待ちに待ったという人も多いのではないでしょうか。
NTTドコモから発売された富士通製スマホ「ARROWS X F-10D」。編集部では、極秘裏に実機を入手。早速レビューをしてみました。
ただし、この原稿を書いているのはまだ発売前。つまり開発機なので、正式発売版とは多少異なることがあるかもしれませんので、そのあたりご了承いただきたいと思います。
では、じっくりみてみましょうか。
どんなスマホなの?
搭載されているOSはAndroid 4.0。Xi(LTE)に対応した高速データ通信を実現しています。なんといってもすごいのが、CPU。クアッドコアCPUの「NVIDIA Tegra 3」を搭載。クロック数は1.5GHz。また、12コアの高性能グラフィックエンジン搭載で、ゲームなども快適にプレイできるハイスペック仕様となっています。「スマホが遅い」とお嘆きの貴兄には、このスペックはかなり魅力的でしょう。
液晶ディスプレイは4.6インチの大画面HD液晶を搭載。1677万色のフルカラー表示に対応。解像度は720×1280ピクセルとなっています。
ボディサイズは、若干大きめ。まあ、最近のAndroid搭載スマホは、大型化の傾向がありますんで、このあたりはしょうがないのかなと。左手で持って右手の指でタッチ、というのが正しい使い方でしょう。個人的には、iPhoneのように片手ですべて操作できるサイズがいいなと思うんですけどね。
デザイン
デザインはARROWSシリーズらしい、直線と曲線が融合されたものです。電源ボタンなどは本体の左側面に配置されています。
お借りした端末の色はブラックなのですが、背面を見てみると、光の加減によっては紫にも見えます。マジェスティックカラーみたいで、ちょっと楽しい。
ただ、スマホ全般に言えることなんですが、プラスティッキーな感じが若干チープに思えちゃうんですよ。本体サイズが大きいし、軽量化という意味でもプラスティックなんでしょうが、ガジェットは質感も大事だと思うんです。まあ、スマホはガジェットというよりは「通信端末」っていう感じなのかもしれません。
防水端末のため、充電用のUSB端子やヘッドホン端子にはカバーが付いています。使うときはカバーを外す必要があるため、やや面倒くさい感はありますが、防水のためです。そこは我慢。お風呂でスマホ派の方は、防水マストだと思います。パフォーマンス
先述した通り、CPUにはクアッドコアの「NVIDIA Tegra 3」1.5GHzを採用。ということは、やっぱり期待しちゃいますよね。キビキビした動作。ということで、「安兎兎ベンチマーク」を使って計測してみました。
サムスンのGalaxy Noteよりも上のスコアを叩き出しましたよ。確かに使っていて、もたもたするという感じはほとんどありません。グラフィック性能も高いので、動画再生時やゲームプレイ時にも、カクカクしたりもっさりすることは皆無でした。
ちなみに人気ランキングで「Galaxy S III」がトップですが、これは国外仕様のクアッドコアモデルの評価が多いからでしょうね。日本仕様のデュアルコアタイプよりも、おそらくARROWS Xのほうがスコアは高いはずです。
バッテリー
気になるバッテリーの持ちはどうでしょう? 容量は1800mAhとなかなかの大容量。そこで、YouTubeの動画を最高輝度、最高音量で再生し続けて、バッテリーの減り具合をチェック。すると、45分ほどでバッテリーは60%消費されました。我が家、電波が不安定で3GとLTEをいったりきたりという感じなのですが、それにしても意外と電池食うなぁという印象。クアッドコアだからでしょうか。普通に使っている分には、それほど電池を消耗しませんが、これは待ち受け状態時に動作クロックを抑えて稼働する5つめの省電力コアのおかげでしょう。
また、本体の発熱がすごいのも気になりました。一番熱いときは、触れません。また、本体が熱くなるとカメラ機能が起動しなくなります。高温でCMOSが正常動作しなくなるのでしょうか。これから暑くなる季節。ちょっとだけスマホに涼しさを与えてあげるのがいいみたいですよ。
カメラ
撮像素子は1310万画素の裏面照射型CMOS「Exmor for Mobile」を搭載。画像処理エンジンには「Milbeaut Mobile」を採用し、高感度&低ノイズで静止画も動画も撮影できるということ。
実際に撮影した画像を見ると、かなり高精細で細部まで描写されています。発色はそれほど派手目ではなく、写実主義。正直、結構いい線行っていると思います。やや暗いところで撮影しても、ノイズはあまり気になりません。ディティールの損失もそれほど気にならないので、幅広いシーンで撮影できます。
