FacebookのスマディスPortalレビュー:モノは良いけど…信頼がね

  • author Victoria Song - Gizmodo US
  • [原文]
  • Kaori Myatt
FacebookのスマディスPortalレビュー:モノは良いけど…信頼がね
Facebookを自宅の大画面で使ってみたい?

プライバシーなんか気にならない。

そーんなFacebook(フェイスブック)ファンを喜ばせてくれる端末がついに登場していますよ。

検索もしていないのに会話だけで話題にしていたトピックがFacebookの広告に現れたという、都市伝説的な怪談も、検索しただけでどんどん表示される広告も、どこからともなく現れる「知り合いかも」もぜんぜん大丈夫。っていう人は、キッチンなんかに置いて使えばメッセンジャーの通話には便利かなあとも思います。はい。

プライバシーにうるさい世間の注目を集める、Facebookがリリースしたスマートディスプレイ、PortalとPortal+のレビューを米GizmodoのVictoria Song記者が報告してくれています。


存在感どっしりのリビング用端末

自宅にカメラを置いて、Facebookと接続するってどうよ?

度重なるスキャンダルモデレーションはカオスを呈しており、最近では政治の関与も槍玉にあがっています。それでもFacebookは数百万の人が通信手段として使用しており、今もあなたの携帯やコンピュータのバッググラウンドでひそかに様子をうかがっているかもしれません。Facebookのスマートディスプレイ・Portalについて、Facebookは友達や家族とつながれる素敵なガジェットと言ってますが、ここまで混沌として泥沼なFacebookを自宅に招きいれたいと思う人たちがいるのでしょうか?

どうもPortalは友達や家族とつながれるという点が売りらしいんですよね。自宅に設置して使うディスプレイは、言ってみればビデオチャット専用装置みたいなもんです。(自宅のプライバシーがだだ漏れするマイクとカメラもばっちりついてます)今のFacebookの機器を家庭に導入するなんて、プライバシーをこちらから差し出すようなものじゃないですか。

ビデオチャットなんて、今どき新しくもなんともありませんし。いずれも荒い画像で通信は途切れ途切れな、Skype、Google Hangout、FaceTimeと、わたしたちはもう慣れっこですからね。でも、昨年くらいから、Amazon Echo Showのおかげでビデオもスマート家電へとシフトしようとしているのを目にしてきましたよね。これからはスマートディスプレイが台頭するのは火を見るよりも明らかです。大きな違いは、Echo Showは通話もできる端末、FacebookのPortalは存在感がすべてということかな。

Facebook Portal と Portal+

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

これは何?

Echo ShowのFacebookバージョン

価格

Portalは199ドル(約2万2500円)、Portal+は349ドル(約3万9400円)

好きなところ

堅牢なハードウェア。通信クオリティはよし。AR効果は面白い

好きじゃないところ

Facebookのプライバシーについての評判

キッチンで使うマルチタスク用ディスプレイ

Portalは、下のほうにスピーカーのメッシュが入っているのがわずかな違いくらいで、見た目はEcho ShowやGoogle Home Hubとよく似ています。Portal+は、カメラを上部に備えたタワーのような感じで、回転するiPadがついているといった雰囲気です。Portalが廉価版で200ドル(約2万2700円)から。ディスプレイは10.1インチの720pで、 12メガビクセル・視野140度のカメラを備えています。Portal+は350ドル(約3万9400円)で、ぐっと大きくなって15.6インチ、1080ピクセルのディスプレイ。カメラは同じですが、端末自体が大きいので、Portalよりもよいスピーカーを搭載しています。

いずれのPortalも、自宅に置いて使うディスプレイとしては、まあまあの見てくれといえます。Portal+はちょっとでかすぎる感がありますが。高さ約50センチもあるので存在感たっぷり。その存在感は隠しきれません。本棚につっこんだり、カウンターの上にさりげなく置いておいたりということは、はっきりいってできません。横置きにすると、ほぼ15インチのラップトップほどのスペースをとる感じです。Portalはキッチンやリビング専用のコンソールとして配置するのにぴったりなんです。

