Ustream、ニコ生、PeerCastなどなど。最近はライブ配信サービスも多様化しており、さまざまなサービスで、さまざまな番組が配信されています。
ギズモードでも毎週月曜日に「ギズラジ!」を放送していますが、このようないわゆる「顔出し」系の放送の場合はウェブカメラが必要になってきますよね。
ではどんなウェブカメラが適しているのでしょうか?
高画質がウリなもの、コストパフォーマンスの高いもの、コンパクトな物、明るいレンズを採用しているものなど、実にさまざまなウェブカメラが発売されています。
そんなウェブカメラの中で、今回はちょっと変わったものをお借りすることができました。バッファローから8月下旬発売予定の視野角180度のウェブカメラ「BSW180ABK」。
180度ってどうなの? ライブ配信に使えるの? その他の使い方はあるの? そもそもどうやって180度も撮ってるの? などなど。そのギモンを紐解いていきましょう。
これってどんなウェブカメラ?
バッファロー製のUSB接続ウェブカメラです。視野角が180度の超広角で撮影できるのが最大の特徴。魚眼レンズを用いた広角撮影ではなく、デュアルレンズによる合成で広角撮影しているため、魚眼よりも歪みが少ない映像を撮影できるとのこと。
主なスペックは60万画素CMOSセンサー、最大解像度は1280x480、その比率8:3。フレームレートは30fps、対応機種は USB2.0を搭載するWindows XP以降、Mac OS 10.4.9以降となっています。
サイズや大きさ
サイズはウェブカメラにしてはかなり大きな部類で、ちょっとしたスタンドマイク位の大きさがあります。具体的にはカメラ部分のサイズは66×33×62mm、スタンドの高さは約95mm。
「eneloopさんこんにちは」本体は大きめですがスタンドで自立してくれるため、安定感は問題ありません。なお、スタンドはフレキシブルである程度角度を付けることができます。曲げると可愛い。
特徴的な機能・構造
やはり左右に備えられたデュアルレンズ。2つの目で見ればいい! という力技的な広角ですが、確かにこれは便利かもしれません。実際に使ってみた様子は後々紹介していきますね。
また、左右のレンズの脇にマイクが備わっているため、ウェブカメラにしては珍しくステレオ録音に対応しているのも特徴的。幅広く音を拾えるのは広い会議室などで利用する際は便利かも。
背面にはフォーカスの距離調整スイッチと外部マイク入力。外部マイクが使えるウェブカメラってのもやっぱり珍しいかもしれません。
ニコニコ生放送で使ってみた
こちらが実際にこのカメラを使って放送してみた「ギズラジ!」です。普段であれば2人映るだけでキツキツな会議室が……。
なんということでしょう。超広角撮影により、余裕のあるゆったりとした放送スペースへと生まれ変わりました。これならゲストが何人来ても余裕で放送できてしまいます。Skypeで使ってみた
Skypeで使ってみたところがこちら。1人で映っているのが申し訳ないくらいな超広角! 本来大人数でのビデオ会議とかで利用することが想定されるので、180度独り占めは明らかにオーバースペックですね。
歪みはどうしても出てしまいますが、これはこれで味となりそう。手元のMac風キーボードが舐めるように伸びて映ってなんか妙にカッコイイ。
外配信などでもこの広角は役立つかもしれません。風景をダイナミックに伝えることができるというのは大きな利点です。ただしSkypeのビデオ通話だと画質はイマイチ。
BSW180ABKの良いところ
面白い絵が撮れる。とにかくこれまでのカメラでは絶対に不可能だった超広角は、目を見張るほど新鮮味があります。ライブ配信やSkype通話でコレを使ったら間違いなく驚かれることでしょう。
また、本来の使い方である多人数でのビデオ会議などでも活躍するに違いありません。部屋の隅から隅まで顔が見渡せるカメラは貴重です(表情が認識できるか? は別として)。また、通話意外でもユニークな動画を撮影できるのは面白いかもしれませんね。
定点観測用としても便利かも。インターバル撮影や動体検出撮影できるようなソフトと組み合わせれば、防犯カメラとしても優秀かもしれませんね。従来ですと2台必要だった範囲をこれ1台でカバーすることが可能です。
BSW180ABKの残念なところ
とてもユニークな絵を撮れるカメラ。でも、その威力を発揮させるためのハードルがネックです。
例えばSkype通話にしても、Skypeの最新版では解像度が640x480に固定化されているため特別版のSkypeが必要になってきます。
また、現状ですとライブ配信サービス側が本カメラでの超広角解像度配信に対応していない場合もあります。ニコニコ生放送で試してみたところ、「かんたん配信」では画面の左右が圧縮されて普通の比率になってしまいました。
Windowsでは「外部ツール配信」で、ニコニコ公式の外部エンコーダー「Niconico Live Encoder」を使うことで広角での映像配信が可能だったので外部ツールを使っていくと良いかもしれません。
なおMacでもAdobeのエンコーダー「Adobe Flash Media Live Encoder」での外部ツール配信を利用すればある程度横長の解像度が選べたのでそちらを利用していくと良いでしょう。
どうしても上手くいかない場合は、デスクトップにライブカメラの映像を出力し、デスクトップキャプチャツールでその領域をキャプチャして配信する。という回り道が必要になる場合も。
つまり、生放送配信にはやや上級者向けのウェブカメラだと言えます。本体性能は素晴らしいものの、配信設定が難しく簡単に使えないというのが残念なポイントかもしれません。「変わり種」の宿命でもありますね、ヨヨヨ……。
また、デュアルカメラといえど、その有効画素数は60万画素とやや控えめ。両手にベアクローをはめたウォーズマンよろしく、
「60万画素+60万画素で120万画素! いつもの2倍の領域を撮影できて120万x2の240万画素ーっ!! そしていつもの3倍の高さ(全高)をくわえれば720万画素だーっ!!!」
ってなことにはなりません(理屈的には近いものがありますけどね)。ただし、パソコン内蔵のウェブカメラよりは遥かに高画質。高級モデルのキレッキレな鮮明度こそ無いものの、撮影範囲の広さも相まって、画素数の低さはそこまで大きなウィークポイントとはなっていません。ちょっと暗めですけどね。
BSW180ABKは買いなの?
「多人数でのビデオ通話」「ライブ配信」「定点観測」など、使い方によってはすごく便利で面白いカメラです。「ギズラジ!」のような省スペースで放送するような場合にはまさに神がかった性能を発揮してくれます。
一方で、通常使いのウェブカメラとして優秀か? と言うとややギモンも残ります。広角の宿命でどうしても映像の両端は歪んでしまいますし、自分を綺麗に映したい! というのであれば、このカメラは選択肢から外したほうが良いと思います。
しかし、このカメラでしかできない「面白い撮り方」ができるのは確か。180度撮影と聞いて即座に「!(ピコーン)」と閃いた方には確実におすすめできる製品です。
みなさんならこのカメラ、どう使いますか? その「閃き」を是非お聞かせください。お値段はバッファローの直販サイト価格で9980円です。
BSW180ABK[バッファロー]
(小暮ひさのり)