ThinkPad 25周年モデル レビュー:ノスタルジーに頼らない、正当なリバイバルモデル
Photo: ギズモード・ジャパン

ThinkPad 25周年モデル レビュー:ノスタルジーに頼らない、正当なリバイバルモデル

「7段キーボード」は使いこなせたのか。

Macユーザーにとって本当に魅力的なWindowsマシンってなんでしょう? Macのようなスタイリッシュ路線を攻めたSurfaceシリーズ? それとも高級で美しいデザインのHP Spectre

いえ。Windowsユーザーなら意外かもしれませんが、長年Macユーザーな私にとって一番魅力的なのはビジネス向けラップトップだったりします。今回レビューするThinkPadシリーズだって、まさにそうです(他にはVAIOなんかもそう)。正直、デザインが洗練されたマシンはMacBookでお腹いっぱいですし、現行のMacではすでに忘れ去られた、SDカードスロットやHDMIポートがあるビジネスラップトップはすごく使いやすいのです。

そんな折にやってきたのが、ThinkPadの登場から25年を記念する「ThinkPad 25」。25年分の“ThinkPadらしさ”を詰め込んだこのモデルは、ThinkPadを初めて体験する絶好の機会です。今回は自分のMacBook Airを2週間ほど封印して使ってみました。ただしこのモデルは1,000台限定でして、すでに購入はできないので悪しからず。

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まず使用感に行く前に、ThinkPad 25とは何?ってところから語らせてください。

ThinkPadは、25年前の92年に初代モデル「ThinkPad 700C」が発売され、当時はIBM、現在はLenovo(レノボ)が開発しています。当時から国内で開発され、一部モデルは国内で製造されたりと日本にゆかりのあるビジネスラップトップです。

このThinkPad 25(以下、25周年モデル)は、2017年の「ThinkPad T470」の筐体がベースで、各所にThinkPadシリーズの過去のエッセンスが散りばめたリバイバルモデル。エモーショナルな復刻でいうと、ThinkPadのロゴがIBM時代のオマージュになっています。

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右上のPgUpキーから、Ctrlキーの列まで7段になっている。現行のThinkPadは6段。

なかでももっとも特徴的な復刻が、この7段配列のキーボード。PageUpやPrintScreen、大きなDeleateキーが独立して存在していて、アイソレーションキーボードが主流となった今では見ない配列です。一応、現行のThinkPadシリーズにもPgUpやPgDnキーはありますが、このような贅沢な配置は25周年モデルだけ。

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とくにこの左右矢印の上にある、ページ戻る/ページ進むキーなんてのはすごいですよ。押すまでなんのキーかわからず、初めてPCを触る人のように恐る恐る押しました。

キーの打鍵感に関しては、今の薄型ラップトップでは感じられない素晴らしいチューニングが施されていて、スコっと沈むクラシカルな感触は、MacBook Airのグラグラしたキーと比べものになりません。

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あと、7段キーならではの大きなESCキーもすごく使い心地がいいんです。ESCって普段からそんなに使ってる?と思っていたんですが、意外と押しているんですよね。そんなことに気づかせてくれるほど好印象な体験でした。これは特筆しておきたいです。

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ジェスチャー操作に慣れきってしまったMacユーザーにとって、ほとんどのWindowsマシンに感じる不満が、トラックパッドが小さいってことですよね。スクロールやジェスチャー操作を思いきりできないことに、よく歯がゆい気持ちになります。

25周年モデルのトラックパッドは平均以上の大きさだと思いますが、それでも決して大きいと言えるものではありません。しかしこのマシンに関しては、PageUp/Downキーが押しやすい位置にあるのでスクロールには不自由しないのです。私的には、このシーンが7段キーボードの恩恵をもっとも受ける部分でした。HomeやEndも非常に使いやすい配置ですしね。

とはいえ、スクロールのたびに右上のキーを押すのもどうなの?って感じでしたので、この方法は膝上やカフェで使うときだけ。結局デスクでは、マウスを使うスタイルに落ち着いてしまいました。でも独立したキーが居てくれる分には邪魔じゃないし、むしろ見た目がギークで好きですけどね。

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上:X1 Carbon(第5世代)/下:25周年モデル

1つ注意しておきたいのは、ThinkPad 25thは厚さ19.95mm重さ1.69kgと、今どきの14インチラップトップにしては、ズッシリとした作りであるということ。分厚くなってしまっている理由は、本体に内蔵したバッテリーに加えて、取り外せるバッテリーも搭載しているからだと思います。もちろんこれは良し悪しの話ではなく、過去のThinkPadを踏襲したモデルとして適切な設計です。

25周年モデルは過去のThinkPadのエッセンスをただ詰め込んだっていうわけではなく、今の技術もいっぱい入ってます。たとえばフロントカメラは顔認証でログインできるWindows Helloに対応していて、USB Type-Aに加えてType-C端子のThunderbolt 3ポートも搭載。ビジネスPCにあるべきものをそろえつつ、そのなかでも最高のものが採用されています。SDカードスロットも、フルサイズのHDMIポートもあり、私がWindowsマシンに求める第一条件であるポート類は完璧です。

筐体の質感はマットで、手触りはサラサラ。とくに天板はパームレストよりもテクスチャが細かく、樹脂というよりラバーっぽい手触りでお気に入りでした。

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ラバーっぽいのでホコリもちょっと目立つ。

ThinkPad 25は、昔からのThinkPadファンにとっては良いものであり続けるでしょう。ThinkPadの遺伝子を受け継いでいて、大きなところで言うとその佇まいやブランド力、小さなところで言うとキーひとつひとつのストロークなど、本来のThinkPadらしさが詰まったマシンです。

しかし難しいのは、これからThinkPadが欲しい人にとって必要かどうか?ってことです。その疑問への答えは「そうではない」という結論に至りました。たとえば腰を据えているとき、このキーボードは最高なんですが、これを持ち運ぶとなると躊躇してしまいます。そういったラップトップを使う体験のすべてを見たときに、やはり約1.7kgという持ち運びにくさがビハインドになってしまいます。

もちろん、この意見が愚かなのもわかります。25周年の記念モデルなのだから、重さなんて気にしないThinkPadに思い入れのあるユーザーだけが使えばいいし、私のようなご新規さんは、MacBook Airに肩を並べる軽さの「X1 Carbon」を選べばいいだけです。X1 Carbonのキーボードは少し軽くなりますが、SDカードスロット以外は25周年モデルと同じポートです。

ただ25周年モデルを実際に使ってみて感じたのは、今まで築き上げてきたThinkPadのアイデンティティを、いかに時代のトレンドに落としこもうか、ThinkPadの開発陣は模索しているように思えるのです。つまり、今後のThinkPadのあり方を想起させるこの25周年モデルは、ファンだけに向けたマシンではありません。

これは例えですけど、7段配列の完璧にチューニングされたキーボードを搭載した、X1シリーズのようなウルトラブックが今後、実現するかもしれません。だからこそ、今回は「多くのThinkPadユーザーに必要」とまではオススメできないとしても、この25周年モデルはThinkPadの転換点を予感させる、決して見逃せないマシンなのです。

スペック:2.70GHz インテル Core i7-7500U プロセッサー , RAM 16GB(32GBまで拡張可能), ROM 512GB SSD, 14.0型 1920x1080ドット IPS液晶, NVIDIA GeForce 940MX 2GB, バッテリー 約6.5時間, 本体サイズ 約336.6×232.5×19.95mm 約1.69kg



Photo: ギズモード・ジャパン
Source: レノボジャパン

(山本勇磨)

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