Portalのビデオとオーディオの品質には正直驚きました。Facebookはレビュー用に両方を提供してくれたので、さっそくPortalからPortal+への通話を試しましたが、これはスムーズ。ビデオはまったく途切れがなく、画像の品質はとってもクリア。通信の遅れもありませんでした。聞き返したりすることもなく、雑音すらありません。Portal+と比較するとPortalの画像は多少粗めでしたが、いずれも問題はなく、携帯で使うFaceTimeよりはずっとましでした。相手がFacebook Messengerを使っていれば、誰とでも通話することができます。Portalから携帯への通話では、動画の中断を経験していますが。どちらも部屋いっぱいに響く十分な音量で聞くことができます。ジョージ・ミラーの『Ballad 1』を全曲キッチンで聴きましたが最大ボリュームにしても音質は満足できるものでした。

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Portal+ は回転するiPadという感じ
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

モナリザの目があなたを追う

ですが、FacebookのPortalが他の機器と一線を画するのは、なんといってもあなたを追いかけるスマートカメラの存在でしょう。例えるなら、「モナリザの目」です。どの位置にしてもモナリザはあなたを見つめている。そんな感じかな。どこにいてもカメラはあなたをフォーカスします。FaceTimeしているとき、ときどき顔すらカメラに収めずに話して「顔見えないよ」って言われることありますよね。まあ、便利といえば、便利ですが、言い換えればそら恐ろしいというか。カメラにリアルタイムでいつも追われてズームされたりするわけですから。Facebookは複数の人がビデオチャットするときにも、料理やお絵かきなんかしながら話をするときにもフレームを気にせず話ができる機能なんて説明してましたが、すごいなと思うのと同時に不気味だと思うのは私だけではないでしょう。

ビデオ通話以外に、正直Portalの使い方は思いつきません。Facebook Watch、iHeartRadio、Food Network、Newsy、Pandora、Spotify、YouTubeと、Portalで使えるアプリはあまりにも限られておりHuluはおろか、Netflixすら使えません。ビデオエンターテインメントは全滅です。ネットサーフィンするブラウザすらありません。通話していないときには、Portalのスーパーフレーム機能が便利です。この機能により、Portalはデジタルフォトフレームに早変わり。ソーシャルメディアにアップロードした画像をスライドで表示してそれを楽しめます。Amazon Alexaがビルトインされており、照明も消すことができます。でも50ドル(日本販売価格5980円)で買えるEcho Dotで同じことができるなら、そのためにわざわざPortalを購入する理由は見当たりません。

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頭に猫が... 楽しい拡張現実(AR)
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

チャット内で楽しい仮想現実

これ以外にはできることがないため、Facebookはビデオ通話にはかなりの機能をつめこんでいます。わたしと同僚はチャット中頭に猫をのせたり、イチゴの帽子をかぶってみたり、動物顔になったりと、Snapchatばりの拡張現実(AR)効果にしばし没頭してしまいました。友達と元彼の悪口で盛り上がりながらアリアナ・グランデの「thank u, next」が聴きたいならチャット中にもSpotifyで楽曲をシェアできます。ただし、相手もあなたもPortalを所有しており、どちらもプレミアムアカウントを所有している必要がありますが。

また、ストーリータイムモードもあります。このモードにすると、通話の相手におやすみ前のストーリーの読み聞かせをしてあげることができます。わたしの画面には、童話などの物語が表示されていき、聞き手はストーリーを語る私の顔をみながら、アニメキャラクターとのAR効果を見ることができるのです。わたしは恋人とこれをやってみたのですが、バカバカしすぎてこれが別れの原因にならなければいいよねと忠告されました。

