昨年から始まった、「年末には『スター・ウォーズ』が控えている」という年が今後もしばらくは続きそうなので(『エピソード8』は2017年12月15日に公開予定)、年末のギリギリまで、年間のベスト映画がなかなか決まりませんね……。
そんな本来の締め切りには間に合わなかった編集者多数、ただしライターは全員締め切りを守ってくれた、ギズモード・ジャパンの中の人+αが選ぶ「2016年ベスト映画」は以下の通りです。
abcxyz(ライター)
【1位】ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
【2位】ドクター・ストレンジ
【3位】ロブスター
【4位】ヘイル、シーザー!
【5位】シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
【6位】バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
【7位】SPY/スパイ
【8位】デッドプール
【9位】ゾンビーワールドへようこそ
【10位】X-MEN: アポカリプス
※フィンランド在住のため一部日本上映前の作品も含んでいます。
『ローグ・ワン』はこれまでの『スター・ウォーズ』シリーズの単純明快さから離れた、独立した映画ながらも、本作のおかげでシリーズ全体に深みが増しました。
『ドクター・ストレンジ』はマーベル・シネマティック・ユニバースのファンもカンバーバッチファンも楽しめること間違い無し! 美しいVFXトリップもご堪能あれ。
『ロブスター』は万人にはオススメできないかもしれませんが、奇妙な世界観の中に不思議に引き込まれる、不条理でダークなユーモアに溢れた恋愛映画です。
コーエン兄弟による『ヘイル、シーザー!』は、まったり楽しむ系の映画。若き日のハン・ソロ役に抜擢されたアルデン・エーレンライクが出演しているのもポイントです。
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』と『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』はどちらも「みんな冷静になって、もっとちゃんと話し合おうよ!」と思わずにはいられなかった作品。『X-MEN: アポカリプス』はシリーズの前2作品に比べると、ごちゃごちゃした雰囲気でしたが、クイックシルバーの活躍シーンは安定の面白さでした。
公開前の作品だと、『ブレードランナー 2049』も楽しみな、ドゥニ・ビルヌーブ監督の『メッセージ』(2017年5月日本公開、io9が選ぶ「2016年ベスト映画」の1位)に期待しています。
勝山ケイ素(ライター)
【1位】この世界の片隅に
【2位】ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
【3位】君の名は。
【4位】シン・ゴジラ
【5位】ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
【6位】ボーダーライン
【7位】レヴェナント:蘇えりし者
【8位】10 クローバーフィールド・レーン
【9位】何者
【10位】スター・トレック BEYOND
我ながら「流行ものが好き」という感じの順位になりましたが、いやいやどの作品も本当に良かったですよね。この場所この時代に劇場で観てこそ120%感動できる映画ばかりで、上位5作品は何度も繰り返し観賞しました。
『ファンタビ』は魔法への夢と憧れを思い出させてくれ、『シン・ゴジラ』と『君の名は。』を交互に観賞していたら、激情と愛がごちゃ混ぜになり、危うくスーパーサイヤ人化しそうに。
そして『ローグ・ワン』は「こんなスター・ウォーズが観たかった!」という作品。初めて『スター・ウォーズ』を観た時の新鮮な感動を求める心の空白も埋めてくれる最高のスピンオフに大満足です。
そんな素晴らしいエンタメ作品群の中でも『この世界の片隅に』は特に心を揺さぶられました。癒しや感動、戦慄など、映画体験自体が素晴らしかっただけでなく、この先の人生での選択にも影響を与えるかもしれないとすら感じた、心に残る作品です。そして対照的な映画『ボーダーライン』は、個人的に『この世界の片隅に』とセットで観たい、裏1位の映画です。暗いおっさんのかっこいい姿を見せつけながら、「ま、お前の世界はこっち側じゃないけどな」と突き放す鋭さにやられました。
映画が共通の話題になることが多い幸せな2016年に引き続き、来年も盛り上がっていきたいところです。DCエクステンデッド・ユニバース希望の星『ワンダーウーマン』に期待大です。
中川真知子(ライター)
【1位】シン・ゴジラ
【2位】クボ・アンド・ザ・ツー・ストリングス
【3位】ズートピア
【4位】ジャングル・ブック
【5位】死霊館 エンフィールド事件