多彩なエフェクトや撮影モードも備えているので、コンパクトデジカメの代わりとして気軽に使えるポテンシャルがあると思います。このカメラ機能、いけます。
セキュリティー&プライバシー
ARROWS Xはセキュリティーに力を入れています。背面にスマート指紋センサーを搭載。スイッチ付きなので、画面ロック解除などにも使えて便利です。また、前面ではなく背面にセンサーがあるので、片手で持った状態で指紋認識させられるのもポイント。使い勝手がいいんです。
プライバシーの保護にも力入ってますよ。覗き見防止のための「プライバシービュー」も搭載。電車の中などでメールを書いたりするとき、周囲の人に内容を見られてしまうという危険性を低くできます。
画面が大きくなると、それだけ操作中に誰かに見られてしまう可能性も上がってしまうので、こういう機能は今後必須になるかもしれませんね。
置くだけ充電
ARROWS XにはWireless Power Consortium(WPC)の規格「Qi(チー)」に準拠したワイヤレス充電器が付属しています。充電は簡単。この充電器にARROWS Xを置くだけ。コネクタカバーを外してUSBケーブルを接続して、という手間を省けます。
自宅でももちろん便利なんですが、この充電器があればどこでも充電できるのもポイント。最近ではコンビニや映画館、ホテル、カフェなどにも設置されているところが増えています。わざわざ充電器を持ち歩かなくても、手軽に充電できますね。
他キャリアとの違い
ARROWSは、NTTドコモでは「ARROWS X」として発売されますが、auでは「ARROWS Z」、ソフトバンクでは「ARROWS A」として発売されます。
au版はクアッドコアCPU「Tegra 3」、ソフトバンク版はデュアルコアCPU「MSM0960」です。画面サイズはau版が4.6インチ、ソフトバンク版は4.3インチとなっています。カメラ機能は1310万画素で一緒です。ソフトバンク版のみデュアルコアCPUですが、実際、ドコモ版とau版をソフトバンク版と比べても、体感速度的に劇的に違う! とは感じられませんでした。ですが、使い込んでいくほど、クアッドコアCPUのよさに気づくのではないでしょうか。
「ARROWS X」のよいところ
やっぱりなんといっても、クアッドコアCPU搭載というところでしょうか。少しでも速いスマホが欲しいという方は、迷わず選んじゃっていいと思います。
また、防水機能はもちろん、ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信などなど、NEXTシリーズらしく機能がてんこ盛りなのもポイント。欲張りさんなあなたにピッタリです。
今回使ってみて、カメラ機能がいいところにも◯を上げておきたいと思います。
残念なところ
ん〜、個人的にはそれほど残念なところはないんですが、やはりAndroid端末全般に言える、大きさですかね。普段iPhoneを使ってる僕としては、片手ですべての操作ができないのはとてもストレスになるんです。
画面サイズをもうちょっと小さくして本体を小さめにしてくれるといいんだけどなー。
あと、この原稿内でも書きましたが、プラスティッキーな質感も残念ですね。モノとしての所有感を満たしてくれないんです。もうちょっと、もうちょっとだけ質感アップしてください。
買いなの?
富士通独自のアプリがいくつか入っていますが、素っ頓狂なアプリはあまりありません。温湿度センサーなんて、結構役立つと思います。そういう点で、富士通って真面目だなーと思ったり。
おそらく、現在のスマホ群のなかでも、もっともバランスがとれた一台といってもいいのではないでしょうか。迷ったら、選択肢の上位に入れてしまってもいいと思います。
海外メーカーのスマホもいいですけど、国内メーカーだからの安心感というのがあります。この場合の安心感というのは、品質とかそういうことではなくて、日本人になじみやすいという意味です。Galaxy S IIIだってそりゃかっこいいし、性能だって十分なんですけど、ARROWS Xの質実剛健な感じは、妙な安心感があります。
個人的にはカメラ機能がとても気に入っているので、お試しあれ。
※編集部追記:記事の一部を訂正致しました。ご指摘ありがとうございました。お詫びして訂正致します。
docomo NEXT series ARROWS X F-10D
(三浦一紀)