ここまで試してきて気づいたのが、どうもFacebook Portalを使うユーザーとしては、私は若すぎるか年寄りすぎるかのどちらかなんじゃないかなということです。遠くに住むおじいちゃん、おばあちゃんが対象ユーザーとしてはぴったりかと思います。または出張の多い親の元にいる小さなお子さん。でも今やスマホもありますし、子どもや孫でもいなければ、単なるビデオチャット装置に2〜300ドルも出す人がいるでしょうか。

百歩ゆずって、対象ユーザーであったとしても、Portalを使うハードルは高いでしょう。第一、Portalを使うにはFacebookアカウントが必要です。今やお父さんもおじいちゃんもこぞってテクには強くなってきてますが、まだまだアカウントを持っていない人がいるのも実情。現にうちの母も持っていません。データの漏洩にはことうるさく、ソーシャルメディアはとことん避けています。うちでは母とビデオチャットするならFaceTimeです。使うのに前提条件が少ないですので。そういう人には、自分のアカウントを使わせてあげるという手があります。どちらのPortalでも自分のアカウントを使用して自分自身と通話することができました。でも気を抜いているとおばあちゃんやお母さんに自分のFacebookの恥ずかしい写真をさらけ出してしまう危険もはらんでいますので要注意です。

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自分のFacebook画像がどんどんディスプレイに出てくるのは気分がよくない
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

ユーザーのデータ漏洩についての懸念を意識

お子さんのプライバシーはまた別問題ですよね。Portalにはパスワードを設定することができます。ですが、賢い子どもさんならそんなの難なくクリアしますね。小さなお子さんがおじいちゃんと話すには、大人のアカウントが必要です。だってFacebookは13歳にならないと使えないんですから。これはあちこちでデータうんぬんいろいろやらかしているFacebookにしては常識的な保護と思います。

Facebookもデータ漏洩については意識しているようで、Portalの箱を開けたときからその姿勢が見て取れるようになっています。まず、どちらのPortalにもカメラカバーがついています。デモでは、端末の上のボタンを押すとカメラとマイクをオフにできることが強調されています。(カメラとマイクをミュートにすると赤いランプが点くのがちょっと紛らわしいですが。周囲の人は赤いランプがついているとカメラが動作していると思いました)他のFacebookユーザーにあなたがオンラインであることを知らせる表示もオン・オフすることができます。また携帯のGPSで在宅モードを設定しておけるので、自宅にいるときだけ在宅の表示をオンにしておくこともできます。

初めてログインすると、携帯やコンピュータに表示されるコードの入力を求められます。サードパーティアプリの設定やその他の設定の変更時には必ず認証が求められます。認証、認証とちょっと煩わしいですが、これもFacebookが情報保護に真剣に向き合っているのだと思えば、許せますね。さらにPortalにはプライバシーとセキュリティについてのページとデータについてのステートメントのふたつがあることを考えると、やはりFacebookは情報保護には慎重になっているのがわかります。

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Facebookはカメラにカバーをつけている。ユーザーの気持ちを察してか
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

暗号化技術は?

さて、Portalは一体どれだけセキュアなのでしょうか? 通話は暗号化されていると言いますが、言うだけなら簡単です。Facebookに通話の暗号化の技術について問い合わせてみたところ、暗号化キーについてとか、使用しているプロトコルだとか、エンドツーエンドの暗号化かどうかなど、そんなことを教えてくれるものだとばっかり思っていましたが、そんな期待に反し、Facebookの中の人はたった一言「Portalは暗号化されています」としか教えてくれませんでした。 それよりも、Portalでの会話や画像やコンテンツはFacebookに送られることはなく、Portalのビデオ通話でのやりとりをFacebookが傍受したり広告に使用したりすることはないことを強調されました。また、カメラの顔認証AIも端末上でのみ実行され、Faebookサーバーに送られることはないそうですが。