【6位】シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
【7位】ザ・ボーイ ~人形少年の館~
【8位】トロールズ
【9位】パージ:エレクション・イヤー
【10位】ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
『シン・ゴジラ』は本当に楽しかったです。筆者が住んでいるマレーシアでは日本ほどの盛り上がりは感じられませんでしたが、面白すぎて劇場でテンションが上がりまくり! 第三形態ラブ。
ライカの『クボ~』は期待通りで、ただただ素晴らしかったです。『死霊館 エンフィールド事件』は映画館で観て本当に良かったと感じたホラー。
予想に反して楽しかったのが『トロールズ』。キャラクターは正直かわいくないのですが、質感やアニメーションはさすがでした。なにより、キャラがまんまジャスティン・ティンバーレイクでびっくり。
迷ったのですが、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』は仲直りの仕方が陳腐に感じたので落選です。
傭兵ペンギン(ライター)
【1位】ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
【2位】シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
【3位】デッドプール
【4位】オデッセイ
【5位】スター・トレック BEYOND
【6位】シン・ゴジラ
【7位】ゴーストバスターズ
【8位】X-MEN: アポカリプス
【9位】バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
【10位】ウォークラフト
今年は『ローグ・ワン』が飛び抜けて1位。ベトナムっぽい戦場や、小説・コミックでのスター・ウォーズの派生作品っぽさなど、私が大好きなものがつまっていました。
とはいえ、今年は本当にすばらしい作品の目白押しで、原作・オリジナルに対しての尊敬と愛にあふれる作品だらけだった一年とも言えるでしょう。オリジナルを敬愛するがあまりファン以外は勢い良く置いていくという愛すべき作品もあれば、オリジナルへの敬愛の念を存分に示しつつも、多くの人が楽しめるように上手に仕上げた巧みな作品もありました。
『X-MEN:アポカリプス』や『ウォークラフト』は原作ファンを狙い撃ちした作りで、私は無事射殺されました。『エクスペンダブルズ2』でヴァン・ダムも言っていましたが、「リスペクト」は大事。
加えて、今年は(悩みに悩みランク外となりましたが)優しさに満ちた介護ロードムービー『思いやりのススメ』などを筆頭に、Netflixのオリジナル映画も魅力ある作品が多くありました。今後はNetflixなどのネット配信系サービスのみで公開となる新作映画も、より一層骨太なラインナップになっていくのではないでしょうか?
ちなみに、『HiGH&LOW THE MOVIE』はハマるのが遅すぎて劇場で観られなかったためランク外。シンプルかつ効果的に作られた世界観と最高に最高のアクションがたまらない作品なので、ぜひドラマシリーズからどうぞ……!
スタナー松井(ギズモード・ジャパン編集部 デスク)
【1位】レヴェナント:蘇えりし者
【2位】ズートピア
【3位】ドント・ブリーズ
【4位】ノック・ノック
【5位】お嬢さん
【6位】FAKE
【7位】シン・ゴジラ
【8位】この世界の片隅に
【9位】ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
【10位】ゴーストバスターズ
ディカプリオのワンマン生き地獄ショーが1位。息を呑むような美しい自然の風景と激ゴアな超暴力の同居、そして、松永光弘さんが強く望んだものの実現しなかった対クマ戦がCGとはいえ、リアルな描写で見られたのが良かったです。2位は、映像とデザインのすばらしさ以上に、はぐれ者たちが彼らのやり方で最後まで立ち向かう姿に共感せざるを得なかった作品。
3位はバカどもが侵入した家の盲目の老人が強いという設定とストーリーのひねり、4位はキアヌ・リーブスの顔芸がたまりませんでした。
5位はパク・チャヌクによる、美しさとエロさとサスペンスのつまった極上の娯楽作品(2017年3月に日本公開)。
6位は「ヒール視点」がエモーショナルだったのと、何より今年の宇宙大戦争 EPISODE.11のきっかけ(?)になったことが大きいです。今年の宇宙大戦争が自分の人生の五本指に入るレベルの衝撃だったというのは、また別の話。
7~9位は説明するまでもなく、今年を代表するような映画。ナンバー……テン!はオリジナルも大好きですが、今回のリブート版も楽しかった。テン!テン!テン!テン!テン!テーン!
