが目立ちます
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)


それと、携帯のパフォーマンスや充電の持ち時間はそこまで悪くはないのですが、「良くない点」に入れるのが適切だと思います。複数のアプリを使っている時は割と軽快ですが、Qualcomm Snapdragon 435チップセットにそれ以上を求めるのは馬鹿馬鹿しいでしょう。Super Mario GoやPokemon Goを遊ぶことはできますが、Palmのベンチマークは最近のスマートフォンでは最低の成績です。

充電の持ち時間に関しては、米Gizmodoの耐久テストでは、冗談としか思えない3時間6分を記録しました。これはほとんどのフラッグシップ機の4分の1です。しかし、このテストはWi-fiをでビデオストリーミングをひたすら再生し続けるというもので、そもそもPalmの理想的な使用方法とかけ離れています。なので、このテストの成績が悪いのは想像通りと言えます。ちなみに、3つの絵をそろえる簡単なパズルゲームなどでも、90分以内に電池を使い切ってしまいます。

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かつてのPalmのGraffitiジェスチャーを覚えてますか?ちょっと違いますが、帰ってきました
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

でも、Palmは携帯として最低限の機能だけを持たせることで、スマホ中毒を解消するような使い方を推奨しているわけです。なので、携帯のチェックを1時間の間に2回程度、あとはちょっと音楽をストリーミングしたり、必要最低限の使用にとどめれば、丸一日持たせることも可能です。そう考えると、Palmの持ち時間はむしろ良い点にもなりえます。それまでの中毒じみた使い方をするとオシオキされるわけですからね。だから、デザイン通りの使い方を受け入れることさえできれば、Palmはあなたのデジタル・ウェルビーイングを改善してくれるかもしれませんよ。

持続時間にそれでも不安があるという人の為に、Palmにはライフモードというのがあり、電池を長持ちさせるだけでなく、余計な誘惑も断ち切ってくれます。このモード中は、スクリーンをロックするとある種の「絶対おやすみモード」となり、画面は真っ暗で着信、SMS、通知が一切表示されなくなるので、チェックしたい時はアンロックします。

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どれだけ頑張ってもSIMトレーは開きませんでした
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

欠点

こうしてみると、「良くない点」はそんなに悪くないように見えるのですが、そこで登場するのが「欠点」です。真っ先に問題として上がるのは、対応しているWifiが802.11 a/b/g/nなことです。つまり、5GHz 802.11 acネットワークに接続できません

しかし、Palmの第二の、そして多くの人にとってもっとも大きな欠点は、PalmがVerizon限定なことです。つまり米国の購入層の65パーセントが取り残されてしまうのです。厳密に言えばPalmはアンロックされていますが、SIMトレーを開けるピンホールがあまりに小さく、開けることがほぼ不可能です。無理やり開けようとすれば、おそらくトレーが破損するでしょう。そして、あたかも開けることを絶対に防ぎたいかのように、最近の携帯ならほぼもれなくついてくるイジェクタピンが付属していません。さらに、たとえ開けたとしても、対応していないLTEバンドが複数あるので、他のネットワークにちゃんと接続できません。

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感圧式ボタンはちょっと古い感じですが、Palmにはピッタリです。でも、ジェスチャーナビゲーションがあればもっと良かったですね
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

それだけでなく、この携帯は「コンパニオン・デバイス」と銘打たれており、Verizonと契約したメインの携帯を持っていないと購入すらできません(別にPalm単体でも問題なく使えますし、携帯ネットワークやWifiに繋ぐのにわざわざ別の携帯は必要ないのに)。しかも、 本体の350ドルだけでなく、データとVerizonのナンバーシェアサービスを使うために毎月10ドルを払わなければなりません。ナンバーシェアは、1つの番号を複数のデバイスで共有するサービスです。また、ナンバーシェアによってPalmとメイン機でSMSを同期できるので、メッセージを逃すことはありません。ただ、VerizonのSMSアプリを使わなければなりませんが。

誤解しないで欲しいのは、より大きくてパワフルな携帯のサブ機として使うこと自体には魅力があるということです。仕事用にはメイン機を使い、それ以外の時はPalmを使えば良いんです。ちょっとしたディナーに行く時、ハイテクすぎるガジェットは必要ないと思ったら、Palmは最良のチョイスです。ランニングに向かう時でも音楽をストリーミングしながら着信も可能にしたいなら、LTEが備わっているウェアラブルですら、Palmには敵わないと思います。

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Pixel 3とのサイズ比較
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

Palm単体で購入できないのは悲劇としか言いようがありません。子供にとっても素晴らしいデバイスだと思いますからね。電池の持続時間が短いということは、電池切れを恐れて長くは使いたがらないでしょうし。それに、小さくて、可愛くて、シンプルな携帯が欲しいという人にだって最適です。だから、わざわざ携帯を2つ買わせるというのはあまりに馬鹿馬鹿しいと感じます。

ネットに接続しながらも、デジタルに狂わされないデバイスとして、Palmは非常に良い例です。どこにでも持っていけて、かつ必要最低限の機能はそろっています。初めて手にした時は、Palmはスナックのようだと思っていましたが、どうもそれは違うようです。どちらかというと、一口サイズにパッケージされた、フルコースのディナーだと思います。今年も大きくてパワフルな携帯がたくさん発売されましたが、この子供のようなスペックのPalmは私のお気に入りの一つです。唯一残念なのは、ビジネス方針が原因で、多くの人がこの携帯の素晴らしさを楽しめないことです。

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Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

READ ME

  • 素晴らしく小さくて、実際には写真よりもさらに小さく感じる
  • Verizon限定で、すでにメインの携帯を持っている人しか買えない。価格は350ドルに、データとナンバーシェアサービスの毎月10ドル
  • ゲームやその他の高負荷の作業を行うとすぐに電池が切れるが、デザイン通り(ネットには繋げるけど、スクリーンをずっと眺めたりしない)の使い方をすれば一日中持つ
  • フルバージョンのAndroid 8を搭載しているので、普通のAndroidアプリも使用可能。ただ、目をすぼめないと見えないかもしれない

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