まあ、送ることなはい、というのと、送ることができない、というのでは違いがありますので、本当のことはわかりませんが。また例え通話が暗号化されていても、またカメラやマイクをミュートできても、Facebookがデータを収集していないという証拠はありません。Facebookのプライバシーポリシーでは、ボリュームレベルや受信バイト、フレーム解像度、クラッシュレポートについては送信されるものとされており、データポリシーページでは、“ヘイ Portal” の音声コマンドを使わない場合には環境音や背景での会話もFacebookに送信される可能性があるとしています。Portalの音声履歴はログから手動で消去できますが、その手順は複雑です。普通の人には対処できないレベルです。さらにFacebookはRecodeのPortalのプライバシーについての質問についてごまかすような記述をしています。

それに対し、AlexaやGoogle Homeのデータポリシーはまだかわいいものです。事実に基づいており、どのくらいのデータが使用されるのか、明記しています。

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カメラもマイクもオフにできる。それでも監視されている気分になるのはなぜ?
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

FacebookがPortalのデータを広告に使うかどうかのスタンスもはっきりしていません。その一方で、通話はプライベートであり、通話上の情報はターゲット広告に使用していないとしています。ですが、他方ではPortalはFacebook Messengerに統合されており、その結果、使用した機能やアプリを使用した時間の長さなど、一部のデータは「Facebookで見る広告を知らせる」ために使用されるとしているのです。

ハードウェアも通信の品質も申し分ない機器ではあるものの、Facebook Portalを使用するということは、プライバシーをさらけ出すということに他ならないということになるのです。 わたしからは大きなディスプレイにどの友達がFacebookでオンラインになっているかを自宅にいながらはっきりと見ることができます。Portalのディスプレイには恋人に電話しますか、という余計なお世話なオススメも。また、私がアップロードした画像がスライドショーとしてディスプレイに披露されるのもいただけません。(あんまり気になったのでPortal+には袋をかぶせました)これらはきっと無効にすることができるんでしょうけど。いったいどれが本来の使い方なのでしょうか。

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データは収集されないとわかってるが、使っていないときには一応Portal+には袋をかけておいた
Image: Victoria Song/Gizmodo US

使うなら慎重に

逆説的には、Facebookの透明性を保つ努力がこの居心地の悪さを却って招いているような気がします。Facebookがいとも簡単に自分のデータにアクセスするのを見てしまうと、Portalの使用は慎重にしなくてはならないと思わずにはいられません。わたしはAmazon Echo SpotとEcho Dotを持っています。いつも私の声を聞いており、時々アレクサがテレビに反応したり、突然何か言ったりするとびっくりします。でも、アレクサはソーシャルネットワークや自分の撮った写真をディスプレイに晒したりしません。AmazonではGoogle検索が悪名高くなっていますが、それもネットワーク上の人とは関係がありません。わたしのAmazonのデータが漏れたとしても、パスワードやクレジットカード、過去にわたしが何を購入したか、せいぜいそんな情報くらいです。Google Home Hubはビデオ通話さえできません。たとえFacebookが通話を傍受しないと主張していたとしても、Facebookはわたしの大切な思い出や記憶すら入手できるところにいるのです。これをプライバシーと言わずなんと言うのでしょう。2〜300ドル出してまでFacebookを自宅にご招待するかと言ったら、わたしはお断りするでしょう。スマホがあればそれで十分。スマホだってどれだけ安全かわかりませんが、少なくともまだこっちの方がFacebookよりも安全という気にさせてくれますから。

まとめ

・ハードウェアはよし。ビデオとオーディオの質は安定している。スマートカメラは怖いほど性能がよい

・ビデオチャット以外の使い道がない、AR効果は面白い

・家族むけ。スマホがあるのに2〜300ドルもかけて独身者が使うとは思えない

・Facebookはプライバシーを全面に押し出しているが、それでも曖昧な部分は多い

・Portalの使用にFacebookアカウントは必須

・多くの機能をオフにしてもどうも薄気味が悪い

Portal ほしい?

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