ヨコヤマコム(ギズモード・ジャパン編集部)
【1位】光りの墓
【2位】エクス・マキナ
【3位】シン・ゴジラ
【4位】レヴェナント:蘇えりし者
【5位】エヴォリューション
【6位】ヒッチコック/トリュフォー
【7位】LOVE
【8位】LOST YOUTH
【9位】永い言い訳
【10位】ヴィクトリア
1位はタイ映画! スーパーナチュラル、エクストラオーディナリー、ファンタズマル……。SFよりもっとオーガニックな東南アジア独特の死生観+静的幽体交信みたいなものを多分に感じさせてくれたアピチャッポン・ウィーラセクタンの『光りの墓』です。劇中の音楽もグラフィックスもミニマルで生感たっぷり。なんとなくペドロ・コスタのような質感も感じる独特の時間の流れ。かつての王宮を歩くシーンも、その想像力を試されているようでとてもよかったです。
一方、2位はグラフィックスもセットもガチガチのサイバネティクスSFスリラー『エクス・マキナ』。主軸となるテーマは真逆くらいに感じましたが、こちらも極めて静的。
メガヒット『シン・ゴジラ』は東京焼け野原状態が最高でしたし、『レヴェナント』はしっかりイニャリトゥのあざとさが感じられました。『LOVE』でのギャスパー・ノエの時系列ズタズタエクスタシーもいい感じ。若手日本人監督、木村太一さんのショートフィルム『LOST YOUTH』に圧倒されたり、140分長回しの『ヴィクトリア』すげえなあ、なんて思ったり……。
とにもかくにもアピチャッポン! 1位はアピチャッポン!K.Yoshioka(ギズモード・ジャパン編集部)
【1位】ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
【2位】シン・ゴジラ
【3位】レヴェナント: 蘇えりし者
【4位】アイアムアヒーロー
【5位】君の名は。
【6位】ズートピア
【7位】スペクトル
【8位】10 クローバーフィールド・レーン
【9位】インデペンデンス・デイ: リサージェンス
【10位】サイレンス
1位は、ジェダイというフォースを持つ人々ではなく、フォースを信じる人々からなる反乱軍たちの勇姿に目頭が熱くなりました。反乱軍の勝利はジェダイがいたからではなく、こういう人たちもいたからなんだと再確認。
3位はとにかくディカプリオが辛そうだったのと、冬の大自然が舞台なこともあり、撮影スタッフたちもすごいなと感じました。4位はゾンビ映画としては、日本での現時点における最高傑作ではないでしょうか? ゾンビ映画に欠かせないアウトブレイクシーンで身近な日本の日常が壊れていく様子が映されるので、これまでに見てきた洋物ゾンビ映画よりもリアルに感じられました。
5位は話題になった『君の名は。』。ズバリ、次の人生は神様に選ばれし高校生になりたい。自分の高校時代を思い出して辛くなりました。7位はNetflixのオリジナル作品。軍隊が幽霊と戦うというストーリーで見る前から期待大だったのですが、登場する幽霊は戦車もぶっ壊せるハードコア霊体でした。
8位は地下シェルターという閉ざされた空間で、全貌が明かされないという緊迫感が面白かったです。あんな人と二人きりには絶対になりたくない。9位は懐かしさと既視感といろんなジャンルの要素が詰まった作品。でかいものはいい。
開發祐介(ライフハッカー[日本版]編集部)
【1位】葛城事件
【2位】ヒメアノ~ル
【3位】イット・フォローズ
【4位】オーバー・フェンス
【5位】ドント・ブリーズ
【6位】ボーダーライン
【7位】ヤクザと憲法
【8位】10 クローバーフィールド・レーン
【9位】エージェント・ウルトラ
【10位】ノック・ノック
今年は血なまぐさくてイヤ~な感じの邦画が豊作でした(上記以外だと『クリーピー』、『日本で一番悪い奴ら』なども)。
1位は三浦友和さん演じる父親がとにかく下劣で最低なんですけど、中華屋で店員にブチ切れるシーンなど“イヤ”なオヤジあるあるがいっぱいで、将来の反面教師にしようと思いました。
2位は、森田剛さんはもちろんですが、濱田岳さんも素晴らしかった。『ヒミズ』に続いて、古谷実原作の映画化は相当ハードルが上がっちゃったと思うので、次やる人はプレッシャーがすごそう。
4位は函館の職業訓練校が舞台で、蒼井優さんが演じる凄まじいメン〇ラさんにオダギリジョーが振り回されまくりつつも愛を深めていきます。訓練校に通う生徒たちがとにかくみんないい味を出していて、なぜか「俺も通いてえ!」と思ってしまったので、僕も老後は最年長の勝間田さんのように趣味で訓練校に通いつつ、たまに若者に飯でも奢りながら平和に暮らしたいです。
7位はリアル極道に密着したドキュメンタリーで、暴排条例によって苦境に立たされていく様子は「極道は恥だし金にならない」という感じでした。また、出演者(極道者)たちが撮影後にけっこうな割合で捕まっているという情報を見てなんとも言えない気持ちに。「部屋住み」のコミュニケーションが不得手なメガネの青年、あのあと突然バックれてコンビニ強盗で捕まったという情報を見たけれども、もし本当なら、しっかりと反省して強く生きていってくれ……!
イチカ(machi-ya)
【1位】グランド・イリュージョン 見破られたトリック
【2位】ミラクル・ニール
【3位】日本で一番悪い奴ら
【4位】パラドクス
【5位】ペット
【6位】ドント・ブリーズ
【7位】アイアムアヒーロー
【8位】ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
【9位】ゾンビーワールドへようこそ
【10位】イット・フォローズ
1位は、前作よりもマジックやイリュージョンのテクニックがアップしていたのと、映像のキレイさが印象的だった、『グランド・イリュージョン』の続編。きちんとトリックのネタバレもしてくれるのと、ちょっとしたハラハラ感も楽しめました。
2位と5位は、しゃべる犬ってそうとうカワイイ! と思った作品。『ミラクル・ニール』はさすがサイモン・ペッグという内容のコメディー。3位は、だんだん落ちぶれて壊れていく綾乃剛の表情が頭から離れませんでした。
4位は、2014年のメキシコスリラーで、知る限りでは日本での劇場公開はなく、今年DVDで出たもの。ありがちなループ系ホラーでオムニバス?と思わせて……最後まで見るとなっとくなところなど、けっこう手の込んだおもしろい作品でした。6位は、あれです、狂った盲目のマッチョおじいちゃんの、強靭な生命力にビビります。
7位の『アイアムアヒーロー』は原作を読まずに鑑賞したのですが、ゾンビ映画あるあると、日本の町中から始まる設定が新鮮でよかったです。8位は久々にファンタジーの世界もいいなと感じた作品。
9位は、ボーイスカウト×ゾンビ映画で、なにも考えずに楽しめます。10位の『イット・フォローズ』は無表情で歩くおじいちゃんを見かけると、必ず思い出します。冒頭からの迫りくる感じと、恐怖をより高める音の演出がすごく好きな作品です。
image by Jemastock / Shutterstock.com
参考: Wikipedia1, 2, YouTube, ライフハッカー[日本版], machi-ya(マチヤ)
(ギズモード・ジャパン編集部)